Ns spirit 投資学・経営学研究室

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「KDDI」が「キッザニア」を買収 買収の意図・狙いは?

10/10KDDIがキッザニアを運営するKCJ Groupを買収するというニュースが発表になりました。こちらがKDDIが発表しているニュースリリースです。

KDDIとKCJ GROUP、こどもの将来を見据えた包括的なパートナーシップを構築 | 2018年 | KDDI株式会社

 

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KDDIの事業と直近の業績

KDDIはAUブランドで携帯電話事業を展開する通信キャリア大手で、2019年3月末総務省発表の事業者別携帯電話シェアによると、27.6%で第2位となっています。(ちなみに1位がNTTドコモ(38.7%)、3位がソフトバンク(23.1%)となっています)。

 

2018年3月期の連結売上高は約5兆円、営業利益9,600億円(営業利益率19.1%)、従業員数は連結で38,826人といういわゆる大企業です。2018年10月10日時点時価総額は約7.6兆円で、会社予想純利益に対するPERは11.6倍となっています。PERで見ると、NTTドコモの15.46倍と比較すると、やや評価の低い時価総額となっています。(PBR比較だと1.79:1.88でPERよりは差が近接しています)

 

最近は物販などの非通信事業を伸ばして、ライフデザイン企業への変貌を模索しており、直近決算期では8%がライフデザイン事業からの売上です。

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KCJ Group「キッザニア」の事業と直近の業績

2004年に設立、「キッザニア」という3歳~15歳までのこどもが主役の職業体験施設を運営しています。施設内では子供たちが100種類以上の職業を体験することが可能です。子供自身がキッザニアでの職業体験を通じて、様々な職業について知ることができる、学びとエンターテイメントの融合サービスを提供しています。子供たちが職業体験をしている間、保護者たちは外からガラス越しまたはビデオで見ているだけになります。

 

2018年9月時点での従業員数は2,123名で、そこそこの規模の会社です。売上高は非公開となっていますが、従業員一人当たり売上高を600万円と仮定すると約120億円、年間来場者数が2014年で東京・兵庫あわせて160万人だったそうなので、そこから客単価6000円程度と想定すると約96億円になりますので、売上高はおおよそ100-150億円程度と推定できるでしょう。

 

現在のところ東京と兵庫に施設があり、2020年には名古屋にも開業予定です。

 

ちなみに、キッザニアの元は1996年に設立されたメキシコを本社とする会社で、世界19か国、24の都市に施設が展開されています。今回買収の対象となったのはFC形式で展開している日本法人です。

 

買収の戦略上の意味合い

KDDIは上述のとおりライフデザイン事業に力を入れており、新聞記事に書かれているとおり買収の狙いはライフデザイン事業の拡充になるでしょう。KDDIからも5GやIoTなどの最新技術をキッザニア施設に提供していくことも発表されています。

 

ただ、私は隠れた狙いとしてKDDIが運営するAUブランドなどを子供のうちから身近なブランドにすることで、キッザニアを体験した子供たちが将来AUブランドを受け入れやすくする土壌を作っていくという見方もできます。

 

KDDI自体は通信事業という免許事業が母体となっており、そうした会社が免許事業で得た利益を買収・事業拡大に使うことに対する批判もありますが、一方で将来的な規制緩和を見据えた動きと見ることもできます。

 

いずれにせよ、公開情報を見る限りは直近すぐに発揮できるシナジーはなさそうなのですし、巨大企業のKDDIとエンターテイメントが主体のキッザニアとの間では、従業員レベルでの企業文化の違いが大きいことも多いに想像がつきますので、KDDIとしてもこの買収からの成果を長期的な視野で考えているものと思います。

 

なお、KDDIが今回の買収でいくら投じたか現在のところ公表されておりませんが、キッザニアの事業規模から考えると、KDDIにとっては決して大きな買収ではなく、ただちに株価に影響を与えるようなものでもないでしょう。

 

参考ページ

www.nsspirt-cashf2.com