転職・キャリア

出世のメリット・デメリット【管理職経験から考える】

【管理職経験から考える】 出世のメリット・デメリット

出世をすると「給料が上がる」「部下を使って自分のやりたいことができる」「関係部門に影響力を発揮できる」などのメリットがある一方で、「部下の管理監督責任がある」「人間関係のしがらみが増えてくる」「結果責任を問われるようになる」などのデメリットがあります。

出世をするメリット出世をするデメリット
  • 給料が上がる
  • 部下を使って自分のやりたいことができる
  • 関係部門にも影響力を発揮できる
  • 会社のより重要な情報にアクセスできる
  • 仕事の時間と量をコントロールしやすくなる
  • 部下の管理監督責任がある(部下のミスは自動的に上司のミス)
  • 人間関係のしがらみが増えてくる(特に日系企業の場合)
  • 結果責任を問われるようになる
  • 責任が増える割に、給料が大して上がらないこともある

他方で出世をしないことには「給料が上がらない」「大きな仕事をやりにくい」などのデメリットはあるものの、「自分のことに集中できる」「成果をがつがつ求める必要がない」などのメリットがあります。

出世をしないメリット出世をしないデメリット
  • 部下を持たなくてよい(自分のことに集中できる)
  • あまりがつがつ成果を求めなくてよくなる
  • 給料が上がらない
  • 大きな仕事をやりにくい
  • 仕事量を自分でコントロールしにくい(個人差あり)
  • リストラの対象になりやすい

近年では、出世をすることが誰にとってもメリットのある状況ではなくなっていて、働き方の価値観が多様化する中では、「会社で出世する以外の価値軸を持つべき」といえるようにもなっています。

2017年のマネジメントベース社の調べによると、20代、30代の出世したい人の割合は以下のようになっています。

約半数が「出世したい」(17.7%)「どちらかと言えば出世したい」(31.9%)と回答しました。(中略)性別:男性55.3%、女性42.3%

株式会社マネジメントベース調査結果より引用

この記事では、大手企業で管理職を6年間やった私の経験をもとに、

  • 出世することでどのようなメリットがあるのか?
  • 出世しないことにもメリットはあるのか?
  • どのようなときに出世を目指すべきなのか?

について書いていきます。

出世を目指すかどうかを決めることは、自分のキャリアと向き合うことにもつながるでしょう。

出世をするメリット・デメリット

まずはじめに出世をするメリット・デメリットをあげていきます。

出世をするメリット

出世のメリットには、以下の5つがあります。

  • 給料が上がる
  • 部下を使って自分のやりたいことができる
  • 関係部門にも影響力を発揮できる
  • 会社のより重要な情報にアクセスできる
  • 仕事の時間と量をコントロールしやすくなる

給料が上がることは理解できるでしょうが、他の4つも重要です。

大きな仕事をやろうとすると、1人ではできないので、部下や関係部門の協力が不可欠になります。

そのとき、明確な権限と責任を持つ立場になると、まわりを動かしやすくなります。

もちろん、リーダーシップを発揮して役職が無くても動かす方法はありますが、やはり役職を持っている方が人を動かしやすいのは事実です。

加えて、より重要な会社の情報にアクセスできるようになるので、学べることもより多くなっていきます。(たとえば、人事情報、M&Aの情報、顧客や取引先との重要な契約などです)

さらに、部下に仕事を任せられるので、役職が上にいけばいくほど、仕事の時間と量をコントロールしやすくなります。

ちなみに、私の経験上、最も時間をコントロールしやすかったのが部長で、最も大変だったのが係長でした。

なぜなら、係長は大きな権限を持っていないので、上司や他の部門との間でさまざまな社内調整が必要となり、さらに部下の面倒を見た上で、自分もプレーヤーとして前面に立たないといけなかったからです。

