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【徹底解説】オプション取引 基本戦略の組み合わせによる10個の売買戦略

オプション取引の基本売買は4つありますが、その4つに加えて、4つの取引の組み合わせにより様々な相場に適した売買戦略を立てることができます。

この記事では、その売買戦略の一部を一覧で紹介します。

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10個の売買戦略

売買戦略方法市場の方向性最大利益最大損失
コールの買いコールの買い上昇無限大オプションの購入価格
プットの買いプットの買い下降無限大オプションの購入価格
コールの売りコールの売り下降オプションの売却価格無限大
プットの売りプットの売り上昇オプションの売却価格無限大
デビット・スプレッド相場上昇の予想ならコールを買い、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのコールを売る。相場下降の予想の場合はプットで仕掛ける上昇
or
下降
買いと売りの権利行使価格の差額買いと売りのオプション価格の差額
クレジット・スプレッド相場が横ばいからやや上昇の予想ならコールを売り、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのコールを買う。相場が横ばいからやや下降の予想の場合はプットで仕掛ける横ばい~上昇
or
横ばい~下降
買いと売りのオプション価格の差額買いと売りの権利行使価格の差額
レシオ・スプレッド相場上昇の予想ならコールを買い、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのコールを2倍以上売る。相場下降の予想の場合はプットで仕掛ける横ばい~上昇
or
横ばい~下降
買いと売りの権利行使価格の差額原資資産価格が大きく変動した場合は無限大
ニュートラル・オプション・ポジションアウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットを両方売る横ばいオプションの売却価格無限大
カレンダー・スプレッド限月の近いオプションを売り、限月の遠いオプションを買う。上昇
or
下降
買いと売りの権利行使価格の差額理論上は無限大だが、たいていの場合は売りの損失を買いの利益でカバーできる。
フリートレードへの変換オプションを買った後、相場が思惑の方向に進んだ時点で、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売る上昇
or
下降
買いと売りの権利行使価格の差額通常は損失がないように仕掛ける
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戦略1.コールの買い

■売買手法
コールオプションを買う

■狙い目
ボラティリティが低く、相場が上がり調子になりそうなとき

■最大利益
理論上は無限大

■最大損失
オプションを買ったときの支払い金額

■メリット
大きな利幅を取れる可能性がある

■デメリット
買いのみの戦略なので、タイム・ディケイの影響を受けやすい

下の図は、権利行使価格12500円のコールオプションを200円で1単位(1000枚)買ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように最大利益は無限大、最大損失は購入金額の20万円になります。

オプション取引 利益グラフ

戦略2.プットの買い

■売買手法
プットオプションを買う

■狙い目
ボラティリティが低く、相場が下がりそうなとき

■最大利益
理論上は無限大

■最大損失
オプションを買ったときの支払い金額

■メリット
大きな利幅を取れる可能性がある

■デメリット
買いのみの戦略なので、タイム・ディケイの影響を受けやすい

下の図は、権利行使価格11500円のプットオプションを200円で1単位(1000枚)買ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように最大利益は無限大、最大損失は購入金額の20万円になります。

オプション取引 プットオプション

プットオプションの買いは、理論上利益が無限大になりますが、相場が思惑どおりの方向に進んだ段階でフリートレードに転換することが最上の策とされています。なぜなら、思惑どおりの方向に進んだあと、反転した場合でも、フリートレードにしておけば当初の投下資金が保全できるためです。

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戦略3.コールの売り

■売買手法
コールオプションを売る

■狙い目
ボラティリティが高く、相場が横ばい~下がりそうなとき

■最大利益
オプションを買ったときの受取プレミアム

■最大損失
理論上は無限大

■メリット
タイム・ディケイの恩恵にあずかれる

■デメリット
売りのみなのでリスクが非常に高い

下の図は、権利行使価格12500円のコールオプションを200円で1単位(1000枚)売ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように最大利益は20万円、最大損失は無限大になります。

コールオプションの売り

オプションの売りのみのポジションは、利益になる可能性が高いかわりに、リスクも高くなります。そのため、オプションの売りのみのポジションを持っている場合は、他のオプションでリスクを低減するか、相場が思惑の方向と反転したときに、すばやくポジションを手仕舞う必要があります。

戦略4.プットの売り

■売買手法
プットオプションを売る

■狙い目
ボラティリティが高く、相場が横ばい~上がりそうなとき

■最大利益
オプションを買ったときの受取プレミアム

■最大損失
理論上は無限大

■メリット
タイム・ディケイの恩恵にあずかれる

■デメリット
売りのみなのでリスクが非常に高い

下の図は、権利行使価格11500円のプットオプションを200円で1単位(1000枚)売ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように最大利益は20万円、最大損失は無限大になります。

