Ns spirit 投資学・経営学研究室

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【解説】財務分析 安全性の分析方法 流動比率とは 自己資本比率とは

財務分析(安全性)
ここでは、財務の安全性について説明します。安全性を見ることで企業の財務が健全で倒産することがないかを知ることができます。安全性は、企業体力と言い換えることできます。

 

流動比率
流動比率とは、流動資産によって流動負債をどの程度返済可能かを見るための指標です。流動比率は貸借対照表の項目を使って、次のように計算されます。

 

流動比率 = 流動資産/流動負債

 

流動比率は200%以上が望ましいとされていますが、現実的に200%以上の企業は少なく、一般的には120%~140%であれば健全であるとされています。

流動資産を見る場合には、現金化の目処が立っていない不良債権や不良在庫に注意をしておく必要があります。流動比率よりも厳しい指標として当座比率があります。


流動比率の改善
流動比率を改善するには、次のような方法があります。

 

①固定資産を減らし流動資産を増やす
(例)固定資産を売却によって減らし、換金により現金を増やす。
この方法は、バランスシートを肥大化させることなく流動比率を増やすことができるので、比較的デメリットが少ないといえます。

 

②固定負債を増やし流動資産を増やす
(例)長期借入金や社債を発行し、現金を増やす。
この方法は、短期的な改善方法といえます。なぜなら、借入金や社債は期日までに現金で返済する必要があるためです。また、収益性の改善がないとROAの低下を招きます。

 

③資本を増やし流動資産を増やす
(例)増資によって資本を増やし、現金を増やす。
この方法は、資本の肥大化を招きます。収益性の改善がないとROEが低下し、株主価値の減少につながります。


流動比率が低い場合
流動比率の望ましい水準が120%以上とはいえ、流動比率が100%を切るような企業も実際にはたくさんあります。ただ、流動比率が低い場合でも、金融機関の支援がしっかりしているような場合は、大きな問題ないと判断できます。

また、最近では余剰キャッシュの持ちすぎはM&Aの対象になることから、意図的に流動比率を低めにする場合もあるようです。

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当座比率
当座比率とは、当座資産(流動資産から棚卸資産を引いたもの)によって流動負債をどの程度返済可能かを見るための指標です。当座比率は貸借対照表の項目を使って、次のように計算されます。

 

当座比率 = 当座資産/流動負債

 

当座比率は80~100%以上が望ましいとされています。

 

棚卸資産は商品価値の低下により、そのまま不良在庫になる場合があります。そのため、流動負債の返済は現金化の容易な当座資産で行うべきという考え方に基いているのが当座比率になります。当座比率は、同じような指標である流動比率に比べると厳しい指標であるといえます。

 

最近では、余剰キャッシュが多いとM&Aの対象になることから、意図的にキャッシュを減らし当座比率を低くしている企業もあるようです。

 

自己資本比率 
自己資本比率とは総資本に対する自己資本の割合を示す指標です。

 自己資本比率=自己資本/総資産
 (自己資本 = 純資産-新株予約権-少数株主持分)


自己資本比率は30%を超えているのが望ましいとさています。ただし自己資本比率が高いからといって投資に値する企業ということではありません。その資本をいかに有効に活用するかが大事なのです。日本では比較的自己資本比率が低い企業が多く、一桁の企業もあります。

 

純資産比率

2006年5月から新会社法施行により、自己資本と純資産は違うものを示すようになり、項目にも変更がありました。

 

  純資産 = 株主資本(評価・換算差額等含む)
        +少数株主持分+新株予約権

 

純資産には、今まで株主資本とか自己資本と呼ばれていた「株主資本(評価・換算差額等含む」に少数株主持分と新株予約権が新たに付け加えられました。

 

したがって、上記の自己資本比率の他に、純資産比率という形でも安全性を見る場合があります。(ただし、純資産は上述のようにこれまでの自己資本とは異なるため、純資産比率と従来の自己資本比率とは連続性のない指標になります。)

 

 純資産比率 = 純資産/総資産

 

固定長期適合率
固定長期適合率とは、固定資産と純資産および固定負債との比率のことです。固定長期適合率は、固定資産が純資産と長期の負債でどの程度まかなわれているのか示す指標です。

 固定長期適合率 = 固定資産/(固定負債+純資産)

