Ns spirit 投資学・経営学研究室

投資・経営の基礎を網羅した「投資学・経営学研究室」のブログ版です。ビジネスパーソンに必須となる基礎知識・基礎スキル、仕事やキャリアに関する情報を中心に発信していきます。

移転価格税制とは グループ会社間の国際取引で配慮すべき税制度

移転価格(Transfer Pricing, TP)とは、同一企業グループ内における取引価格のことです。この移転価格は税務面で大変重要な価格になります。

 

移転価格の例

X社のA国、B国間での取引を考えてみます。通常、図1のような取引をしていたとします。次に図2のような取引を考えます。X社で見ると、利益総額は変わりません。(もしA国よりもB国の方が法人税率が低い場合、図2の取引の方がX社の純利益は増えます)

f:id:n_spirit:20180928200026p:plain

f:id:n_spirit:20180928200043p:plain

しかし、A国の税務当局から見ると、利益が減るということはその分税金が少なくなることを示します。もしこの利益額が適正な水準とは乖離があると判断されると、A国の税務当局からは追徴課税を要求されます。追徴課税は通常の税率よりも大きくとられることになります。

 

そのときに、A国で課税された分、B国から税金が返されるかというと、そうはなりません。つまり二重課税になるわけで、企業からすると、本来払わなくてよかったはずの課税をされてしまうということになります。

 

f:id:n_spirit:20180928200111p:plain

 

移転価格の設定方法

移転価格の設定方法には以下のような考え方があります。

 

独立価格比準法

A国におけるX社とは異なる第三者が類似製品を海外の第三者に販売する際の取引価格と比較する方法です。シンプルな方法ですが、製品の類似性が本当に高いか、取引条件に違いがないかをよく確認した上で、適用する必要があります。言い換えると、この方法を使わない場合は、税務当局に対して、それらの類似性が少ないことを説明する必要があります。

 

原価基準法

X社A国の他商品や他社類似商品の売上総利益率と比較する方法です。独立価格比準法と同様に、比較対象の製品、取引条件に関する類似性があるかがポイントとなります。

 

再販売価格基準法

これはB国における販売価格と粗利額の妥当性から判断する方法です。

 

取引単位営業利益率法(Transaction Net Margin Method, TNMM)

これはB国における営業利益率を対象会社と比較する方法です。この方法だと、製品の特徴や取引条件の差異の影響を受けにくいことの加えて、A国からの技術・ノウハウの供与とそれらへの対価(ロイヤリティなど)も勘案した上で比較できることから近年では最も広く活用されている方法です。

 

X社にとっては、少しでも法人税を節約したい、B国で極端に競争力を失うような移転価格設定は避けたいと考えるわけですが、一方で税務当局には取引の妥当性を理解してもらい、追徴課税という事態を避けなければなりません。そのためには、これらの方法を理解した上で、あらゆる角度から税務当局に説明できるようにしておく必要があります。

 

こちらの記事も参考に

www.nsspirt-cashf2.com