キャリア形成・プラン

なぜ若い人の給料が安く、仕事をしない上司の給料が高いのか? 賃金カーブが教えてくれた

 

日系企業では、優秀な若手の給料が成果に比べて低くなりがちという構図があり、優秀な人ほど、外資系のような若くて高い給料がもらえる会社に行ったり、起業したりするケースが見られます。

では、なぜ多くの日系企業(特に大手企業)では、給料が上がらないのでしょうか?

特に若い人の給料が上がらず、上司は仕事をしなくても給料が高いのはなぜなのでしょうか?

それは若手の給料がピンハネされて、中年以降の世代に分配されている構図になっているからだと考えています。

 

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従来型日本企業の賃金カーブ

賃金カーブとは、年齢(または勤続年数)に対する賃金の推移を示したグラフです。厚生労働者がまとめた平成29年(2017年)の賃金カーブは以下のようになっています。

賃金カーブ抜粋

資料出所: 平成29年賃金構造基本統計調査 結果の概況|厚生労働省より抜粋

ここでは性別の議論や、縦軸の規模感の議論をするつもりはないので、グラフの形をざっくりとだけご理解ください。

 

20~24歳(多くの人が社会人になる年齢)から始まる賃金カーブは、上昇の一途をたどり、そのピークは50~54歳で、そこから徐々に下落して、60歳(多くの会社の定年)を超えると一気に下がるという構造になっています。

これは厚生労働省の統計ですが、このグラフの傾向は、多くの従来型の大企業に当てはまる構図でしょう。

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創出価値カーブ

創出価値カーブというのは、私の造語です。

賃金カーブと同じように横軸に年齢(または勤続年数)をとって、縦軸に仕事を通じて創出した価値をとったグラフです。(縦軸は創出価値を時間で割った労働生産性を用いてもよいです)

 

創出価値カーブの元になるデータはないので、想定するしかないのですが、私が大手で働いてきた経験からすると以下のような感じではないかと思っています。

創出価値カーブ

日本の大企業は一部の役職者や卓越した技術者を除けば、平均的に創出価値が40代でピークをむかえて、50代から下り坂になっていきます。あくまで私が見聞きした範囲での作成なので、当てはまらない会社があることは重々承知していますが、このような感じになっている会社は多いと思われます。

 

40代を境に価値が下落していく理由は、多くの大企業では40代以上で先が見えてモチベーションが低下したり、仕事がマンネリ化するなどして、その人が本来持っている100%のアウトプットが出せなくなっているからです。

 

これは以下の記事でも言及しています。

【30代、40代サラリーマン必見】大企業が直面する課題と今やるべき5つのこと私は、大企業に長年勤めてきて、かつ大企業に勤務する知人も多くいますが、大企業安泰の時代はとうの昔に終わったと感じています。 決して...
【40代サラリーマンの悩み】仕事のマンネリから抜ける3つの方法 中堅ビジネスパーソンのみなさん、仕事のマンネリ化にお悩みではないでしょうか。特に30代後半から40代ともなると、仕事への飽きが顕...

 

では、この創出価値カーブを賃金カーブと重ねてみると、何が起こるでしょうか。

先ほどの厚生労働省のグラフをトレースして自作した上で、2つのカーブを重ねてみたのが、以下のグラフです。

創出価値と賃金の対比

先ほど述べたように、創出価値カーブは想定ですので、当てはまらないケースは多いとは思いますが、日系大手企業は、大よそこのような構図になっているでしょう。

若手の給料が上がりにくい理由

このカーブを見ると、なぜ若手の給料が上がらないのか?

そのの一因がわかります。

それは、40代後半から50代以上の方の賃金と創出価値のギャップを、若い人のギャップを使って埋め合わせしているからなのです。

創出価値と賃金の対比

つまり会社は、若手が生み出した創出価値に対する対価を低めの賃金におさえて、上の世代のギャップを賄っているのです。言葉は悪いですが、若手から見るとピンハネされている構造になっているのです。

 

2019年2月4日追記

この記事を書いた後に発見したのですが、日本銀行が「わが国における賃金変動の背景:年功賃金と労働者の高齢化の影響」という資料をまとめていて、その中で私が描いたグラフと似たような概念が描かれていましたので抜粋します。

