仕事術

仕事の優先順位をつけられない人がやるべき【たった1つのこと】

【たった1つ】 仕事の優先順位を つけられない人がやるべきこと

仕事の優先順位がつけなれなく理由は、「今はやらない」という決断ができずに、同時並行で複数の仕事を抱えてしまうからです。

仕事の量が多いと、同時にあれこれ仕事に手をつけて効率が悪化してしまい、ますます仕事が増えて優先順位がつけられなくなります。

つまり、優先順位がつけられないと悩んでいる人が最初にやるべきことはたった1つで、「今”は”やらないこと」を思い切って決めてしまうことです。

この記事では、効率的に仕事ができる人になるために、やらないことを決めて優先順位をつけられる人になるコツを解説していきます。

優先順位がつけられない理由

優先順位がつけられない理由は、仕事の量が多すぎるからです。

少し極端なことを考えてみます。

今やるべき仕事がひとつ、仕事Aだけだとしましょう。

これなら優先順位をつけられますね。

では、AとBがあったときはどうでしょうか。

少し悩むかもしれませんが、判断はできると思います。

2つくらいであれば、優先順位をつけるのは難しくないかもしれません。

では、A、B、C、D、E、F、G、Hと、8つの仕事があったらどうでしょうか。

悩みが増えそうですね。。。。

これだけ仕事があると、優先順位の悩みは尽きないことでしょう。

このように抱えている仕事の量が多ければ多いほど、優先順位をつけるのが難しくなっていくのです。

仕事はひとつずつ集中して片付けないと効率が悪い

多くの仕事を抱えている状態で、その仕事を同時に片付けようとすると間違いなく効率は悪くなります。

これは簡単な実験をするだけで明らかになります。

今の仕事が、仮に3つあるとします。

その3つの仕事とは、以下の3つの文字、アルファベット、図形を埋めていくという作業です。

1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
A
B
C
D
E
F
G
H
I
J
K
L











ここで2つのやり方を考えてみましょう。

  1. 1、A、●、2、B、▲、3、C、■・・・と横に順番に書いていく
  2. 1、2、3、4、5・・・と数字を終えて、A、B、C、D、E・・・とアルファベットというように縦に順番に片付ける

どちらのやり方が早く仕事が完成するでしょうか?

1のやり方の方が時間がかかりそうだな。。。

そうです、これは実際にやってみるとわかりますが、横にやると、縦にやるのに比べて1.5倍から2倍くらいの時間がかかります

つまり、複数の仕事に同時に取り掛かると混乱してしまい、仕事の効率を著しく悪化させてしまうのです。

その結果、以下のような悪循環を生み出してしまいます。

1つの仕事に集中しないことで生まれる悪循環複数の仕事に同時に手をつけることで起こる悪循環

逆に、今すぐやらない仕事を決めて、今やるべき仕事を1つずつ片付けられれば、仕事の効率が向上して、以下のようによい循環が生まれるようになるのです。

1つの仕事に集中することで生まれる好循環1つずつ集中して仕事をすることで生まれる好循環

つまり優先順位がつけられない人というのは、仕事を複数抱えながら同時にあれこれ考えているので、なかなか仕事を終わらせられない状態になっているのです。

ちなみに、経営学者として有名なドラッカーも次のように言っています。

なされるべきことはほとんど常に複数である。しかし成果をあげるには手を広げすぎてはならない。1つのことに集中する必要がある。

出典:ドラッカー名著1 経営者の条件

また、今日のヤマト運輸を築いた小倉昌男も、優先順位の決め方について次のように言っています。

安全第一、営業第二。第二を決めることで、第一が明確になる。

出典:小倉昌男著 経営学

いずれも、今やらないことを決めると通じる話です。

ひとつの仕事に集中できない理由

ひとつの仕事に集中すれば効率的だとわかっているのにできない理由は、突発的に生まれる新しい仕事に対して適切に対応できていないからです。

たとえば、仕事A、B、C、D、E、Fとあるとします。

仮に優先すべきことが、A、B、C、D、E、Fの順番で整理できているとしましょう。

ここで、Gという新しい仕事が入ってきたとしましょう。

そうなると、いきなり優先順位をつけるのが難しくなります。

性格が優しい人は、今頼まれてしまったGを先にやってしまうかもしれません。

たしかにGが1,2分で済むような話であれば、Gをやってあげるというのも悪くありません。

しかし、もしGが1時間ほどの時間を要する仕事だとしたらどうでしょうか?

