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【5分でわかる】囚人のジレンマとは【その意味を事例付で解説】

 

こんにちは、セーシン(@n_spirit2004)です。

世の中の事象の中で、何となく頭をもやもやさせてしまう事象はないでしょうか。

例えば、会社同士の競争を考えてみましょう。

もし競争状態にある会社が一斉に価格競争をやめることができたら、どこの会社も儲かるはずなのに、世の中そうはなりません。

もちろん、あからさまに共謀すると独占禁止法に引っかかるという問題もありますが、そうでなくても一斉にやめることは不可能ではないように見えます。

しかし、現実はそうなりません。

この事象は「囚人のジレンマ」というケースによって説明することができます。

この記事では囚人のジレンマについて解説していきます。

 

囚人のジレンマとは

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囚人のジレンマとは、ゲームの理論に登場する最も有名なケースのひとつです。

このゲームでは、容疑者Aと容疑者Bという2人の容疑者が登場します。

2人は犯罪の容疑で警察に捕まっています。

2人が罪を犯した決定的証拠がないため、2人を別々の部屋で尋問します。

AとBにはそれぞれ、「自白する」「自白しない」という選択肢があります。

2人の選択の仕方によって、2人の懲役年数は次の表のようになります。

容疑者B
自白しない 自白する
容疑者A 自白しない A:2年

B:2年

A:0年

B:30年

自白する A:30年

B:0年

A:5年

B:5年

上の表を解説すると次のようになります。

  1. A、Bが両方とも自白する場合 → ともに懲役5年
  2. A、Bが両方とも自白しない場合 → ともに懲役2年
  3. A、Bが片方だけ自白した場合 → 自白したほうは無罪、自白しないほうは懲役30年

この場合、A、B双方にとって最も優位な選択は「自白する」になります。

なぜなら、相手が自白した場合でも、自白しなかった場合でも、自分が自白したほうが、刑期はより軽くなります。

これを絶対優位の戦略といいます。

そのため、このゲームでは容疑者A、Bともに自白して刑期は懲役5年に落ち着くことになります。

このゲームの面白いところは、双方が「自白しない」というベストな選択があるにも関わらず、双方とも自白してベストな結果にならないところです。

このように双方が絶対優位な戦略をとっても、双方にとってベストな選択を選べないゲームを「囚人のジレンマ」と読んでいます。

もし仮に事前に口裏を合わせることができて、A、Bともに自白しないという約束をしても、A、Bがどちらかが裏切って自白すれば無罪になるというメリットがあります。

このゲームには、このように常に裏切りの要素を含んでいるため、結果として囚人A、Bは「ともに自白する」という結果を招いてしまいます。

 

囚人のジレンマの現実ビジネスへの適用

この囚人のジレンマは、現実のビジネスでも多数見られます。

 

価格競争の例

実は、冒頭で説明した価格競争もこの囚人のジレンマで説明できるのです。

ある業界でP社とH社の2社が競争をしているとします。

両者の戦略は、値上げする、値上げしないの2択で、それぞれの組み合わせで利益は次のようになるとします。

H社
値下げしない 値下げする
P社 値下げしない P社:100

H社:100

P社:70

H社:110

値下げする P社:110

H社:70

P社:90

H社:90

上の表を解説すると次のようになります。

  1. P社、H社が両方とも値下げする場合 → ともに利益90
  2. P社、H社が両方とも値下げしない場合 → ともに利益100
  3. P社、H社の片方だけ値下げした場合 → 値下げした方が利益110、値下げしなかった方が利益70

囚人のジレンマとして出した最初の例と全く同じ事が起きています。

P社とH社にとって、双方が値下げせずに、100の利益を確保するのが最良の選択なのです。

しかし、どちらかが値下げした瞬間に、値下げした方は利益が増えて、値下げしなかった方は利益が減るので、結果としてどちらも値下げするという方向に向かってしまいます。

 