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ピンハネ構造になってしまう理由

このようなピンハネ構造になってしまっている原因は、従来型日本企業の報酬制度に問題があります。

日本の従来型報酬制度の前提

本来は、成果を出せる人には多くの賃金を、そうでない人には少なめの賃金を支給するべきなのですが、日本企業は終身雇用と年功序列を前提とした冒頭のような賃金カーブを前提とした報酬制度にしてきました。

 

これは経済高度成長期に会社を発展させていく上では、一定の合理性がある制度なのです。

当時は、会社の発展には従業員が安定して定着してもらうことが不可欠でした。そこで長くいてもらうために、美味しい餌は後の方に残しておいたのです。

つまり「若いときに頑張った分は、将来になってから還元しますよ」というある種の年金制度のようにもなっていたのです。

こうして、従業員には長期に渡って会社の成長を支えてもらい、それが日本の経済発展にもつながってきました。

 

退職金も若いときの積立金を退職後に一括してもらう制度なので、このようなピンハネ構造を助長しています。

貰う側かすると自己都合で辞めると退職金が割り引かれる理由はよくわからないですよね。

給与制度と合わせて、若いときの頑張りが年を経ないと貰えない仕組みですね。

でも、その結果ぶら下がり社員が増えるので、今のご時世では企業にとっても競争力を削ぐ要因になると思います。

 

しかし、こうした日系企業の従来型の報酬制度は、仕事をしなくても若手より給料の高い上司という構図を生み出してしまうのです。

 

従来型報酬制度と現実のひずみ

ところが、現代においては、会社が長く存続するという前提が崩れていますし、昔に比べると若手もネットをうまく活用するなどして、年長者に負けないくらいのスキルや経験を持ち合わせる人も出てきています。

つまり、賃金カーブの在り方が現代の状況に合っていないということなのです。

 

一方で、会社側としても、こうした状況は重々承知しているのですが、日本は解雇規制が厳しく、創出価値と賃金にギャップを持っている人を簡単に放出できない悩みを持っています。

そうなると会社としてやれるのは、窓際に追いやって辞めさせるように仕向けるか、早期退職制度を導入してインセンティブをつけて退職を促すというくらいです。

 

しかし、解雇規制が厳しい以上は、辞めずに会社にしがみついたままという人を許容せざるを得ず、そうなると優秀な人ほど辞めていくリスクを抱えることになってしまいます。

 

従来型の日本企業で働くことを否定はしない

ここまで読んで頂くと、まるで私が従来型賃金カーブを持つ日本企業を否定しているようにも見えますが、必ずしも否定的ではありません。

私自身がそうであったように、従来型賃金カーブの中で仕事をしてきても、大きな学びを得ることができ、それを次のステップに役立てることもできます。また、仕事を通じてできる社会貢献もあります。

給料だけに囚われてしまうと、そうしたことを見逃してしまいます。また、そもそもこうした賃金体系であっても食べるに困るほどの状況にはなっていません。

 

ここで主張したいのは、こうした構造が存在するということを正しく理解した上で、20代30代の人たちが自分自身のキャリアを自分で考えてもらいたいということです。

何も考えずに会社の言いなりになるのもダメ、会社にしがみつくだけでもダメなのです。そうかといって、給料だけを軸に考えるのも違います。

 

一方で、40代以上の人たちもこうした実情を踏まえて、会社の内・外関係なく、世の中に何らかの形で価値を創出できる人材になって欲しいという思いがありますし、私自身もそうありたいと思っています。(ちなみに私は、グラフ右半分の貯金を下ろすことなく大企業を去ってしまいました 笑)

40代になっても価値が創出できる人材になるための手段として副業をおすすめしています。詳細は以下の記事をご覧ください。

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まとめ

この賃金カーブと創出価値カーブは、私が大企業にいたときにモヤモヤしていたものを可視化したものです。

しかし、これは構造上仕方のない部分ではあるので今すぐ解決できる話でもありません。

若いうちから高い給料を目指すなら、給料の高い業界や、外資系、ベンチャー起業などへの転職を考えてみてもよいでしょう。

まず手始めに、世の中の会社の年代別給与を転職口コミサイト「転職会議」で確認することをおすすめします。

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同じ会社に留まりながら構造上の問題を解決するのは難しいので、自分から積極的に外に機会を見つけてみるのも一つの手ではあると思います。

 

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