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【5分でわかる】囚人のジレンマとは ビジネスを悩ませる正体

世の中の事象の中で、何となく頭をもやもやさせてしまう事象はないでしょうか。

例えば、会社同士の競争を考えてみましょう。

もし会社同士が一斉に価格競争をやめたとしたら、どこの会社も儲かるはずなのに、世の中そうはなりません。

もちろん、あからさまに共謀すると独占禁止法に引っかかるという問題もありますが、そうでなくても一斉にやめることは不可能ではないように見えます。しかし、現実問題としてはそうなっていないのです。

これらの一連の事象はゲーム理論の中にある最も代表的なケース「囚人のジレンマ」によって説明することができます。

この記事では囚人のジレンマについて解説していきます。

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囚人のジレンマとは

囚人のジレンマとは、ゲームの理論に登場する最も有名なゲームのひとつです。このゲームでは、AとBという2人の容疑者が登場します。

2人は犯罪容疑で警察に捕まっているのですが、拘束されている件とは別の犯罪に関連した容疑で尋問を受けることになりました。

2人が罪を犯した決定的証拠がないため、2人を別々の部屋で尋問します。AとBはそれぞれ、「自白する」「自白しない」という選択肢があります。

2人の選択の仕方によって、2人の刑の重さは次の表のようになります。

B
自白しない自白する
A自白しないA:2年

B:2年

A:0年

B:30年

自白するA:30年

B:0年

A:5年

B:5年

※左下がAの懲役、右下がBの懲役

上の表を解説すると次のようになります。
①A,Bが両方とも自白する場合 → ともに懲役5年
②A,Bが両方とも自白しない場合 → ともに懲役2年
③A,Bが片方だけ自白した場合 → 自白したほうは無罪、自白しないほうは懲役30年

この場合、A,B双方にとって最も優位な選択は「自白する」になります。なぜなら、相手が自白した場合でも、自白しなかった場合でも、自分が自白したほうが、刑期はより軽くなります(これを絶対優位の戦略といいます)。そのため、このゲームではA,Bともに自白して刑期が5年に落ち着くことになります。

このゲームの面白いところは双方にとってベストの選択である「双方とも自白しない」があるにも関わらず、双方が自白してベストの選択をしないところにあります。

このように双方が絶対優位な戦略をとっても、双方にとってベストの選択とならないようなゲームを「囚人のジレンマ」といいます。

ここで仮に口裏を合わせて、A、Bともに自白しないという約束をしても、どちらかが自白すれば無罪になるというメリットがあるため、常に裏切りの要素を含んでいます。結果として囚人A、Bは「ともに自白する」という結果を招いてしまいます。

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囚人のジレンマの現実ビジネスへの適用

この囚人のジレンマは、現実のビジネスでも多数見られます。実は、冒頭で説明した価格競争もこの囚人のジレンマで説明できるのです。

話を単純化するためにここではP社とH社と2社だけがいるとします。

H社
値下げしない値下げする
P社値下げしないP社:100

H社:100

P社:70

H社:110

値下げするP社:110

H社:70

P社:90

H社:90

※左下がP社の利益、右下がH社の利益

上の表を解説すると次のようになります。
①P社、H社が両方とも値下げする場合 → ともに90
②P社、H社が両方とも値下げしない場合 → ともに100
③P社、H社の片方だけ値下げした場合 → 値下げした方が110、値下げしなかった方が70

最初に囚人のジレンマとして出した例と全く同じ事が起きています。

P社とH社にとって、双方が値下げしないというのが最良の選択なのです。しかし、どちらかが値下げした瞬間に、値下げした方は利益が増えて、値下げしなかった方は利益が減るので、結果としてどちらも値下げするという方向に向かってしまうのです。

囚人のジレンマを回避する方法

囚人のジレンマを回避するのは難しいのですが、方法がないわけではありません。例えば、次のような方法があります。

規制を設ける

業界団体で規制を儲けて、競争が行きすぎないようにしている例があります。

例えば、理髪店やタクシーなどは業界団体がルールを作って、参加している事業者が囚人のジレンマに陥るのを防いでいます。(近年はQB HouseやUberのように破壊者も表れていますが)

裏切りに対して制裁を課す

囚人のジレンマには、裏切ることに大きなインセンティブがあったためにジレンマに陥ってしまいましたが、裏切りに対して制裁が加えられるようなことがあれば、この限りではないです。

例えば、二人の人が喧嘩をして武器を持ち始めたとします。本来は双方が武器を手放すことができれば精神的にも開放されますが、常にお互いが裏切りの要素を抱えているため、武器を手放すことはできません。

しかし、ここで裏切って武器を持ったり、武器を使ったりすることに強力な制裁が加えられるとすれば、双方武器を持つことにメリットを感じなくなり、武器を捨てることになるでしょう。

協力する

カルテルのようなことをすれば独占禁止法に抵触してしまいますが、抵触しない範囲で協力することもできます。

日頃から相手と信頼関係を築いておき、裏切らないことが双方の繁栄に寄与するということを確認できていれば、お互いが裏切ることもなくなります。

多くの良好な人間関係は、突然の裏切りによって誰か一人が一方的に利益を得られるケースがありますが、一度それをしてしまうと二度と協力関係を構築できないというリスクもはらんでいます。(そういう意味では、広義の意味での制裁となるのかもしれません)

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セーシン
元リーマン管理職+副業歴15年、海外事業・独立起業などの経験を踏まえて、仕事、経営、キャリア、海外に関することなど、ビジネスパーソンとしての戦闘力を高めるための情報を発信しています。 ツイッターアカウントはこちら