その点、課長や部長は、権限が増えるので、仕事が増えても、それは自分の仕事としてではなく、部下も含めた組織の仕事として受けることができます。

また、部長になると、基本的な業務遂行能力を持つ課長が部下になるので、部下の問題で悩むことも少なくなります。

なお、エン・ジャパンの調べでも、出世によるメリットとして、以下3つが大きかったと挙げられています。

管理職の経験をして良かった点、「視野が広がる」「影響力が上がる」「裁量が増える」

エン・ジャパンアンケート結果より引用

これらは、私の経験から感じたことと、ほぼ同じです。

出世をするデメリット

出世のデメリットには、以下の4つがあります。

  • 部下の管理監督責任がある(部下のミスは自動的に上司のミス)
  • 人間関係のしがらみが増えてくる(特に日系企業の場合)
  • 結果責任を問われるようになる
  • 責任が増える割に、給料が大して上がらないこともある

管理職になると、その名の通り部下の管理監督責任が発生します。

部下がミスをすれば、その仕事を任せた上司の責任です。

部下が仕事中に怪我をすれば、やはり仕事を任せた上司が責任を持って対処する必要があります。

また、人間関係のしがらみが増えます。

特に日系企業の場合、昔から一緒に働いている人達とずっと一緒なので、昔の人間関係をそのまま引きずってしまいます。

私の場合、昔の上司が部下になるというケースもありましたし、まわりがよく知っている人ばかりだと、何をやるにも多少の遠慮が必要でした。

出世をすると、意思決定して采配を振るう立場になるので、こうした遠慮の中で仕事をするやりにくさを感じることもありました。

そして、課長、部長と上がるにつれて、結果がより問われるポジションになります。

言い換えると、結果に対する言い訳をしにくい立場になるのです。

そして、これだけ責任を伴う割に、給料が大して上がらないこともあり、会社によっては、残業代がない分だけ実質的に給与ダウンになる場合もあります。

ダイヤモンド・オンラインで昇進を拒否する部下の話がありますが、それに対しての反応を見ていると、出世のデメリットがよくわかります。

関連記事:「課長になりたくありません」昇進を拒否する部下を会社は懲戒処分できるのか-ダイヤモンドオンライン

出世をしないメリット・デメリット

では、出世をしないメリット・デメリットについではどうでしょうか。

それぞれ挙げてみたいと思います。

出世をしないメリット

出世をしないメリットは次の2つです。

  • 部下を持たなくてよい(自分のことに集中できる)
  • あまりがつがつ成果を求めなくてよくなる

部下を持たない立場というのは、それはそれで気がラクです。

出世をしないと決めてしまえば、がつがつ成果を出しにいかなくてよいので、精神的にもラクになるでしょう。

もちろん、スキルに応じた成果は求められるでしょうが、少なくとも管理職として成果を出さないといけないというプレッシャーよりはラクだと思います。(あくまで個人の感想です)

出世をしないデメリット

出世をしないデメリットも、もちろんあります。

  • 給料が上がらない
  • 大きな仕事をやりにくい
  • 仕事量を自分でコントロールしにくい(個人差あり)
  • リストラの対象になりやすい

出世できないと、給料が上がりにくい上に、大きな仕事をやりにくくなる上に、自分の仕事量を自分でコントロールしにくくなるというデメリットがあります。

もちろん、会社、部署、個人の力量によって差があるので、会社や組織によっては、自分の時間をコントロールしやすいところもあるでしょう。

そして、ずっと出世しないままでいると、その会社で力を発揮できない人という烙印を押される可能性もあり、リストラの対象になりやすいというデメリットもあります。

出世は、今よりバリューを出せるか?で考える

ここまで出世のメリット・デメリットを書いてきましたが、どのような場合に出世を目指すべきなのか。

私なりの答えがこちらです。

たとえば、リーダーとして多くの部下を活かすことで、より大きなバリューを生み出せるなら、上の役職を目指すことは悪いことではありません。(※ここでいうバリューとは、他の会社でも認められる実績だと思ってください)