固定長期適合率は80%程度が目安になっています。100%を超過している場合、短期資金が固定資産の投資に使われていると判断できます。

固定長期適合率は、流動比率と表裏一体の指標です。したがって、流動比率の改善が固定長期適合率の改善につながります。

 

固定比率

固定比率とは、固定資産を自己資本によってどの程度賄うことができるかを見るための指標です。固定比率は貸借対照表の項目を使って、次のように計算されます。

 

  固定比率 = 固定資産/純資産

 

固定比率は、同じようなの指標である固定長期適合率に比べると少し厳しい見方といえます。

 

一般的に、固定比率は100%以下であれば、望ましい水準とされていますが、製造業などは100%を超えるところも多く、160%以下ならまずまずの数字といわれています。

 

固定長期適合率

固定長期適合率とは、固定資産をどのような資金で賄っているか目安をつけるための指標です。固定長期適合率は、貸借対照表の項目を使って、次のように計算されます。

 

  固定長期適合率 = 固定資産/(純資産+固定負債)

固定長期適合率では、固定資産が自己資本と比較的返済期間の長い固定負債でどの程度賄えているかがわかります。同じようなの指標である、固定比率に比べると少し甘い見方といえます。

 

一般的に、固定長期適合率は100%以下であれば、望ましい水準とされています。

 

固定長期適合率は、流動比率と表裏一体の指標です。流動比率の改善は、固定長期適合率の改善につながります。

 

債務償還年数

 債務償還年数=有利子負債/営業利益
 または
 債務償還年数=有利子負債/営業CF

 
現在の有利子負債を営業利益または営業CFによって何年間で返すことができるかを測る指標です。有利子負債はキャッシュによって返済されるものなので、企業の財務分析では営業CFベースの債務償還年数を用いていきます。債務償還年数が1年以内であれば、かなり優良といえます。

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ (ICR)
 ICR=(営業利益+金融収支)/支払利息
 または
 ICR=(営業CF+金融収支)/支払利息

 
有利子負債から発生する利息に対して、何倍の営業利益または営業CFを得ているかを測る指標です。債務償還年数同様、営業CFベースで企業分析を行います。ICRが1倍を下回ると事業収益から利息を支払う能力がないことを示します。日本の上場企業は平均すると5倍程度のようです。

 

損益分岐点比率
損益分岐点比率とは、損益分岐点分析によって求めた損益分岐点売上高と実際の売上高の比率のことです。この数字は小さければ小さいほど優良といえます。

www.nsspirt-cashf2.com

 

手元流動性
上記のほかに、流動的な資金の水準を表す手元流動性(=現金・預金+短期保有の有価証券)なども、安全性指標として使われる場合があります。

 

手元流動性とは、現・預金と、償還期限あるいは売却期限が1年以内を予定しているの有価証券の合計額のことをいいます。

 

 手元流動性 = 現金・預金 + 1年以内に売却予定の有価証券

 

つまり、手元流動性は換金性が極めて高い資産のことで、これが多いほど企業の支払い能力が高いことを示します。手元流動性は企業の保有しれいるキャッシュとほぼイコールと考えてよいと思います。

 

手元流動性が多ければ、借入金の返済に困らないなどのメリットがありますが、逆にデメリットもあります。

 

例えば、手元流動性は利子や配当金などで利益をもたらしますが、これが事業の利益率より低い場合、相対的に見ると手元流動性の資産は有効活用できていないということになります。また、最近では手元流動性が多いと、企業買収のターゲットになるというデメリットもあります。

 

また、手元流動性を売上高で割った値を手元流動性比率といいます。

 

 手元流動性比率=手元流動性/(売上高/12) 【ヶ月】

 

日本の上場企業の手元流動性比率は、およそ1~1.5ヶ月です。

 

債務超過とは

債務超過とは、貸借対照表上で、資産の合計より負債の合計が上回っていて、資本がマイナスの状態のことです。債務超過になると、資産を全て売却しても負債の全額を返済できないことになります。この状態になると、会社整理が必要になります。

 

ちなみ、債務超過に陥って企業が破綻すると、最も損失を被るのが株主です。なぜなら法令によって、株主への資金の返済は一番最後と決められているからです。言い換えると、株主はそれだけ企業破綻のリスクを大きく背負っていることになります。

 

 

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