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大企業の意思決定が遅い理由とその対応方法

ベンチャー企業の意思決定のスピードが早いのに対して、意思決定のスピードが遅いことが大企業のデメリットだという感覚を持っている方は多いと思います。

1つの理由は、大企業にありがちな大企業病に陥っていることが挙げられます。

しかし、大企業を離れて見てから、大企業のスピード感に欠けるもう1つの理由がわかるようになりました。

今回は、なぜ大企業は意思決定スピードが落ちてしまうのか、考えてみました。

大企業のスピードが遅い理由

大企業のスピードが遅い理由について、先日以下のようにツイートしました。

スタートアップで仕事をしていると経営資源がない分、大手ではやりにくいことを考えて生き残っていく必要があります。その方法を考えていたときにツイートしたのがこれです。

大手企業にとって、これまでやってきたことからの方針転換は、ときに大きな自己否定につながるのです。しかも、その自己否定は下手をすると過去のお客さん否定にもつながる危険があるわけです。

仮に会社内の論理では過去を否定できたとしても、一緒に販売を手伝ってくれている外部パートナーやお客さんに対して、手のひらを返したようなことをするのは難しいのです。

大企業の中でも創業社長やオーナー社長の会社の場合は社長の一声で方針転換を図りやすいのでしょう。

しかし、一般的なサラリーマン社長が経営する大企業だと、どのようにすると、この自己否定をしながら変革を繰り返していけるのでしょうか?

いくつか考えてみました。

大企業で過去を否定するための方法

大企業が過去を否定するための3つの方法を挙げてみました。

関係者に丁寧に説明する

これは大企業としては王道のやり方です。

主要な関係者に対して、なぜ方針転換に至ったのか丁寧に説明してまわれば、納得してその方針を受け入れてくれるでしょう。

しかし、これには大変な時間がかかります。まずはじめに、協力パートナーや顧客に説明するためのロジックを社内で構築する必要があるからです。

私も経験がありますが、これまで競合他社のXという機能をセールストーク上否定しておいて、やっぱり顧客観点からXという機能が重要だということで新モデルZから搭載したことがあります。

そのときに、まず社内の本部スタッフ部門内でのストーリーの合意を図り、次に営業キーマンとの間でそのストーリーを合意する必要があります。これだけでも大変な労力になります。

そして営業を通じて重要パートナーに説明をもらうという形になります。

これは王道ではあるのですが、スピード早くやろうとするにも限界があります。

誰かが悪者になっていきなり過去を否定する

時間をかけずにドラスティックにやろうとするなら、誰かを悪者にして全部その人のせいにして進めるという案もあります。

一番簡単なのは社長が変わったときです。社長が変わったタイミングで、製品の方針を転換すれば、社内でも営業現場でも「今度の社長が勝手に決めっちゃんだんですよ、すいません」という言葉を使いやすくなります。

ただし、社長が変わるということがそうそう起こるわけではないのと、社長が細かい製品仕様まで口出しをして方針転換に関与するケースは多くありません。

その場合は、誰か他の悪者を立てる必要がありますが、事業部長であったり、どこかの部門のトップを悪者にせざるを得ないでしょう。しかし、このクラスの悪者だと、抵抗する側もすんなりと従わないので、やはり時間がかかってしまうのが現状です。

会社業績の悪さを盾にして変えてしまう

王道も時間がかかる、悪者を作っても抵抗されてうまくいかない。

そうなると、みんなが納得しやすいやむを得ない事情として他に何があるかと言うと、会社業績が悪く今にも傾きそうだという状態です。

こういう状態に陥ると悠長なことは言ってられなくなります。過去を否定してでも真に売れる商品作りをしないと、会社自体が無くなる可能性があるからです。

こうした事態が物事を大幅に変えるのに有効なことは、過去の事例からも明らかになっています。

製品の例ではないですが、カネボウ化粧品が破綻状態になって再生ファンドが乗り込んできたときに、従来のカネボウではあり得ないごぼう抜きの社長人事がありました。

また、JALの再生も会社が破綻した状態だったので、社員も大きな変化を受け入れました。

これらの例だと、社外の人も状況をよくわかっているので、パートナーや顧客も過去を否定するような製品やサービスになっても、すんなり受け入れてくるのです。

まとめ

身も蓋もない結論ですが、ベンチャーの延長で仕事をしている創業社長系の会社以外の大企業は、危機にならないと変われないということです。

大企業は過去の歴史の積み重ねがあって、最適化された今があるので当たり前といえば当たり前のことです。

だからこそ、これから世の中に出ていくベンチャー企業は意義がありますし、勝機もあるのだと言えるのでしょう。

既存組織を変えるのは簡単ではないことをわかっている大企業もあります。

そういう会社は、自社を変えることよりも、ベンチャー企業を買収したり、別会社を作ったりして従来組織とは別に柔軟に動ける組織を抱えるようにしています。

たとえば、以下のようなパナソニックとシフトオールの関係がその一例としてあげられるでしょう。

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