プットオプションの売り

オプションの売りのみのポジションは、利益になる可能性が高いかわりに、リスクも高くなります。そのため、オプションの売りのみのポジションを持っている場合は、他のオプションでリスクを低減するか、相場が思惑の方向と反転したときに、すばやくポジションを手仕舞う必要があります。

戦略5.デビット・スプレッド

デビット・スプレッドとは、オプションの購入価格をアウト・オブ・ザ・マネーのオプションの売却価格によって、低減して利益を狙う戦略です。

■売買手法
相場上昇の予想ならコールを買い、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのコールを売る。
相場下降の予想ならプットを買い、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのプットを売る

■狙い目
ボラティリティが高く、相場が上がり(or下がり)そうなとき

■最大利益
権利行使価格の差額分に限定される

■最大損失
オプション売買時の受取プレミアムと支払プレミアムの差額

■メリット
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションの方が、タイム・ディケイの影響を受けやすく、相場が思惑どおりに動くと利益になりやすい。また、リスクも限定される。

■デメリット
買いのみにに比べ、利益が限定されてしまう。

下の図は、権利行使価格11500円のコールオプションを200円で1単位(1000枚)買い、権利行使価格12000円のコールオプションを100円で1単位売ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように利益、損失ともに限定されます。

デビッドスプレッド

一方、次の図は、利行使価格12500円のプットオプションを200円で1単位(1000枚)買い、権利行使価格11500円のプットオプションを100円で1単位売ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。

デビッドスプレッド

戦略6.クレジット・スプレッド

クレジット・スプレッドとは、オプション売却におけるリスクをアウト・オブ・ザ・マネーのオプションの購入によって、低減して利益を狙う戦略です。

■売買手法
相場上昇~横ばいの予想ならプットを売り、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのプットを買う。相場横ばい~下降の予想ならコールを売り、さらにアウト・オブ・ザ・マネーのコールを買う。

■狙い目
ボラティリティが高く、相場が横ばい~上がり(or横ばい~下がり)そうなとき

■最大利益
オプション売買時の受取プレミアムと支払プレミアムの差額

■最大損失
権利行使価格の差額分に限定される

■メリット
売りのみの戦略に比べ、リスクが限定される。

■デメリット
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションの方が、タイム・ディケイの影響を受けやすく、相場が思惑と反転すると損失になりやすい。

下の図は、権利行使価格11500円のプットオプションを200円で1単位(1000枚)売り、権利行使価格12000円のプットオプションを100円で1単位買ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように利益、損失ともに限定されます。

クレジットスプレッド

一方、次の図は、利行使価格12500円のコールオプションを200円で1単位(1000枚)売り、権利行使価格11500円のコールオプションを100円で1単位買ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。

クレジットスプレッド

戦略7.レシオ・スプレッド

レシオ・スプレッドとは、オプションの購入価格を、2倍以上のアウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売却することによって、投下資金を保全しながら利益を狙う戦略です。

■売買手法
相場がやや上昇~横ばいの予想ならコールを買い、さらに2倍以上のアウト・オブ・ザ・マネーのコールを売る。相場が横ばい~やや下降の予想ならプットを買い、さらに2倍以上のアウト・オブ・ザ・マネーのプットを売る。

■狙い目
ボラティリティが高く、相場が緩やかに上がり(or下がり)そうなとき

■最大利益
権利行使価格の差額分に限定される

■最大損失
理論上は無限大

■メリット
アウト・オブ・ザ・マネーのオプションの方が、タイム・ディケイの影響を受けやすく、相場が思惑どおりに動くと利益になりやすい。

■デメリット
買いのみにに比べ、利益が限定されてしまう。

下の図は、権利行使価格11500円のコールオプションを250円で1単位(1000枚)買い、権利行使価格12000円のコールオプションを140円で2単位売ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように利益、損失ともに限定されます。

レシオスプレッド

一方、次の図は、利行使価格12500円のプットオプションを250円で1単位(1000枚)買い、権利行使価格11500円のプットオプションを140円で2単位売ったときの、満期日の原資産価格と利益の関係です。

レシオスプレッド

レシオ・スプレッドはオプションの購入と売却の差し引きのプレミアムがプラスになるようにすると、利益を上げる可能性が極めて高くなる戦略です。(グラフでいうと、平行線の部分が利益になるようにしておくことです。)

戦略8.ニュートラル・オプション

ニュートラル・オプション・ポジションとは、アウト・オブ・ザ・マネ-のコールとプットを両方売って、時間的価値の減少(タイム・ディケイ)を狙って利益を得る戦略です。

■売買手法
アウト・オブ・ザ・マネーのコールとプットを両方売る

■狙い目
ボラティリティが高く、相場が横ばいのとき

■最大利益
オプションを売ったときの受取プレミアム

■最大損失
理論上は無限大

■メリット
タイム・ディケイの恩恵にあずかれる

■デメリット
利益が限定される一方で、損失リスクは無限大になる。

下の図は、権利行使価格11000円のコールオプションを200円で1単位(1000枚)、権利行使価格12000円のプットオプションを200円で1単位売った場合の、満期日の原資産価格と利益の関係です。グラフからもわかるように最大利益は限定される一方で、最大損失は理論上無限大になります。

