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【経験者が感じた】大企業病とは 8つの特徴・症状 トップ・中間管理職から見た対策

【経験者が感じた】大企業病とは 8つの特徴・症状 トップ・中間管理職から見た対策

大企業病とは、一般的に大企業に蔓延する組織としての風土・特徴を示したもので、大企業のデメリットの1つとされることも多いです。

TIME TALENT ENERGY: 組織の生産性を最大化するマネジメント」によると、大企業病にかかると、生産能力が20%低下するそうです。

大企業勤務をしていた私の経験からも、大企業病は組織の活性度を下げて、生産性に大きな悪影響を与えることはよくわかります。

この記事では、大企業病の特徴、発生メカニズム、克服方法について考えてみました。

大企業病の8つの特徴

大企業病と呼ばれるものには、次のようなものがあります。

特徴1.新しいチャレンジをしなくなる

大企業というのは、売上も安定していますし、少々業績が傾いても、今日明日でどうにかなるものでもありません。また、業績の低下が末端までは実感を持って伝わりにくくなるという特徴もあります。

そうなると、従業員は新しいチャレンジをせずに、事なかれ主義で安定を求めるようになります。

特徴2.関与者が多くなり、部分最適に陥る

大企業になると、特に花形事業では、関与者が大変多くなってきます。たとえば、開発部門、営業部門、品質部門、生産部門、企画部門などです。これらの部門のトップが自分の持ち場のメリットを優先して考えるようになると、部分最適が起こります。

部分最適で改善を図っても、会社全体には貢献しないというケースがほとんどです。

全体最適とは何か?もっと知りたい方はTOC理論をご覧ください。

特徴3.責任の所在が曖昧になる

関与者が増えると、責任の所在が曖昧になります。これは自分が責任をとらなくても、誰かが責任を取ってくれるとか、誰かの責任にしてしまえばよいという思考が働くからです。

たとえば、業績悪化が起きたときに、営業部門は企画部門の立案する商品企画が悪いと言い、企画部門は製品の品質に問題があると言い、生産部門は営業が頑張っていないと言ってしまうのです。

本来であれば、事業の成長が共通目標のはずなのに、部門間で責任のなすり合いが日常的に繰り広げられるようになります。

特徴4.会議が形式化する

チャレンジをせず、関与者が多く、責任が曖昧になる結果、社内ではレベルの低い会議が行われるようになります。

本来、会議とは、議題・議論のポイントが明確で、参加者で闊達な議論を繰り広げ、会議で決まった結論を速やかに実施に移すように、実施していくものです。

しかし、大企業病に侵された会議では、議論のポイントが不明瞭、参加者は沈黙(そもそも参加人数が多すぎて議論にならない)、決定事項が曖昧(みんな責任の所在を曖昧にしたいので)になります。

やがて、会議は形式化していき、会議をやることが目的となり、その会議で決まったこと(誰も文句を言わなかったこと)をある種の印籠として物事を進めるということが起こってきます。

特徴5.根回しが横行する

会議で結論が出ないとなると、必然的に根回しが増えます。

根回し自体は決して悪いことではないのですが、会議が儀式になって、根回しだけで物事が進んでいくようになるのは健全とは言えません。

特徴6.重厚なプロセスができる

大企業は、歴史が長く、過去の失敗事例も豊富にあります。その失敗事例をベースに、さまざまなプロセスが整備されていきます。しかし、このプロセス、何かをプラスされることはあっても、マイナスされることがないため、重厚化していき、プロセスを踏むことが大仕事になるのです。

そうなると、一人でプロセスを踏むことができなくなるので、プロセスを踏むための人(たとえば、資料作りなど)、そのプロセスをきちんと運用できているか監視する人、などが登場するようになります。

特徴7.物事がなかなか進まない

チャレンジをせず、関与者が多く、責任が曖昧になり、会議でまともな議論がなく、根回しが横行する結果、重要な物事が全く進まなくなります。

よく海外の会社やベンチャー企業から、「日本の大企業と話しをしても何も進んでいかず、結論が不明瞭。

仮に取引しないなら、しないということをはっきり言って欲しい」という声を聞きますが、こうした大企業病のメカニズムにより、物事を推進する力を失ってしまっているのです。

先日見かけたアイリスオーヤマについて、元パナソニック社員が語った記事が面白かったですね。

特徴8.社員の興味が内に向く

大企業病になると、根回しのような社内調整が増えるとともに、出世に絡む社内政治的な動きが多くなってきます。こうなってくると、社員は顧客を見なくなり、社内の権力者の動向を気にするようになり、普段の会話も社内政治に関わる話題が大きな割合を占めるようになってきます。

大企業病が起こる理由

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まずはこちらのツイートをご覧ください。

私は、これが大企業病に至るプロセスだと考えています。

そして、勝ち馬に乗りたい人達の多くは事業を動かしたい人ではなく、そこにただ居たい人達です。

そうして人が増えていくにしたがって、次第に「オーナーシップの欠如」が生まれてきます。つまり当事者意識を持って、主体的に物事を進めようという意識がなくなった人たちの集団になっていくわけです。こうして大企業病が起こります。

上にあげた1~8のことも、みんなが自分の会社だと思って、オーナーシップを発揮して仕事に取り組めば起こりえないことなのです。

しかし、日系の大企業は、年功序列の色が濃く残っており、ある程度の年齢までは給与が右肩上がりあがっていきますし、給与が頭打ちになっても、そこそこの待遇は保証されています。

そうなると、積極的にチャレンジするインセンティブが、ほぼありません。

それどころか、大きな事を起こさないように過ごすのことが、最もよい選択になってしまいます。

上記にあげた1~8は、自分の責任をとらなくてよい人達にとっては大変心地よい状態になるのです。

以下、元パナソニック社員が語るアイリスオーヤマの高効率な商品開発についての記事の中でも、大手企業だと仕事をしない人がいて、決裁スピードの遅いと明確に指摘されています。

