Ns spirit 投資学・経営学研究室

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【解説】財務分析 生産性の分析方法 労働生産性とは 労働分配率とは

財務分析(生産性)

ここでは、企業の生産性について説明します。生産性を見ることで企業の投入した経営資源に対するアウトプットを知ることができます。

 

付加価値

付加価値とは、企業のヒト・モノ・カネを使って新たに生み出した価値を意味します。付加価値の計算方法には、中小企業庁方式と日銀方式の2種類があります。

 

※中小企業庁方式
中小企業庁方式では、付加価値は次のように求められます。

 

 付加価値 = 売上高 - 外部購入価値

 

外部購入価値には、材料費、購入部品費、運送費、外注加工費などがあります。

 

 

付加価値の図式例

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※日銀方式
日銀方式では、付加価値は次のように求められます。

 

 付加価値 = 経常利益 + 人件費 + 貸借料 + 減価償却費 
           + 金融費用 + 租税公課

 

中小企業庁方式では、付加価値は売上高から外部購入分の価値を差し引いたものという考え方に対し、日銀方式では、付加価値は製造課程で積み上げられていくという考え方になっています。


売上高に占める付加価値の割合を付加価値率といいます。計算式は次ぎのとおりです。

 

 付加価値率 = 付加価値/売上高

 

付加価値率が高いと、会社が商品に対して付け加えている付加価値が大きいというとこを示し、粗利益率等の基本的な収益率も高いと考えられます。

 

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労働生産性
労働生産性とは、従業員一人当たりがどれだけ付加価値を生み出しているかを示す指標です。

 

 労働生産性 = 付加価値/平均従業員数

 

労働生産性を上げるには次のような方法があります。

①付加価値の増加
中小企業庁方式では、付加価値は売上高から外部購入価値を引いたものなので、付加価値を増加させるためには、部品の内製化をして外部購入費を減らすなどの方法があります。

②従業員数の削減
早期退職の募集などで従業員数を減らすなどの方法があります。また、アウトソーシングを活用して従業員数を減らすという方法もあります。アウトソーシングは、活用の仕方によっては、外部購入価値の減少にもつながります。

ただし、メーカーなどの場合、産業機械の導入して従業員を削減することにより労働生産性を高めた場合、資本生産性を落とすことになります。


労働生産性をブレークダウン 
労働生産性は、様々な指標により細分化することができます。

 

(売上高による細分化)

 労働生産性 = (売上高/平均従業員数) × (付加価値額/売上高)
         = 従業員一人当たりの売上高 × 付加価値率

 

(総資本による細分化)

 労働生産性 = (総資本/平均従業員数) × (売上高/総資本) 
            × (付加価値額/売上高)
         = 資本集約度 × 総資本回転率 × 付加価値率

 

(人件費による細分化)

 労働生産性 = (人件費/平均従業員数) / (人件費/付加価値額)
         = 従業員一人当たりの人件費 / 労働分配率

 

(設備投資による細分化)

 労働生産性 = (有形固定資産/平均従業員数) × (付加価値額/有形固定資産)
         = 労働装備率 × 設備生産性

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労働装備率
労働装備率とは、企業の従業員一人当たりの有形固定資産を示します。

 

 労働装備率 = 有形固定資産 / 平均従業員数

 

従業員一人当たりに対する設備が多いほど、労働装備率は大きくなります。製造業は、労働装備率が大きい傾向にあります。

労働装備率が大きいほど、企業の労働生産性は向上します。

 

労働分配率
労働分配率とは、付加価値に占める人件費総額の割合のことをいいます。

 

 労働分配率 = 人件費 / 付加価値

 

労働分配率と賃金水準の関係は、業種や企業によって大きく異なります。また、同じ企業でも、設備投資額や、取扱商品、製品などに大きな変化があれば、賃金水準が変わらなくても、労働分配率が大きく変わることがあります。

日本の企業の労働分配率は70%台前半で推移しています。


労働分配率は、国民所得に占める賃金の割合のこというときもあります。

 

 労働分配率 = 賃金 / 国民所得

 

資本生産性

資本生産性とは、有形固定資産あたりに生み出す付加価値の割合を示す指標です。

 

 資本生産性 = 付加価値 / 有形固定資産

 

資本生産性が高い会社というのは、少ない設備で大きな付加価値を生み出しているということになります。

 

一般的に、資本生産性は労働生産性とトレードオフの関係になります。例えば、産業機械の導入により自動化を図ったメーカーの場合、従業員を減らしたことで労働生産性が上がりますが、設備を増やした分だけ資本生産性が下がることになります。

 

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