国際貿易の知識・基礎

【5分でわかる】移転価格税制とは ロイヤリティとは わかりやすく解説

国際取引における重要な概念として、移転価格とロイヤリティがあります。日本企業が海外の会社を買収するケースが増える中、この移転価格とロイヤリティに関する知識は専門家だけでなく、国際取引業務に携わる全ての人が知っておきたい内容です。

この記事では、その移転価格・ロイヤリティについて解説していきます。

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移転価格とは

移転価格(Transfer Pricing, TP)とは、同一企業グループ内における取引価格のことです。この移転価格は税務面で大変重要な価格になります。

移転価格の例

X社のA国、B国間での取引を考えてみます。通常、図1のような取引をしていたとします。次に図2のような取引を考えます。X社で見ると、利益総額は変わりません。(もしA国よりもB国の方が法人税率が低い場合、図2の取引の方がX社の純利益は増えます)

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しかし、A国の税務当局から見ると、利益が減るということはその分税金が少なくなることを示します。もしこの利益額が適正な水準からは乖離があると判断されると、A国の税務当局からは追徴課税を要求されます。追徴課税は通常の税率よりも大きくなります。

そのときに、A国で追徴課税された分がB国で取られた税金から返されるかというと、そうはなりません。つまり追徴課税をとられるということは、二重課税になるわけで、企業からすると、本来払わなくてよかったはずの課税をされてしまうということになります。

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移転価格の設定方法

このような追徴課税を防ぐためには、移転価格を適正と思われる水準で設定する必要があります。移転価格の設定方法には以下のような考え方があります。

独立価格比準法

A国におけるX社とは異なる第三者が類似製品を海外の第三者に販売する際の取引価格と比較する方法です。シンプルな方法ですが、製品の類似性が本当に高いか、取引条件に違いがないかをよく確認した上で、適用する必要があります。言い換えると、この方法を使わない場合は、税務当局に対して、それらの類似性が少ないことを説明する必要があります。

原価基準法

X社A国の他商品や他社類似商品の売上総利益率と比較する方法です。独立価格比準法と同様に、比較対象の製品、取引条件に関する類似性があるかがポイントとなります。

再販売価格基準法

これはB国における販売価格と粗利額の妥当性から判断する方法です。

取引単位営業利益率法(Transaction Net Margin Method, TNMM)

これはB国における営業利益率を対象会社と比較する方法です。この方法だと、製品の特徴や取引条件の差異の影響を受けにくいことの加えて、A国からの技術・ノウハウの供与とそれらへの対価(ロイヤリティなど)も勘案した上で比較できることから近年では最も広く活用されている方法です。

X社にとっては、

  • 少しでも法人税を節約したい
  • B国で極端に競争力を失うような移転価格設定は避けたい

と考えるわけですが、一方でA国の税務当局には取引の妥当性を理解してもらい、追徴課税という事態を避けなければなりません。そのためには、これらの方法を理解した上で、あらゆる角度から税務当局に説明できるようにしておく必要があります。

また、上に書いたように、グループ間取引においてA国で一定の利益を確保しないといけない場合に、B国での価格競争力を落とすケースがあります。

こういうときには、税務会計では移転価格を意識しながらも、業績評価をする上では移転価格ではなく、別の管理会計上の指標を用いるなどの工夫が必要になります。

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ロイヤリティとは

企業の国際取引を拡大する際の移転価格の重要性を書いてきましたが、子会社で物を生産したり、販売したりする際に親会社から技術供与をする場合はロイヤリティという形で回収するケースもあります。

技術供与に対する対価のもらい方には大きく以下の3つのパターンが存在します。

パターン1:移転価格にのせて回収するケース

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最も単純なケースになりますが、技術供与の対価がわかりにくいのと、子会社からすると技術供与という本来販管費に計上するものを移転価格として売上原価に計上することになるので、売上原価比率が同業社に比べて大きくなって見えてしまう場合がありますまた、親子間のさじ加減ひとつで中身を調整しやすい取引だといえます。

パターン2:ロイヤリティで回収するケース(直接取引が発生する場合)

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この場合、技術供与の対価が明確で、子会社は販管費としてロイヤリティを支払うことになるのでP/L上は非常にわかりやすい形になります。対外的にも説明のつきやすい形にはなります。

パターン3:ロイヤリティで回収するケース(国外取引に対して発生する場合)

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これは子会社が親会社の技術を使って現地で生産・販売したものにかかってくるもので、親子間で製品の取引がない以上はロイヤリティで回収する以外にありません。

ロイヤリティの対象となる役務範囲

ロイヤリティの対象範囲は個別に親会社と子会社間の契約で定めることになります。その契約の範囲内であればロイヤリティの支払いのみで子会社は役務提供を受けられますが、範囲を超える場合は、個別に対価の支払いをすることになります。

ロイヤリティの料率

ロイヤリティは移転価格税制の対象となるので、その料率は移転価格に精通した専門家を交えて決められるべきですが、以下のページに公開されている調査結果も参考になるかと思います。この調査結果によると、特許権で3~5%、商標権で2~3%、著作権だと5~10%、技術ノウハウで3~5%というのがおおよその範囲のようです。

知的財産の価値評価を踏まえた特許等の活用の在り方に関する調査研究報告書 ~知的財産(資産)価値及びロイヤルティ料率に関する実態把握~(METI/経済産業省)

まとめ

移転価格とロイヤリティは国際取引を進めていく上で必須の知識です。細かい解釈や税務当局に説明するための理論武装は、専門家に相談をあおぐとしても、この記事に書いてある程度の概要は、国際取引に関わる方であれば知っておくべき内容になるでしょう。国際取引に関与している方の参考になれば幸いです。

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セーシン
元リーマン管理職+副業歴15年、海外事業・独立起業などの経験を踏まえて、仕事、経営、キャリア、海外に関することなど、ビジネスパーソンとしての戦闘力を高めるための情報を発信しています。 ツイッターアカウントはこちら