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事業計画の立て方・作り方【新規事業立ち上げ経験からの学び】

 

「会社から新規事業を検討しろと言われたけど、何をすればよいのかわからない」

「起業のために事業計画を考えたいけど、何から考えればよいのかわからない」

 

こういう人も多いかもしれません。

私も初めて事業計画を作れと言われたときは、作り方がよくわからない中、自分で作り方を調べながら試行錯誤しながら作っていました。

事業計画とは、簡単にいうと、事業運営のためのアクションプランとそれに紐づく財務計画です。これは新規事業だけでなく、既存事業でも必要になるものです。

私はサラリーマン時代に、新規事業関連の事業計画を何度か作りましたが、多少の違いはあれど、概ね作成プロセスは同じです。

この記事では、私の経験から学んだ事業計画の作り方・立て方を紹介していきます。

 

事業計画立案のステップ

事業計画は大きく次の8つのステップに分けられます。

  1. 顧客が感じている困りごとの特定
  2. 提供する製品・サービスの決定
  3. 市場規模の算定
  4. 市場規模に対する獲得シェアの算定
  5. 売上の算定
  6. 売上を上げるためにかかる原価・販管費(人員計画、開発費、旅費等)の算定
  7. 必要投資の算定
  8. P/Lとキャッシュフロー計算書の算定

 

顧客が感じている困りごとの特定

事業・ビジネスというのは、顧客の困りごと解決のために存在しています。

したがって、新規事業を考える際には、まず想定顧客と困りごとを特定する必要があります。

 

その際の想定顧客のことをターゲットと言いますが、このターゲットはできるだけ詳細に分析するのが定石です。

一般的にはペルソナというターゲット顧客の想定プロフィールを考えます。

ペルソナの例には以下のようなものがあります。

  • 30歳、既婚女性
  • 年収:450万円
  • 1ヶ月に自由に使えるお金:50,000円
  • 趣味:旅行、ヨガ、読書
  • 外食費●円、旅行代●円、その他趣味●円

このようにターゲットをより具体化して、彼ら彼女らがどんな悩みを抱ええいるのか、お金を払ってでも解決したいことはあるのかと考えます。

 

提供する製品サービスの決定

顧客の困りごとが出てきたら、それに対して提供する製品やサービスを考えます。

特に技術系の会社にあるのが、技術と困りごと解決をダイレクトに結びつけてしまうことです。技術とニーズ(マーケット)をいきなり結びつけるのではなく、間にある提供機能を考える必要があります。MFTフレームワークを活用するのがよいです。

詳細は以下のページで解説しています。

【3分でわかる】技術戦略におけるMFTフレームワークとは 研究・開発マネジメント手法限られた資源を有効に使って競争相手との技術競争に打ち勝つためには、技術の管理を研究開発部門任せにはせずに、経営者(たとえ技術に対する知見...

 

市場規模の算定

その困りごと解決と製品やサービスには、どの程度の市場規模があるのかを考えます。

例えば、健康食品業界であれば、健康食品市場そのものをマーケット規模にしてもよいでしょう。または、論理モデルを作って市場規模を算定する方法もあります。

市場規模の算定方法は以下のページでも6つのやり方を紹介しています。

【徹底解説】市場規模の求め方・計算方法 6つの方法 「市場規模ってどうやって求めるのだろう?」 そんな疑問を持たれている方も多いかと思います。 既存で販売している商品と...

 

また、健康食品市場という大きなくくりで市場規模を見てもよいですし、健康食品市場の中でもある特定の分野や特定の顧客向けの市場規模を考える方法もあります。これはセグメンテーションと呼ばれる手法です。

【5分でわかる】セグメンテーションとは 事例・軸の決め方を解説 マーケティング戦略を考える上では、対象市場を適切に定義することが大事になってきます。例えば、何となく50代女性向けという括り方で...