大企業病は日本以外でも存在する

私は仕事で欧米の会社やアジアの会社とやりとりをした経験が何度もありますが、日本以外の会社にも大企業病はあります。

これは次に書く克服策ともつながりますが、上に権限が集中するような体制をとっていると、大企業病に陥りやすくなります。

もちろん、責任者が何にでも首を突っ込んで意思決定できればよいのですが、時間的に難しいこともあります。また、機能別組織になっていると、組織横断で取りまとめる大きなビジネスに関しては、責任の所在が曖昧になって、社長以外は意思決定を下せないということも起きてしまうのです。

日本では、社長すら先送りにする傾向のある人がいるので、それに比べればマシとは言えるかもしれませんが。

大企業病を克服する方法

トップの視点と中間管理職だからできることを考えてみました。

トップからの視点

先のツイートにもあったように、ただ勝ち馬に乗っかておきたい人たちを排除することが重要です。

つまり、事業の当事者というのを明確にして、その当事者以外には極力関与させないことが大事です。

そうなると、トップの視点から見て、大企業病を克服するのに、最も簡単な方法は、以下2つです。

  1. 組織内の各人の権限範囲を明確にする
  2. できる限り現場に近いところに権限を持たせる

1は当然のこととして(日本の会社は1すらできていない会社が多いですが)、大事なのは2です。なぜなら、一次情報を持っている現場の方が、素早く適切なジャッジができる可能性が高いからです。

たとえば、サービス業のケーススタディでもよく出る「リッツ・カールトン」は、顧客とのトラブル対応のために、現場に一定金額の費用権限を持たせています。

それにより、大企業病のようなことは起こらず、結果として、高いサービス品質と、顧客満足度の維持につながっています。

特にサービス業の場合は、現場の顧客クレームを即時に収めることが大事なので、このような権限の持たせ方をしていますが、他の業種においても参考になる考え方です。

ミドルの視点

ミドル(ここでは課長以上)の立場で、大企業病に立ち向かうのは、かなり難易度が高いです。

やれそうなことは、以下のことくらいでしょうが、いずれも大企業の中では敬遠される行動になります。

  1. 安易にまわりに迎合せずに、べき論を言い続ける
  2. 多少ルールを破ってでも物事を進めてしまう
  3. 自分が責任を取るから、一度やってみようと言う

これらは、上記に書いた大企業病「チャレンジしない」、「重厚なプロセス」、「責任の所在が曖昧」という点を、中間管理職で打ち破る方法です。

こういう言動をして、やらせてくれるならよいですが、会社によっては左遷されるケースもあるかもしれません。

ただ、どちらにしても、精神的にはハードなものにはなります。

代案として、せめて自分の預かる部署だけでも、蔓延を防ぐことで生産性の低下を防ぐということも無くはないですが、まわりに大企業病が蔓延していると、何らかの影響を受けてしまうことは避けられないのが現実です。

大企業病の中でどう振る舞うべきか

上記のように大企業の中で、中間管理職またはそれ以下の人が、病を克服するのは大変です。

ただ、大企業の中でも、大企業病が蔓延していない部署もあります。たとえば、小規模事業を担当する部署や、海外拠点などです。

大企業病の真っ只中にいると、社内調整に長けるばかりで、大事な能力が腐ってしまいますが、小規模事業や海外拠点を経験させてもらうことで、大企業の中でも十分能力を磨くことができるのです。

こういうところに積極的に志願することが、日系の大企業では最も自分を磨くのに負荷の少ない方法だと思います。

【大企業=つまらない?】大企業でも成長できる3つの仕事

まとめ

以上、大企業の代表例と原因に関する話でした。

  • 大企業病の主な特徴は8つ。新しいことにチャレンジしなくなる、関与者が多くなり部分最適に陥る、責任の所在が曖昧になる、会議が形式化する、根回しが横行する、重厚なプロセスができる、物事がなかなか進まない、社員の興味が内に向く。
  • 事業が大きくなってくると、そこに乗っかりたい人たちが増えてきて、余分な仕事が増えるようになる。その結果、次第に他責にしていれば済む状態が蔓延するようになる。これが大企業病が起こる原因。
  • トップの視点で大企業病を無くすには、各組織の権限を明確にして、現場に任せること。
  • ミドルの視点で大企業病に立ち向かうのは難易度は高いが、安易にまわりに迎合せず、チャレンジをして、その責任をとる姿勢で仕事を進める方法がある。

大企業病が当たり前になったまま仕事をしていると、

「社内では評価は高いけど、いざ社外に出てみたら通用するスキルがなかった。。。。」

というビジネスパーソンなってしまう人も少なくありません。

そこで、常に自分の市場価値を棚卸ししておくことが大事になります。

市場価値を棚卸しをするのに最も適した方法はリクルートエージェントのような転職エージェントに登録することです。

実際に、転職エージェントと会話をすると、次のようなことがわかります。

  • 社内基準ではなく市場基準での自分の強みと弱み
  • 自分の隠れた市場価値を発掘できる可能性
  • 今の会社で伸ばすべきスキルの方向性

転職なんて、考えてもいないよ。。。

そんなふうに思ってしまがちですが、社外での評価を正しく認識することで、社内で自信を持って振る舞うために必要なことがわかるのです。

すぐに転職する気がなくても、転職エージェントは親身にキャリア相談に乗ってくれますし、全て無料で相談に乗ってくれるので心配無用

最近では、オンライン面談も増えているので、スキマ時間を活用しやすくなっています。

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