ここでGという仕事を受けることで、予定していたA~Fの順番の段取りが狂ってしまうのです。

実は、優先順位に悩む人というのは、優先順位をつけられていないのではなく、こうした突発的に出てきた仕事への対応を間違っているケースがほとんどなのです。

優先順位付けの肝は、やらないことを決めること

もし突発案件があったときは、どうすればよいのでしょうか。

優先順位をつけるために大事なことは、以下3つです。

優先順位をつけるために重要なこと

  • 今あるタスクのうち、今日やらないことを決める
  • 突発的な予定は依頼者に必ず納期を確認する
  • 急ぎの案件だとしても、今すぐにやらないことを検討する

それぞれ詳細を見ていきましょう。

今あるタスクのうち、今日やらないことを決める

まず元々あったA~Fのタスクについて、考える必要があります。

この6つのタスクについて、今日やるタスクと、今日はやらないタスクを決めます。(実際は、当日どうするかを決めるよりは、せめて前日か前々日くらいに決めておくのがよいでしょう)

大事なのは、このやらないことを決めることなのです。

やらないことを決めるなんて難しいですよ。どの仕事も納期が迫っているのですから。

その気持ち、わかります。

私も仕事をできる限り詰めてやる方だったので。

しかし、それをやっていると、いつまでも優先順位がつけられなくなります。

大事なことは、やらないのではなく、”今日は”やらないと決めるのです。明日以降のどこかで必ずやるのですが、今日は他に集中すると決めることです。

以下のツイートにも書いたとおりです。

この考え方は、「エリヤフ・ゴールドラット 何が会社の目的を妨げるのか」という本の中でも以下のように書かれています。

本当に集中力を失わずによい仕事をするために、何を優先するのかということを議論するよりも、組織全体の視点から、いまは何をやらないかを決めるための議論をすることのほうがはるかに大事である。

出典:エリヤフ・ゴールドラット 何が会社の目的を妨げるのか

たとえば、以下のように決めたとしましょう。

  • 今日やること:A、B、C
  • 今日はやらないこと:D、E、F

これを決めたら、あとは集中してやるだけです。

仕事の優先順位付け

A、B、Cをやっている間は、私語、メール、電話などはしないようにしましょう。

先ほどの数字や図形を埋める作業と同じで、仕事A⇒私語⇒仕事A⇒メール⇒仕事A⇒電話などとやっていると生産性が落ちる一方です。

職場によっては難しいかもしれませんが、極力邪魔が入らない環境を作りましょう。

この私語、電話、メールもやらないと決めることが大事なのです。

私の場合は、管理職時代は部下も多かったので、席にいると話しかけられますし、立場上それを拒否できなかったので、集中して自分のタスクをこなしたいときは、会議室か、近くの喫茶店で作業をするようにしていました。

突発的な予定は依頼者に必ず納期を確認する

先ほどのように、A~Fの仕事の中に、Gという仕事が入ってきたとしましょう。

ここで大事なのは、二つ返事で依頼を受けてしまい、作業にとりかからないことです。

仕事の優先順位付け

まずは依頼者に納期を確認しましょう。相手が上司であっても、納期をきっちり確認する癖をつけましょう。

よほど突発的なトラブル対応のようなことでない限り納期は2-3日はもらえるはずです。

そうしたら、タスクとしては一旦置いておくようにします。

もし直感的に作業量が読めるなら、そのまま放置しておいて、次の日(明日)か、次の次の日(明後日)のタスクに組み込んでもよいでしょう。

作業量が読めないときは、仕事Gの作業量を見積もるという10分か15分くらいのタスクを作って、その日のタスクの中に加えて処理するようにします。

その見積もり時に次の日(明日)にやるべきか、次の次の日(明後日)着手すればよいかの判断がつくからです。

急ぎの案件が舞い込んできたら、かわりにやらないことを検討する

Gという仕事が超特急の案件だった場合は、段取りを組み替えるしかないです。

その場合は、予定していたA~Cのうち、Cを明日に回してGをやるなどの検討をします。

一方で本当に今すぐにやるべきことであることは稀なので、AとBを終わらせてからGに取り組むという方法もあります。

つまり、Gについては、今の時点ではやらない(後でやる)という判断をするのです。

仕事の優先順位付け

このように、今日はやらない、今はやらないという決断を下すだけで、優先順位付はとてもスムーズになりますし、仕事も効率的で脳みそに余計な負担を強いずに済みます。

まとめ

以上が、仕事の優先順位に悩む人が、優先順位をつけるための方法でした。

以下、この記事のまとめです。

  • 優先順位をつけられなくなる要因は、複数の仕事を一気にやろうとするから。
  • 仕事を一気にやるのは、脳みそへの負担が大きく効率が悪いので、ひとつずつ集中して片付ける
  • 突発的な業務が出てきた場合も「本当に今日やる必要があるのか?」を検討する。もし今日やる必要がある場合は、「ほかに今日やらなくてもよい仕事は?」と落ち着いて検討する。

最後に、TOC理論で有名なエリヤフ・ゴールドラット氏の言葉を紹介します。

すべてに集中するということは、何に対しても集中していないことと同じである。

エリヤフ・ゴールドラット 何が、会社の目的を妨げるのか

なお、この考え方を発展させて、さらに仕事を見える化して効率的に進める方法を以下の記事で紹介しています。あわせてご覧ください。

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