 

シェアは金額ベースと個数・件数ベースの両方をおさえておいた方がよいでしょう。

金額ベースで市場規模の大小が判断でき、個数・件数ベースでそのサービス・製品の限界範囲がわかるからです。

 

市場規模に対する獲得シェアの算定

市場規模がわかったら、獲得できるシェアを考えます。

市場シェアの算定方法はいくつかあります。

新規事業でどれだけ取れるか全く検討がつかないという場合は、想定シェアをいくつかのケースに分けても考えてもよいでしょう。

論理的に考える場合には、漏れ分析というやり方もあります。

漏れ分析とは、プロセスの中での漏れと最終結果にどのような関係があるのかを示すものです。代表的な漏れ分析にシェアの漏れ分析があります。

以下が漏れ分析の例です。

 

この競合して勝てるかどうかを考えるために、競合の戦略や商品の分析が必要になりますし、自社をその中でどうポジショニングするかという観点も必要になります。

【3分でわかる】競合分析フレームワーク・手法・項目事業の方向性を決める上で競合分析は重要な要素を占めています。 しかし、「競合を分析しろと言われたが、具体的にどう分析すればよいかわ...
【徹底解説】ポジショニング戦略とは マップ・分析方法・USPの特定マーケティング戦略でセグメンテーションができて、その中でどこをターゲットにするかが決まったら、次にやることはその中でどのように製品やサー...

 

売上の算定

市場規模と想定シェアがわかると、売上を算定することができます。

一般的には、個数・件数ベースの市場シェアから、自社の獲得個数・件数を考えます。したがって、売上を明確にするには、単価をかける必要があります。

つまり、価格設定をするわけです。

価格設定はマーケティング上、売上・利益を決定づける大きな要素になるとともに、シグナリング効果があるので、慎重に考える必要があります。

顧客獲得が何よりも大事だということであれば、安価で攻めるのが定石ですし、当面の利益やブランディングが大事なのであれば無闇に価格を下げるのはおすすめできません。

このように価格設定にも様々な考え方があります。以下に価格戦略のパターンをまとめた記事が3つありますので、あわせてご参照ください。

【5分でわかる】価格戦略の基本・価格を決めるときに考慮すべき3つのポイント 価格はマーケティング・プロセスの中で、唯一利益の創出を決定づけるものです(他のプロセスでは市場規模の把握や投資・コストの決定しか...
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【5分でわかる】サービスの販売価格の決め方 3つの革新モデル これまでの以下のページでは、一般的な価格設定方法を解説してきましたが、サービスの価格は、物の価格と異なる特徴をもっています。 ...

 

売上を上げるためにかかる原価・販管費の算定

売上を上げるためには、原価もかかりますし、人員も必要になります。

売上目標を決めたら、そうしたコスト面を考えていきます。

メーカーの場合、原価は仕入、材料費、加工費などから計算します。サービス業の場合はほとんどが人件費になるかもしれません。

販管費は営業費や販促費、開発費、旅費等です。

また、費用は売上に応じて変動する変動費と、売上に関わらず一定の固定費に分けて考えるのがよいでしょう。

前段の売上もそうですが、一般的には事業開始当初2-3年の間は月次で計画を考えていきます。

 

全く経験のない事業分野だと、このあたりの精度がかなり曖昧になってきます。

したがって、コスト面を精査する際には、その事業または似た費用構造を持つ専門家の助けてもらうことをおすすめします。

費用構造の前提を誤ると、事業がスタートしてからのマネジメントが大変なので、できる限り精度の高い根拠を持った数字にする必要があります。そうすることで、予実の差が表れたときにも何となくではなく、前提の違いを分析することができます。

 

