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【徹底解説】IRRとは 意味・計算式・エクセルでの求め方

 

DCF法で投資判断をする場合、IRRはNPVと並んでよく使われる判断指標になります。この記事では、そのIRRについて詳細を解説していきます。

(DCF法の詳細は以下の記事をご覧ください)

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IRRとは

IRRとは複利計算に基づいた、投資に対する収益率(利回り)を表します。

IRRは、DCF法におけるNPVの累計がゼロになる割引率としても求められます。日本語で内部収益率とか内部利益率と表現します。

DCF法の詳細は以下の記事をご覧ください。

【徹底解説】IRRとは 意味・計算式・エクセルでの求め方 DCF法で投資判断をする場合、IRRはNPVと並んでよく使われる判断指標になります。この記事では、そのIRRについて詳細を解説し...

 

この言葉だけではわかりにくいと思うので、事例を元に解説していきます。

以下のような投資案件AとBがあります。Aは100万円を設備投資したときに得られるキャッシュを表します。

(単位:万円)

現在1年目2年目3年目4年目
投資案件A
(設備投資)
-10020202052
投資案件B
(債券)
-100333103

Aでは毎年20万円のキャッシュを回収でき、4年目のキャッシュ回収時点で設備を32万円で売却します。

Bは同じく100万円を3%のクーポンの付いた債券に投資したときに得られるキャッシュを表します。Bでは4年目の金利を得た時点で、元本を回収します。

さて、表を見ると、どちらの投資案件においても、得られるキャッシュの総額は112万円で同じです。総額だけに着目すると、どちらに投資しても優劣がないと判断できます。

しかし、DCF法のページの冒頭でも述べているように、お金には時間的な価値があります。したがって、投資案件A、Bは同じ時間軸で比較しなければ、優劣の議論ができません。

 

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IRRによる利回り計算

同じ時間軸で比較したとき、先ほどの投資案件A、Bで獲得できるキャッシュはいくらになるかIRRを使って計算してみます。

ここでは計算を簡単にするために、投資案件Bのクーポン3%を割引率として考えます。

 

獲得キャッシュ総額での比較

投資案件A(設備投資)では、獲得キャッシュの総額の現在価値は以下のようになります。

投資案件Aのキャッシュ総額(現在価値)

=-100+20/(1+0.03)+20/(1+0.03)2+20/(1+0.03)3+52/(1+0.03)4

=102.8万円

一方で、投資案件B(債券)の獲得キャッシュの総額の現在価値は以下のとおりとなります。

投資案件Bのキャッシュ総額(現在価値)

=-100+3(1+0.03)+3(1+0.03)2+3(1+0.03)3+103(1+0.03)4

=100万円

時間軸を同じにすると投資案件Aの方が、2.8万円も得をすることがわかります。

キャッシュの総額として2.8万円得をすることはわかりましたが、これを利回りで見るといくらどの程度違うのでしょうか?ここでIRRの計算が必要になります。IRRは次の式から計算します。(rはIRRを表します)

 

IRRでの比較

投資案件A(設備投資)のIRRは次のようになります。

投資案件AのIRR

-100 + 20/(1+r) + 20/(1+r)2+ 20/(1+r)3+52(1+r)4=0

r = 3.98%

一方で、投資案件B(債券)の獲得キャッシュの総額の現在価値は以下のとおりとなります。

投資案件AのIRR

-100 + 3/(1+r)+3/(1+r)2+3/(1+r)3+103/(1+r)4 = 0

r = 3%

 

この結果から、利回りで見ると、投資案件Aの方が0.98%高いことがわかります。

このケースにおける割引率とNPVの関係をグラフで表すと、次のようになります。

IRRの意味

それぞれ横軸と交わるとき、すなわちNPVがゼロになる割引率がIRRを表します。

ちなみに、このケースでは、いかなる割引率においても投資案件Aの方が優れている(常に投資案件Aのグラフが上側にきている)ことがわかります。

このようにIRRを使うことで、異なる時間軸で獲得できるキャッシュの利回りを比較することができます。

ここに挙げた以外のIRRを使った利回り比較例として、異なるタイプの債券の比較を以下の記事に載せました。あわせてご覧ください。

【2分でわかる】IRRを使った債券の利回り計算方法 債券(国債、社債)には、満期、利率、額面価格、発行価格によって様々な種類のものが存在します。 この記事では、それらの債券を...

