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【5分でわかる】間接費の配賦方法パターン ABC(活動基準原価計算)とは

 

製品の原価を計算する場合、変動費と固定費という分け方もありますが、もう一つの分け方として直接費と間接費に分ける方法があります。

 

この間接費をどう分配するかで、事業上の意思決定を左右するので、ビジネスパーソンとして間接費の配賦パターンは理解しておきたいところです。

 

この記事では、間接費の配賦方法について解説していきます。

 

 

 

間接費の配賦方法

直接費とはその製品を作るのに直接かかった費用のことで、間接費とはその製品だけでなく、他の製品を作るのにかかった費用のことです。

<直接費の例>
材料費、その製品の製造ラインにいる工員の労務費など

<間接費の例>
共通設備の減価償却費、生産管理や品質管理スタッフの人件費など



このように分けたときに、間接費は何らかの基準で製品に配賦する必要があります。例えば、複数の製品を生産している場合、

  • 生産量(ユニット数または生産重量)に応じて配賦する
  • 生産金額(直接労務費または直接材料費)に応じて配賦する
  • 生産時間に応じて配賦する


などの配賦方法があります。

間接費の配賦はできる限り事業の実態に即したものにする必要があります。そうしないと、実質コスト以上に配賦してしまうことで製品の競争力を失ってしまったり、逆に実質コスト以下に配賦してしまい、収益悪化を招いたりするためです。

 

事業や製品立ち上げ時の配賦方法

ある程度運営が軌道に乗った事業や製品の場合、直接費に比べて間接費の割合が少なくなりますが、立ち上げ初期の事業や製品の場合、間接費の割合が多くなりがちです。そのときに、間接費をそのまま配賦して値付けをすると、競争力を大きく低下させてしまう原因になります。

例えば、次のような製品Aを作って販売する場合を考えてみます。

製品A
目標販売価格:1,000円(市場競争できる価格から目標設定)
目標粗利率:35%
製造直接費:550円
製造間接費:2,000,000円/年



製品Aの初年度の見込み販売数量が4,000台(すなわち初年度の操業度)だとします。製品Aの初年度の原価は次のようになります。

製造原価 = 550円 + 2,000,000円/4,000台  =  1,050円

これに目標粗利率35%を加味すると製品価格は1,615円になります。しかし、これでは価格競争力が売上が伸びません。こうなると、次のような悪循環に陥ってしまいます。

間接費の配賦





このような状況では、次のような考え方で原価を算出する必要があります。

理論的生産能力による配賦
その設備が最大効率で稼働したときの生産能力で間接費を割るという方法です。工場の生産効率をUPするときに、最大生産効率での原価目標を設定するために用いられるます。

実際的生産能力
修繕や停電など遊休時間を考慮した実際的な最大生産能力で間接費を割るという方法です。将来的に生産能力が最大値になるという前提で原価設定するときに用いられます。

期待操業度
今回のように初年度だけでなく、次年度以降の成長予測に基づいて期待操業度を算出し、その操業度で間接費を割るという方法です。設定価格別に販売数量の成長シナリオを作る場合もあります。

例えば、この製品は将来的に大きな成長が見込まれ、実際的生産能力まで設備が稼働すると考えてみます。生産能力を年間30,000台だとすると、

製造原価 = 550円 + 2,000,000円/30,000台  =  617円

ここから粗利率35%を加味すると、販売価格は949円に設定できることになります。

そうすると、目標価格を下回り、競争力のある価格設定をすることができるようになります。このときに、初年度の販売数量が4,000台だとすると、原価計算上は次のように表現することになります。

項目 金額 計算式
売上 ¥4,000,000 =¥1,000*4,000
売上原価 ¥2,468,000 =¥617*4,000
売上総利益 ¥1,532,000  
間接費操業度差異 ¥1,732,000 =¥2,000,000
-¥67*4,000
実質売上総利益 -¥200,000  


※販売単価を1,000円として考えています。
※これは管理会計上の表記であり、財務会計上はこのような表記はできません。

 

間接費配賦に伴う問題

間接費の配賦にはいくつかの問題が必ず付随してきます。例えば、以下のようなものです。

1.稼働してない資産償却の配賦
稼働していないので、どの事業や製品にも割り振りが難しいコストです。割り振らないという方法もありますが、財務会計上は必ずコストとして認識すべきものなので、どこかの事業や製品が何らかの負担しているのが実態です。

2.フリーライド
例えば、ある設備投資をある年に発売した製品に全て償却費として乗せたとします。次にこの商品をモデルチェンジしたり、ラインナップを追加したりしたときにこの設備を使えるとした場合、これらの商品には設備投資の費用が全くかからないという結果になります。

だからといって、将来の製品にもコスト負担させる前提で償却計算したときに、その製品の発売が取りやめになったときにそのコストをどう処理するかという問題が出てきます。

これらは絶対的な解決策がない問題ですが、こうした問題があることを頭に入れた上で、コストの配賦方法と実態にどのような差異が生じているのかを理解しておくことは重要なことです。

 

ABC(活動基準原価計算)とは

ABCとは活動基準原価計算のことで、間接費を合理的に計算することにより、できるだけ正確な原価計算を行なう目的で考案された管理会計手法のことです。ABCは、Activity-Based Costingの略です。

 

伝統的な原価計算との違い

伝統的な原価計算においては、共通費を操業度の割合に応じて「配賦」するという考え方が用いられてきました。例えば、工場の建物の減価償却費などの部門共通費は、それらは全て一定の基準でもって部門に対して配賦されていました。

ところが、この配賦の仕方が実態と異なっていると、実際のコストを大幅に下回るコストに基づいて価格をつけたり、逆に実際のコストを大幅に上回るコストに基づいて価格をつけたりす可能性があります。

そこで、製品にかかるコストをできるだけ正確に把握する方法のひとつとしてABCという方法が考えられました。

ABCにおいては、部門共通費を生産、販売、調査などの「活動」に分類し、それぞれの「活動」を個々の製品や部門に対し、その活動が寄与した割合に応じて割り当てていきます。こうすることで、製品原価を合理的に把握することが可能になり、コスト情報の精度やコストの構成内容が明確になるというわけです。

ABCを用いると実際の活動と原価の関連性を明確にできるので、伝統的な原価計算以上に実態を的確に原価に反映することができるようになります。

ABC 活動基準原価計算

 

ABCのデメリット

ABCは、計算過程で実際の活動を細分化するので、原価計算の仕組みが複雑になり、管理コストが増大するという結果をもたらします。

また、収集される情報が正確性に欠けるケースも多く、特に間接部門の人件費をどのように配賦するかは客観的に計算することが難しいので、どうしても主観的な仕分けになってしまいます。例えば、ABCを使って財務部門の人件費を事業別に割り振ろうとしても、どの仕事がどの事業に対する貢献なのかを正確に測ることは難しく、結局は計測者の主観に頼る結果となってしまいます。

したがって、ABCを用いるときは、その目的に照らしてどこまで細分化するのが妥当なのか?を予め明確に決めておく必要があります。

 

 

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