先回の記事でオプション取引の詳細を解説しましたが、この記事では、オプション取引でよく出てくる用語について解説します。
オプション取引の解説記事

デルタ
デルタとは、対象原資産の価格変動に対する、オプションの価格変動を示す指標です。
デルタは通常0~1の間で、デルタが0.6の場合、原資産価格が100円上昇すると、オプション価格が60円上昇することを意味します。デルタは、イン・ザ・マネーのオプションほど高く(原資産価格の変化がオプション価格に与える影響が大きく)、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションほど低く(原資産価格の変化がオプション価格に与える影響が小さく)なります。
アウト・オブ・ザ・マネー
アウト・オブ・ザ・マネーとは、権利行使価格が原資産価格の外側にある状態です。つまり、コールオプションの場合、原資産価格<権利行使価格、プットオプションの場合、原資産価格>権利行使価格の状態です。すなわち、アウト・オブ・ザ・マネーはその状態で権利を行使しても利益が得られない状態のことです。
イン・ザ・マネー
イン・ザ・マネーとは、権利行使価格が原資産価格の内側にある状態です。つまり、コールオプションの場合、原資産価格>権利行使価格、プットオプションの場合、原資産価格<権利行使価格の状態です。すなわち、イン・ザ・マネーはその状態で権利を行使すると、利益が得られる状態のことです。
アット・ザ・マネー
アット・ザ・マネーとは、権利行使価格と原資産価格が等しい状態です
SQ
SQとは、Special Quotationの略で特別清算指数と呼ばれます。日経225の場合、SQはオプションの満期日の翌取引日の最初の値になります。
オプション価格が高く現物が安い時は、「オプション売りの現物買いのいわゆる裁定取引」が活発になります。(もちろん逆の場合もあります。)
そのため、SQやSQの前日(オプションの満期日)は、現物の売買が盛んに行われるため、オプションには関係のない人も大きな影響を受けます。
オプションの場合は、1月に1回、先物の場合は、3ヶ月に1回、いずれもその月の第2金曜日がSQになります。
SPAN証拠金
SPAN証拠金とは、先物やオプションの建玉において、SPAN(Standard Portfolio Analysis of Risk)に基づいて計算された証拠金のことです。SPANは、1988年シカゴ・マーカンタイル取引所で初めて導入された証拠金計算システムで、ポートフォリオ全体のリスクを見積り、そのリスクに見合う証拠金を正確に計算することができます。
先物やオプションでは、通常このSPAN証拠金をベースに必要委託証拠金が決定されます。
オプション価格の決定要因
オプションの価格は、理論的にはブラック・ショールズ・モデルという複雑な計算式で求めることができます。ブラック・ショールズ・モデルでは原資産価格、権利行使価格、残存期間、変動率(ボラティリティ)、金利からオプション価格を求めます。
しかし、個人投資家が、ブラック・ショールズ・モデルを使って理論値を求めること自体に大きな意味はないので、このような複雑な計算式の説明は割愛します。
オプション価格の決定要因としては、先に述べた5つの要素の中でも、原資産価格、権利行使価格、残存期間、変動率(ボラティリティ)が重要であるということを概念的に理解しておくことが重要です。
(なお、オプションの価格のことをプレミアムということもあります。)
原資産価格
原資産価格の上下が、オプション価格に影響を与えるのは、イメージしやすいでしょう。原資産価格が上がれば、コールオプションの価値は上がり、プットオプションの価値は下がります。
権利行使価格
権利行使価格がどの水準にあるかもオプション価格決定の重要な要素です。イン・ザ・マネーのオプションほど価格が高く、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションほど価格が低くなります。
残存期間、ボラティリティ
残存期間とボラティリティについては、以下オプション取引・特有の概念のページで述べたとおりです。残存期間の短いオプションほど価格は低く、ボラティリティの高いオプションほど価格は高くなります。

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