 

※補足
この例では、投資案件A、Bともに将来のキャッシュが確実に予想できるという単純化した前提で計算をしました。しかし、実際には投資案件Aのような設備投資は、投資案件Bのような債券と比較すると、予定のキャッシュを回収できないリスクが大きくなります。

そのため、通常は投資案件Aの現在価値を考える場合、複数のキャッシュ獲得シナリオを作った上で、比較検討していきます。

 

IRRを使うメリット・デメリット

IRRは、投資利回りの観点から議論できるメリットがありますが、次のようなデメリットがあります。

  1. IRRには利回りの観点しかないため、投資規模が考慮できない。
  2. IRRを算出する際に、期間を明示するルールがない。
  3. IRRは解が出ない場合がある。(下図参照)
  4. 途中の期に割引率(WACC)が変化するような場合、IRRの値の評価ができない。(多大な負債を使ってM&Aをして、買収後に事業を売却するなど、資本構成が大きく変化するような場合)

③のIRRの解が出ない場合とは、次のようなときです。このように期の途中にマイナスが出てしまうと解が出ない場合があります。

(単位:万円)

現在1年目2年目3年目4年目
例1-5888-25
例2-158-55-5

これをグラフで視覚化すると次のようになります。

IRRが求められないケース

 

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IRRを用いるケースとNPVを用いるケース

IRRには上記のようにいくつかデメリットがあるので、NPVと合わせて総合的に判断をする必要があります。一般的には、NPVとIRRのどちらを見るかの分かれ目として次のような考え方があります。

  • 資金の制限が少なく、単一のプロジェクトを評価する場合は、NPVを重視して判断する。
  • 限られた資金を複数の事業に分配することを考える場合は、IRRを重視して判断する。

 

IRRを用いるケースとNPVを用いるケースについて、詳細を以下の記事に記載しました。

DCF法で重視する指標 資本制約のあり・なし両方のケースで解説DCF法で投資判断をするときに、NPVやIRRなどの指標がでてきますが、どの指標を最も重視すべきか?という疑問を持たれている方も多いよう...

 

IRRはエクセルを使うと簡単に計算できる

IRRの計算は、かなり複雑なため、手計算では非常に時間がかかります。しかし、エクセルを使うとIRRの計算は非常に簡単にできます。

例えば、1年目に-100の投資をして、2年目以降にリターンを得るというモデルの場合は、以下のようにIRR関数を使って計算式を入れます。

 

IRRのエクセルでの求め方

このときは、特に指定なく間隔は1年後になります。(推定値は結果が複数考えられる場合に、予めそのあたりになるという前提で入れるもので、このように単純な計算の場合は特に入れる必要はありません)

このIRRを日にち単位で分析する場合は、次に解説するXIRR関数を活用します。

 

XIRRとは

XIRRは、リターンの取得時期が一定間隔でない場合のIRR(内部収益率)を求めるために使われるエクセル関数です。

通常のIRR関数の場合は、先に説明したとおり、1年ごとのリターンについて分析が行われます。

例えば、先ほど解説した、1年目に-100の投資をして、2年目以降にリターンを得るというモデルの場合は、以下のようにIRR関数を使って計算式を入れます。このときの期間は自動的に1年間隔になるということでした。

エクセルを使ったIRRの求め方

しかし、XIRRは具体的な日付を入れることで、等間隔でない場合のリターンを分析することができます。

例えば、ある会社が次のような投資をしたとします。

1.2000年3月10日と7月6日に100万円ずつ投資

2.さらに2001年1月30日に200万円を投資

3.2003年5月1日に600万円のリターンを得る

この場合、次のようにXIRR関数を活用します。

エクセルを使ったXIRRの求め方

IRRのときとは異なり、値(投資とリターン)だけでなく、日付についても選択することで、日にち単位で利回りを計算することができるようになります。

XIRR関数の応用例としてXNPV関数があります。NPV関数の使い方はDCF法のところで紹介していますが、XNPVはXIRR同様に投資やリターンが日にち単位になった場合の現在価値累計を計算できます。

次の例は、先のXIRR関数の例と同じ投資・リターンに対し、割引率10%としてNPVを求めたものです。

エクセルを使ったXIRRの求め方

 

まとめ

以上がIRRの解説でした。

  • 複利計算に基づいた、投資に対する収益率(利回り)のことで、NPVの累計がゼロになるときの割引率とも言い換えることができる。
  • IRRを使うことで、タイミングの異なる支出、収入に対する利回りを正確に求めることができる。
  • 特に資本制約があり、限られた資源の中で、どの投資案件に投資をするかを判断する際に役立つ。
  • 計算自体は大変複雑だが、エクセルを使うと簡単にIRRを求めることができる。
  • XIRR関数を活用することで、年単位に限らず、日にち単位での利回りを求めることもできる

 

なお、YAHOO知恵袋でIRRに関する質問に私が答えたものがあるので、ご参考までにリンクを掲載しておきます。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11199503891

 

ファイナンス知識の習得に役立つ記事はこちら>>>

 

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