ニュートラル・オプション・ポジション

ニュートラル・オプション・ポジションは、損失が無限大になるというリスクを秘めているため、リスクの低減の意味で、クレジット・スプレッドと組み合わせるという戦略が考えられます。つまり、売ったオプションのさらにアウト・オブ・ザ・マネーのオプションを購入しておいて、リスクを限定的にするのです。

戦略9.カレンダー・スプレッド

カレンダー・スプレッドとは、期近の限月のコール(またはプット)を売り、期先の限月のコール(またはプット)を買って、時間的価値の減少を差を利用して利益を上げる戦略です。

■売買手法
期近の限月のコール(またはプット)を売り、期先の限月のコール(またはプット)買う

■狙い目
期近のオプションのボラティリティが高いとき

■最大利益
売り建てのオプションが無くなった場合は、無限大

■最大損失
理論上無限大だが、ほとんどの場合買い建てのオプションでカバーできる

■メリット
タイム・ディケイの恩恵にあずかれる

■デメリット
長期的なトレンドが形成されていないと利益になりにくい

カレンダー・スプレッドは売り建てが消えると、オプションの買いのみの戦略と同じになります。したがって、相場が思惑の方向に動いた場合は、フリートレードへの転換という2次戦略をとることもできます。

戦略10.フリートレードへの変換

フリートレードとは、コストフリー、すなわち元手がゼロの状態で投資(取引)をすることです。

オプション取引で、フリートレードを成立させるには、コール(またはプット)を買って、相場が思惑どおり動いたときに、買ったコール(またはプット)よりも、アウト・オブ・ザ・マネーのコール(またはプット)を売ればよいのです。(あくまで相場が思惑どおり動いたこと前提です)

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フリートレードの例

例えば、ある年の6月の日経平均が10000円で、9月限11000円のコールオプションが100円だったとします。ここで、トレーダーAは、今後日経平均が上昇すると期待して、このコールオプションを1単位(1000枚)=10万円分購入したとします。

さて、日経平均が思惑どおり上がってきて、7月に10800円になったとします。このとき9月限11500円のコールオプションが110円だったとします。ここで、このコールオプションを売るとフリートレード成立です。

■トレーダーAのポジション
・9月限11000円のコールオプション買い (購入価格100円×1000枚)
・9月限11500円のコールオプション売り (購入価格110円×1000枚)

トレーダーAは、9月までに相場がどのように動いても1万円((110-100)円×1000枚)の利益が確定します。そして相場がさらに上昇して日経平均が最終的に11500円を超えると(11500円-11000円)×1000+10000円=51万円の利益が得られます。

上記のトレーダーAのポジションにおいて、9月の日経平均株価とトレーダーAの利益の関係は次のとおりになります。

日経平均利益
~11000円未満
11000円~11500円
11500円を超える
1万円
(日経平均-11000円)×1000+1万円
50万円

もし、7月のコールの売りをせず、買い建てのポジションだけなら100万円の利益になりますが、フリートレードの場合、思惑以上に相場が動いて9月に12000円になっても50万円の利益にしかなりません。

しかし、相場は必ずしも思惑どおり動くとは限らないので、ひとつのポジションに対して、投下資金が守られているという状況はトレーダーにとってかなりのプラスになります。

 

フリートレードを応用して利幅増大する場合

上昇場面で、アウト・オブ・ザ・マネーのオプションを売るというフリートレードの考え方応用して利幅を増大させる方法もあります。

先ほどの例で、トレーダーAがフリートレードを成立させた後、日経平均が8月ですでに11500円に到達したとします。ここで9月限12000円のコールをさらに1000枚売って利幅を増大させる戦略もあります。

このコールオプションの価格が140円だった場合、9月の日経平均とトレーダーAが得る利益の関係は次のようになります。

日経平均利益
~11000円未満
11000円~11500円
11500円~12000円
12000円を超える
15万円
(日経平均-11000円)×1000+15万円
50万円+15万円
50万円+15万円-(日経平均-12000円)×1000

つまり12000円コールの売りによって最大利益を65万円にすることができるのです。ただし、日経平均が12640円を超えるとその分はマイナスになってしまいます。

しかし、8月から9月までの1ヶ月で日経平均が1140円も上がるというのは、まれと見ることができれば、こうした戦略も活用の余地が生まれてきます。

オプション売買の戦略をもっと知るには

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セーシン
元リーマン管理職+副業歴15年、海外事業・独立起業などの経験を踏まえて、仕事、経営、キャリア、海外に関することなど、ビジネスパーソンとしての戦闘力を高めるための情報を発信しています。 ツイッターアカウントはこちら