人材管理・リーダーシップ

【経験者が感じた】大企業病とは 8つの特徴・症状 トップ・中間管理職から見た対策

 

大企業病とは、一般的に大企業に蔓延する組織としての風土・特徴を示したものです。

「TIME TALENT ENERGY: 組織の生産性を最大化するマネジメント」という本によると、大企業病にかかると、生産能力が20%低下するそうです。

以前、大企業にいた私の感覚では、大企業病により30-40%程度は失われるという感覚があります。

いずれにせよ、大企業病にかかると、組織が活性度が下がり、生産性に対して大きな悪影響を与えることになります。

この記事では、大企業病の特徴、発生メカニズム、克服方法について考えてみました。

 

大企業病の8つの特徴

大企業病と呼ばれるものには、次のようなものがあります。

特徴1.新しいチャレンジをしなくなる

大企業というのは、売上も安定していますし、少々業績が傾いても、今日明日でどうにかなるものでもありません。また、業績の低下が末端までは実感を持って伝わりにくくなるという特徴もあります。

そうなると、従業員は新しいチャレンジをせずに、事なかれ主義で安定を求めるようになります。

 

特徴2.関与者が多くなり、部分最適に陥る

大企業になると、特に花形事業では、関与者が大変多くなってきます。例えば、開発部門、営業部門、品質部門、生産部門、企画部門などです。これらの部門のトップが自分の持ち場のメリットを優先して考えるようになると、部分最適が起こります。

以下、TOC(制約理論)のページでも書きましたが、部分最適で改善を図っても、会社全体には貢献しないというケースがほとんどです。

【徹底解説】TOC制約理論とは、CCPMとは、ボトルネックに着目した問題解決TOCとはTheory of Constraintの略で、70年代後半にイスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット氏によって提唱された...

 

特徴3.責任の所在が曖昧になる

関与者が増えると、責任の所在が曖昧になります。これは自分が責任をとらなくても、誰かが責任を取ってくれるとか、誰かの責任にしてしまえばよいという思考が働くからです。

例えば、業績悪化が起きたときに、営業部門は企画部門の立案する商品企画が悪いと言い、企画部門は製品の品質に問題があると言い、生産部門は営業が頑張っていないと言ってしまうのです。

本来であれば、事業の成長が共通目標のはずなのに、部門間で責任のなすり合いが日常的に繰り広げられるようになります。

 

特徴4.会議が形式化する

チャレンジをせず、関与者が多く、責任が曖昧になる結果、社内ではレベルの低い会議が行われるようになります。

本来、会議とは、議題・議論のポイントが明確で、参加者で闊達な議論を繰り広げ、会議で決まった結論を速やかに実施に移すように、実施していくものです。

しかし、大企業病に侵された会議では、議論のポイントが不明瞭、参加者は沈黙(そもそも参加人数が多すぎて議論にならない)、決定事項が曖昧(みんな責任の所在を曖昧にしたいので)になります。

やがて、会議は形式化していき、会議をやることが目的となり、その会議で決まったこと(誰も文句を言わなかったこと)をある種の印籠として物事を進めるということが起こってきます。

 

特徴5.根回しが横行する

会議で結論が出ないとなると、必然的に根回しが増えます。根回し自体は決して悪いことではないのですが、会議が儀式になって、根回しだけで物事が進んでいくようになるのは健全とは言えません。

 

特徴6.重厚なプロセスができる

大企業は、歴史が長く、過去の失敗事例も豊富にあります。その失敗事例をベースに、様々なプロセスが整備されていきます。しかし、このプロセス、何かをプラスされることはあっても、マイナスされることがないため、重厚化していき、プロセスを踏むことが大仕事になるのです。

そうなると、一人でプロセスを踏むことができなくなるので、プロセスを踏むための人(例えば、資料作りなど)、そのプロセスをきちんと運用できているか監視する人、などが登場するようになります。

 

特徴7.物事がなかなか進まない

チャレンジをせず、関与者が多く、責任が曖昧になり、会議でまともな議論がなく、根回しが横行する結果、重要な物事が全く進まなくなります。

よく海外の会社やベンチャー企業から、「日本の大企業と話しをしても何も進んでいかず、結論が不明瞭。仮に取引しないなら、しないということをはっきり言って欲しい」という声を聞きますが、こうした大企業病のメカニズムにより、物事を推進する力を失ってしまっているのです。

 

特徴8.社員の興味が内に向く

大企業病になると、根回しのような社内調整が増えるとともに、出世に絡む社内政治的な動きが多くなってきます。こうなってくると、社員は顧客を見なくなり、社内の権力者の動向を気にするようになり、普段の会話も社内政治に関わる話題が大きな割合を占めるようになってきます。

 

 

なぜ大企業病が起こるのか

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まずはこちらのツイートをご覧ください。

大企業病への道のり

事業が軌道に乗り始める
⇒勝ち馬に乗りたい人が増える
⇒実際そこまで仕事ないから余分な仕事作る
⇒その人達がなぜか権力持ち始める
⇒まわりにお伺い立てないと何も進まなくなる
⇒大企業病が慢性化する

勝ち馬に乗りたい人を適切に排除できるかがポイントのようだ

 

私は、これが大企業病に至るプロセスだと考えています。

そして、勝ち馬に乗りたい人達の多くは事業を動かしたい人ではなく、そこにただ居たい人達なのです。そうして人が増えていくにしたがって、次第に「オーナーシップの欠如」が生まれてきます。つまり当事者意識を持って、主体的に物事を進めようという意識がなくなった人たちの集団になっていくわけです。こうして大企業病が起こります。

