製造業のフレームワーク

【5分でわかる】OEMとは ODMとは 意味・違い・事例・判断のポイント

 

製造業に従事しているとよく聞く言葉としてOEMがあります。

 

「●●社にOEMをお願いしている」

「うちはOEM専業メーカーです」

などという使われ方をします。

 

しかし、ビジネスパーソンの方の中にはOEMの意味を正確に答えられない方も多いかもしれません。また、似たような言葉としてODMがあります。

 

この記事では、OEM・ODMの意味と違い、メリット・デメリットについて解説していきます。

 

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OEMとODMの違い

まずはじめにOEMとODMの違いを解説していきます。

 

OEMとは

OEMとは、Original Equipment ManufacturingまたはOriginal Equipment Manufacturerの略として使われます。日本語にすると相手先ブランド製造とか、相手先ブランド製造者となります。

 

最終製品を販売する販売者(委託者)が、デザインや設計情報を製品を製造する会社(受託者)に渡して、受託者が製造して製品を委託者に引き渡し、委託社がその会社のブランドで販売するというのが一般的なOEMの取引になります。

 

OEMの例として最もよく使われる例がiPhoneです。iPhoneは委託者であるApple社がデザインや設計をして、それを受託者である製造会社に渡して、受け取った製品をAppleブランドの商品としてAppleストア等の店頭で販売しています。

自動車業界だと、日産がスズキに軽自動車をOEM委託している例があります。

 

ODMとは

ODMとは、Original Design Manufacturingの略で、相手先ブランドの製品を設計・製造することを言います。

OEMでは、委託者が設計したものを製造するのが主な役割でしたが、ODMでは、設計まで請け負うのが特徴です。

家電製品やパソコンなどでよく見られる例で、委託者から示される大まかなデザインイメージを元に、受託者が構想・詳細設計をして、生産まで実施します。

 

OEMとODMの違いを図式化

OEMとODMの違いを図式化すると以下のようになります。

これは概念を単純化したもので、実際は境界線が複雑に入り組んでいるケースもあります。

 

例えば、OEMでも受託者が製品の設計の一部を担当する場合もあります。

ODMでもデザインにまで入り込んで製品を作る場合もありますし、すでに出来上がっている既製品を買ってきてブランドを張り替えるだけのケースもあります。

こういう事情もあってか、実務場面ではOEMとODMの違いを厳密に定義されずに使われることも多く、OEMと言いながら実際にやっていることはODMに近いということがよく起きています。(少なくとも私のまわりでは、実質ODMのことをOEMと表現していることがよくありました)。

 

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OEM・ODMのメリット・デメリット

OEM、ODMには、委託者にとってそれぞれ次のようなメリット・デメリットがあります。

 

メリットデメリット
OEM
  • 自社製造キャパシティの不足を補える
  • 付加価値の低くなりがちな製造工程を外に出すことで付加価値の高い業務に集中できる
  • 製造の専門家に任せることで自社で作るよりも安くなる可能性がある
  • 少ない資本でものづくりができる
  • 製造によって生じる利益が自社の利益にならない
  • OEM先が潜在的な競争相手になる可能性がある
ODM
  • ブランド構築と販売に特化できる
  • 設計まで任せることでリーンな体制が実現できる(結果、スタートアップのような体制が充実していない会社でもものづくりができる
  • 設計、製造の専門家に任せることでスピーディーな製品開発が可能になる
  • 設計、製造ノウハウが自社の手元に残らない
  • コストや品質のコントロールが難しい

 

ODM・OEM専業者のメリット・デメリット

世の中の会社の中には、ODM・OEMを専業にするメーカーもたくさんあります。家電製品などの完成品を相手先ブランドで作ることを専門にしているのです。

このような専業メーカーには、どのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。

 

メリットデメリット
  • 自社の得意分野に集中できる
  • ブランドや販売網の構築という時間とコストのかかる行為を省いてビジネスができる
  • ブランドに関係なく製品を作れるので、製造場面で規模の経済を効かせやすくなる
  • ブランドがないので会社の知名度は低い(結果、人材を集めにくくなる可能性がある)
  • 消費者の動向を掴みづらい
  • 特殊なノウハウがないと委託先が簡単に他のOEM、ODM専業メーカーに乗り換えてしまう

 

近年の製造業の傾向としては、従来のような企画、生産、販売を全て自前でやる垂直統合型のモデルは少なくなっていて、ブランドを持って企画・販売を専業する会社と、ODM、OEMを専業とするメーカーに分かれる傾向が強くなっています。

先のAppleなどは、企画・販売に特化している会社の典型ですし、それ以外のパソコンや携帯電話といった電子部品でも、製造を持たずにOEM・ODM専業者に委託するケースが多くなっています。

これは、以下のようなスマイルカーブから考えると理解が深まります。

ブランドを持っているメーカーは付加価値の低い製造をやめる代わりに、OEM・ODM専業者は付加価値の低い製造のところを敢えて取りにいき、巨大化して圧倒的な規模の経済を働かせて安く作っています。

 

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OEM・ODM委託をする判断軸・ポイント

OEMにするか、ODMにするかの判断軸には次のようなものがあります。

 

コスト

まず大事になるのはコストです。

注意しなければならないのは、この場合のコストとは、製造コストのことだけはありません。自前で設計、生産する場合に追加発生する設備費用もコストですし、人的リソースを自社設計・生産に回したときの機会損失も考慮に入れる必要があります。

詳細は以下の記事にも記載しました。

【3分でわかる】Make or Buy 内製・外製の意思決定 その判断基準・ポイント メーカーと一括りにいっても、その設計・製造には様々なケースがあります。例えば以下のようなケースです。 設計から製造まで...

 

品質

委託先の品質の良し悪しは、ブランドの良し悪しとも密接に関係してきます。

ブランドイメージを守れるだけの品質が担保できないのであれば、自前で生産するという選択肢も当然あり得ます。

また、最終製品の一部の部品の出来が全体の品質に影響する場合は、そこだけ自前で設計・生産して、残りを委託先に任せるという方法もあり得るでしょう。

 

長期的な競争優位

OEM、ODMを考える際には、この長期的な競争優位というのも大事です。

メリット・デメリットの表にも書いたとおり、OEM、ODMをすると委託先にノウハウが蓄積されていきます。そうすると、長期で事業運営しているうちに、気がついたら自前のノウハウが何も残っていなくて、OEM・ODM先のノウハウなしでは製品を作れないという事態に陥っているかもしれません。

そうすると、委託先の交渉力が高まってしまうことも考えられますし、委託先が他社ブランドに似たような商品を提供して、そこでシェアを奪われるということも起こります。

先ほどの品質のところと同様に、長期的な競争優位という観点でも委託先にお願いするものを見極める必要があるでしょう。

 

まとめ

OEM・ODMは、スピーディーに物づくりをする際には欠かせない選択肢です。

この記事に書いた、メリット・デメリットと判断のポイントが、会社の事情に合わせた適切な判断の助けになれば幸いです。

 

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セーシン
元リーマン管理職+副業歴15年、海外事業・独立起業などの経験を踏まえて、仕事、経営、キャリア、海外に関することなど、ビジネスパーソンとしての戦闘力を高めるための情報を発信しています。 ツイッターアカウントはこちら