日用品買い占めの例

世の中で供給不安を連想させる出来事があると、日用品の買い占めが起こります。

例えば、オイルショックやウイルスの蔓延で、トイレットペーパーが無くなるような状況です。

供給不安が起こったとしても、トイレットペーパーの消費量が劇的に増えることはないので、みんなが冷静になって、必要な分を必要なときだけ買って上手に使えば、みんなにトイレットペーパーが行き渡るようになります。

しかし、現実はそうはなりません。

なぜなら、みんなが少しずつ買うことがよいとわかっていても、自分だけのことを考えたら買い占めてストックしておいた方がよいからです。

先ほどの囚人のジレンマの表を用いると、次のようになります。(数字は利益の度合いとして考えてください)

Bさん
買い占める 買い占めない
Aさん 買い占める Aさん:80

Bさん:80

Aさん:200

Bさん:0

買い占めない Aさん:0

Bさん:200

Aさん:100

Bさん:100

ここでもお互いが絶対優位の戦略をとると、買い占めるという方向になってしまいます。

これは2人の事例ですが、これが何百人、何千人のゲームになると、みんなが買い占めに走るようになるのです。

実は、先日のウイルス騒動のときに、以下のような話を聞きました。

このとき、供給できなくなるというデマが流れたのですが、並んで買っている人の中にはデマだとわかっている人もいました。

しかし、囚人のジレンマに陥っている状態を考えると、デマだとわかっていても、列に並んで買えるだけ買うという行動をとってしまうのです。

 

囚人のジレンマを回避する方法

囚人のジレンマを回避するのは難しいのですが、方法がないわけではありません。

例えば、次のような方法があります。

 

規制を設ける

業界団体で規制を儲けて、競争が行きすぎないようにしている例があります。

例えば、理髪店やタクシーなどは業界団体がルールを作って、参加している事業者が囚人のジレンマに陥るのを防いできました。(近年では、QB HouseやUberのような業界破壊者も表れていますが)

また、トイレットペーパーの例では、買えるのは1人1袋までなどと規制をかけることで、囚人のジレンマに陥ることを防ごうとしました。

 

裏切りに対して制裁を課す

裏切りに大きなインセンティブがあると、囚人のジレンマに陥るので、その裏切りに対して制裁が加えられれば、囚人のジレンマを防ぐことができます。

例えば、二人の人が喧嘩をして武器を持ち始めたとします。

本来は双方が武器を手放すことができれば精神的にも開放されますが、常にお互いが裏切りの要素を抱えているため、武器を手放すことができません。

しかし、ここで裏切って武器を持ったり、武器を使ったりすることに強力な制裁が加えられるとすれば、双方武器を持つことにメリットを感じなくなり、武器を捨てることになるでしょう。

 

日常的に協力関係を作る

カルテルのようなことをすれば独占禁止法に抵触してしまいますが、抵触しない範囲で協力することもできます。

日頃から相手と信頼関係を築いておき、裏切らないことで双方とも利益を得られることを確認できていれば、お互いが裏切る必要がなくなります。

また、その関係が継続的な取引につながる関係だと、裏切りには大きなデメリットが生じるようになるのです。(広義の意味では、規制や制裁と言えるかもしれません)

 

まとめ

以上、囚人のジレンマの解説でした。

  • 囚人のジレンマとは、お互いが個別に優位な選択をした結果が2人にとって最良の結果にならない状態のことである。
  • 囚人のジレンマは、日常の至るところで起こっていて、価格競争、不安時の日用品買い占めなどが典型例として見られる。
  • 囚人のジレンマに陥らないためには、「規制」、「裏切りに対する制裁」、「日常的な協力関係」が大事。

囚人のジレンマをはじめとしたゲーム理論の解説は、以下の本が詳しいです。

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セーシン
元製造業のリーマン管理職。海外駐在や新規事業を経験後、40代で独立し複数の会社から業務を受託するフリーランスにキャリアチェンジ。国内外の仕事を受けています。ウェブサイト運営歴15年、20代からの学びをこのブログにまとめています。 ツイッターアカウントはこちら
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