上にあげた1~8のことも、みんなが自分の会社だと思って、オーナーシップを発揮して仕事に取り組めば起こりえないことなのです。

 

では、なぜ大企業病になってしまうのか。一番大きな要因は、やってもやらなくても一定の待遇が保証されていることです。

 

日系の大企業は、年功序列の色が濃く残っており、ある程度の年齢までは給与が右肩上がりあがっていきますし、給与が頭打ちになっても、そこそこの待遇は保証されています。

もちろん個人業績によって、給与の上がり幅やボーナスの変動はありますが、その差は年収にして20%程度、あっても2~2.5倍程度ですし、先に述べたように底辺にいたとしても、そこそこの待遇なのです。

 

そうなると、積極的にチャレンジするインセンティブが、ほぼありません。それどころか、大きな事を起こさないように過ごすのことが、最もよい選択になってしまいます。上記にあげた1~8は、自分の責任をとらなくてよい人達にとっては大変心地よい状態になるのです。

 

大企業病は日本以外でも存在する

私は仕事で欧米の会社やアジアの会社とやりとりをした経験が何度もありますが、日本以外の会社にも大企業病はあります。

これは次に書く克服策ともつながりますが、上に権限が集中するような体制をとっていると、大企業病に陥りやすくなります。

もちろん、責任者が何にでも首を突っ込んで意思決定できればよいのですが、時間的に難しいこともあります。また、機能別組織になっていると、組織横断で取りまとめる大きなビジネスに関しては、責任の所在が曖昧になって、社長以外は意思決定を下せないということも起きてしまうのです。

日本では、社長すら先送りにする傾向のある人がいるので、それに比べればマシとは言えるかもしれませんが。

 

大企業病を克服するには(トップからの視点)

先のツイートにもあったように、ただ勝ち馬に乗っかておきたい人たちを排除することが重要です。そうすると、事業の当事者というのを明確にして、その当事者以外には極力関与させないことが大事になってきます。

そうなると、トップの視点から見て、大企業病を克服するのに、最も簡単な方法は、以下2つです。

  1. 組織内の各人の権限範囲を明確にする
  2. できる限り現場に近いところに権限を持たせる

1は当然のこととして(日本の会社は1すらできていない会社が多いですが)、大事なのは2です。なぜなら、一次情報を持っている現場の方が、素早く適切なジャッジができる可能性が高いからです。

例えば、サービス業のケーススタディでもよく出る「リッツ・カールトン」は、顧客とのトラブル対応のために、現場に一定金額の費用権限を持たせています。それにより、大企業病のようなことは起こらず、結果として、高いサービス品質と、顧客満足度の維持につながっています。

特にサービス業の場合は、現場の顧客クレームを即時に収めることが大事なので、このような権限の持たせ方をしていますが、他の業種においても参考になる考え方です。

 

大企業病を克服するには(中間管理職の視点)

中間管理職(ここでは課長以上)の立場で、大企業病をおさえるのは、かなり難易度が高いです。やれそうなことは、以下のことくらいでしょうが、いずれも大企業の中では敬遠される行動になります。

  1. みんなに迎合せずに、べき論を言い続ける
  2. 多少ルールを破ってでも物事を進める
  3. 自分が責任を取るから、一度やってみようと言う

これらは、上記に書いた大企業病「チャレンジしない」、「重厚なプロセス」、「責任の所在が曖昧」という点を、中間管理職で打ち破る方法です。

こういう言動をして、やらせてくれるならよいですが、会社によっては左遷されるケースもあるかもしれません。ただ、どちらにしても、精神的にはハードなものにはなります。

代案として、せめて自分の預かる部署だけでも、蔓延を防ぐことで、生産性の低下を防ぐことはできますが、まわりに病気が蔓延していると、何らかの影響を受けてしまうことは避けられないのが現実です。

 

大企業病の中でどう振る舞うべきか

上記のように大企業の中で、中間管理職またはそれ以下の人が、病を克服するのは大変です。ただ、大企業の中でも、大企業病が蔓延していない部署もあります。例えば、小規模事業を担当する部署や、海外拠点などです。

大企業病の真っ只中にいると、社内調整に長けるばかりで、大事な能力が腐ってしまいますが、小規模事業や海外拠点を経験させてもらうことで、大企業の中でも十分能力を磨くことができるのです。

こういうところに積極的に志願することが、日系の大企業では最も自分を磨くのに負荷の少ない方法だと思います。

以下の記事も、あわせてご参照ください。

【大企業=つまらないではない】大企業でも成長できる3つの仕事 先回の記事で、大企業勤務の若手(社会人5年目~10年目、年齢でいうと20代後半~30代前半)の人が自身の市場価値をどのように測る...

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。

大企業病は、組織が大きくなるに連れて、自然発生してくるものなので、病気の発生自体を止めることは、ほぼ不可能です。したがって、発生したと思ったら、蔓延を防ぐ手立てを考えるしかありません。

また、個人レベルでは、大企業病の中では成長できないと感じたら、外の部署への異動を志願するか、それでもだめなら転職も視野に入れるべきでしょう。

本格的に嫌になってから転職を考えるのは精神的に大変なので、問題意識があるうちに転職に関する情報を事前に集めておくことをおすすめします。そうすれば、本格的に嫌になってからでも、スムーズに動き出せるからです。

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参考文献

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セーシン
元リーマン管理職+副業歴15年、海外、起業などの経験を踏まえて、仕事やキャリアに関することを発信しています。