一方で、役職や肩書をもってもバリューを出せなかったり、むしろ管理業務が増えるだけでバリューを出せない未来が見えるなら、無理に上の役職を狙う必要はありません。

そして、無理に出世してもバリューを出せないままでいると、このような残念な人になってしまう可能性もあります。

このようになってしまうくらいなら、肩書を求めずに現場に近い場所で市場性のあるプロフェッショナルとして力を発揮して、高い成果を出すことの方が価値が高いかもしれません。

会社での出世競争を経て見える景色(2人の事例)

会社での出世競争を経て見える景色はどうのようなものなのでしょうか。

2人の事例を見てみます。

この方は、現場でバリバリ営業をやっていて、客先と一緒に事業を立ち上げてきた人なので、出世して現場から離れてしまったことに対して寂しさを感じていたようです。

また、安定した大企業で出世をすることだけを軸に働くことに危機感をもち、フリーランスに転身した人もいます。

出世を目指すか目指さないかは、個人個人の価値観としてどちらも尊重されるべきですが、確実に言えることは「出世だけを目標にして会社で働くことは避けたほうがよい」ということです。

なぜなら、会社で出世をする能力と仕事ができる能力は別物ですし、仕事ができる能力とお金を稼ぐ能力もまた別物です。

出世をした結果として何を得たいのか?それは自分にどのような意味があるのか?

もし出世を目指すなら、このような問いに対してじっくり向き合うことも大事なことでしょう。

会社で出世する以外の価値軸を持つべき

会社で働く上で、出世するか出生しないだけを軸にすると社会人としての選択肢が非常に狭くなってしまいます。

ですので、社会人として歩みたいキャリアの中で出世がどのような位置づけになっているのかを常に整理するようにしましょう。

そうすると、実際には出世は重要ではないと気づき、出世以外の価値観を持てるようになるかもしれません。

例:出世をどのように位置づけるか?

「将来は社外で●●をする、そのために今の会社で▲▲の役職にはなっておく」

「出世を目指さずに、スキルアップや副業を通じて自分で稼ぐ力を身につける」

長い社会人キャリアの中では、副業を始めることも選択肢の1つです。

副業で稼ぐ能力と会社で出世する能力は全く別物なので、「出世は無理だったけど、副業では稼げて管理職より収入は高い」ということもあり得ない話ではないからです。

実際に、私は社会人2年目から副業をやっていて、平社員時代から管理職より収入は高かったです。

今は在宅でもできる副業が多いので、テレワークのスキマで副業をするのもありです。

出世を目指すなら上司と良好な関係を保つ

それでも出世を目指したいと思うなら、上司と良好な関係を作ることは避けて通れません。

そのための方法論は、サラリーマンとして出世を目指すなら【上司をクライアントに見立てて◯◯させろ】の中で書いているので、あわせてご覧ください。

まとめ

以上、出世のメリット・デメリット、キャリアの中で出世をどう位置づけるかについての解説でした。

これから出世を目指すかどうか迷っている人の参考になれば幸いです。

  • 出世のメリットは、給料が上がる、部下に仕事をしてもらって自分のやりたいことができる、関係部門にも影響力を発揮できる、会社のより重要な情報にアクセスできる、仕事の時間と量をコントロールしやすくなるなど多数ある。
  • 一方で出世のデメリットには、部下の管理監督責任や人間関係のしがらみが増えるというのがある。
  • 出世をしないメリットは、気楽に仕事ができることと、ガツガツ成果を求めなくてよくなるがある
  • 出世をしないデメリットは、給料が上がらない、大きな仕事をやりにくい、仕事量をコントロールしにくいということがある。また、リストラの対象になりやすというデメリットもある。
  • 出世によって、自分の出せるバリューが高まるなら目指すべき。出世を目的にすると、将来老害になるかもしれない。
  • 出世以外のキャリアの軸を複数持っておくことが大事。