必要投資の算定

物づくりだと設備投資などの投資の算定が必要になります。

投資は、P/L上は減価償却費として認識されますが、キャッシュフロー計算書はワンタイムのキャッシュアウトとなるため、資金繰りへの影響がとても大きくなります。

したがって、費用と同様に専門家に金額を精査してもらったり、発注先の見込みがあるのであれば、ラフな見積りを入手しておくのが無難です。

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P/Lとキャッシュフロー計算書の算定

以上のことができると、ほぼ自動的にP/Lとキャッシュフロー計算書が出来上がります。

新規事業の場合、P/Lよりもキャッシュフローが重視されます。なぜなら、どんなにP/Lが綺麗に仕上がっても、キャッシュが無ければ事業継続ができないからです。

まずはキャッシュの計画をきっちり把握して、いついくら資金が必要になるのかを明確にしておく必要があります。

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事業計画は積極的にシェアする

作った事業計画は積極的に説明して他者の視点を取り入れましょう。

積極的にシェアすると以下のようなメリットがあります。

  • そもそも課題意識にズレがあるかどうかがわかる
  • 相手に響くポイントと、そうでないポイントがわかる
  • 自分で説明することで、ロジックの甘さや説明順番の不適切さに気づける
  • 自分では当たり前のことが、相手にとって当たり前でなく補足説明がいることがわかる
  • 何度も話しているうちに、関係者が味方になってくれる(単純接触効果)

 

事業計画のたたき台を作った後は、次のような人に意見をもらうのをおすすめします。

 

社内関係者に共有して意見をもらう

社内の新規事業の場合は、社内関係者に説明して意見をもらっていました。特に社内関係者は利害関係が複雑に入り組んでいるので、一同に会するとあまり意見をもらえないので、個別に一人一人説明するようにしていました。

また、事業計画が承認された後に、関係部門に気持ちよく動いてもらうためにも、事前に意見をもらっておくというのは重要です。

俗にいう根回しです。

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資金提供者に説明する

社外から資金調達をする場合には、資金提供をしてくれる相手にも積極的にシェアしましょう。

資金提供者とは、融資をしてくれる金融機関、出資をしてくれる法人や人です。

資金提供者はリターンや社会的意義、提供者との親和性など様々な観点で見てくれますが、いずれにせよ資金を提供する側の見方がわかるようになります。

また、シェアして反応を見ることで、自社事業と相性の良さそうな提供者をスクリーニングすることができます。

 

知り合いや家族など素人に意見をもらう

素人に意見をもらうことも、ときには重要です。

特に新しいコンセプトは社内の専門家だけが理解できても意味がないので、一般人にも理解できるところまで噛み砕く必要があります。

そのときに、知り合いや家族に見てもらうというのは、有効な方法です。

なお、このように利害関係のない人に、事業計画を説明して意見をもらうことを「壁打ち」と呼びます。

 

事業計画は常に修正する

事業計画は一度できたら完成ではありません。

先ほど書いたように、関係者に見せて修正することはもちろん、計画が走り出してからも都度修正する必要があります。

あくまで事業計画は仮説の塊なので、実際にやってみてわかることはたくさんあります。

  • 市場規模が思った以上に大きくなかった
  • 費用が思った以上にかかった
  • 実際に精査して見積もりが出てきたら予想以上の投資額だった

このようなことは日常茶飯事です。

こうしたことを素早く修正した上で、次のアクションに反映していく必要があります。

 

事業計画を信じてアクションをする

事業計画は都度修正する必要があるとはいうものの、事業計画を立案した人は常にその計画を信じて行動するという信念が必要です。

想定外のことが起きると弱気になります。そのときに、向かうゴールに間違いはないという信念がを持っていないと、事業を投げ出してしまうことになるからです。

これは大企業の新規事業であれ、起業であれ、同じことだと思います。

もちろん、当初考えていた方向性が厳しいということであれば、勇気をもってピボット(方向転換)するということも必要になります。

 

まとめ

以上が事業計画立て方・作り方でした。

事業計画を作って、実際に計画に沿って事業を運営するというのは大変労力のかかる仕事です。

しかし、自らの手で作ったものを自らの手で動かすことに喜びを感じる人ならば、一度はチャレンジして欲しい仕事でもあると思っています。

事業計画を作る機会を得たのであれば、前向きに取り組んでみましょう。

 

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