先日、このようなツイートをしました。
起業家から会社勤めに戻った人を何人か見ていますが、会社を畳んでも、それは失敗ではないし、その経験をサラリーマンとしてもフルに生かせている印象
起業はたしかにリスクはありますが、そこで得る経験を広く市場で生かせる形を意識しておけば、キャリアを傷つけるような話ではないと感じています
— セーシン (@n_spirit2004) July 13, 2019
世間では起業に失敗すると、もう終わりで悲惨な末路が待っていると思ってる人が多くいます。
しかし、私の身近で起業失敗後に会社勤めに戻った人達を見ていると、起業は長い人生の中における1つのキャリアでしかないと感じています。
私自身も、起業をしてから、これまでやったことのない仕事を多くやっていますが、再び会社勤めに戻ったとしても活かせるだろうと思える仕事・スキルは多いです。
この記事では、
- これから独立・起業をして事業を立ち上げようと思っている
- 独立・起業したものの、うまくいかずに今度のキャリアを考えている
そうした人に向けて、起業失敗がキャリアに及ぼす影響や再起の可能性について、事例を交えて解説していきます。
キャリア面でプラスになる起業は再起の可能性が高い
起業はその人のキャリア面でプラスになってさえいえれば、起業の失敗を恐れる必要はないでしょう。
キャリア面でプラスになる起業って、どういう起業なの?
それは、一言で言うと職務経歴書がより魅力的になる起業だと考えています。
自分の職務経歴書に、起業後に経験することを書いてみたときに、その職務経歴書は市場で価値を認められるのか?という視点で考えてみます。
その答えがYesなら、その起業が失敗したあとも、比較的簡単にサラリーマンに戻る道を得られるでしょうし、答えがNoだとすると、起業失敗後に少し苦労するかもしれません。
では、職務経歴書を魅力的にできる起業とはどのようなものなのか。
大きく2つあります。
起業により汎用的なスキルを得られる場合
1つは、起業経験により汎用的なスキルを得られるときです。
たとえば、起業をして事業を運営する過程で、webマーケティングのスキルや、法人営業のスキルが身につくと、汎用的に他の会社でも活用できる可能性が高まります。
また、事業運営をする中で成功したり、失敗したりした経験を生かしてコンサルに転じることもあり得ます。
実際に私が会った2人の例を紹介します。
起業をして売上拡大のためにwebマーケティングのスキルを身に着けて試行錯誤してきた人が、会社を畳んだ後に、その経験を生かして事業会社でwebマーケティングの仕事をしている。(30代中盤男性)
これまでに2回起業したものの諸事情により会社を畳んでしまったが、今はその経験を生かして、フリーランスとしてアーリーステージの会社向けの事業支援サービスをしている。(40代後半男性)
このように、起業経験の中で他の事業会社が欲しがるノウハウを習得すると、起業に失敗しても、その後のキャリアに経験を活かせるのです。
一方で、サラリーマンに戻るときにスキルを活かしにくい起業としては、脱サラをして飲食店を経営するなどがあります。
もちろん、こうした起業自体を否定するつもりはありません。
しかし、事業会社で飲食店経営のノウハウを活かせるところは多くないので、こういう起業だと失敗したときにキャリアの面で回り道になる可能性があります。
新規事業立ち上げ経験の希少性が高い場合
もう1つは、起業をして新規事業を立ち上げる経験自体に価値を感じてもらえる場合です。
多くの事業会社が欲しがりそうなノウハウを事業立ち上げ経験から得ておくと、起業失敗後もニーズのある人材になれそうです。
たとえば、私の知り合いで、次のような人がいます。
会社を作って独立した後、上場企業を含めたいくつかの会社を巻き込みながら事業コーディネートをしていて、1人で年商1億円以上をあげている。(40代前半男性)
この人の場合、原価の少ない事業で1人で年商1億円もあげているので、失敗した後のことを考える必要はないのでしょう。
しかし、なんらかの理由で会社を畳むことになっても、どこかの事業会社の新規事業立ち上げ案件に応募して、選考に通過することは十分に可能だと思います。
複数の大企業を巻き込みながら新規事業を立ち上げるスキルを持っていて、「1人で年商1億円の事業を作ったことがあります」という経歴は、とてもわかりやすく魅力的に見えるからです。
失敗の仕方には注意が必要
失敗後に再起できる起業はたくさんありますが、キャリアのマイナスにならないようにするという観点から、失敗の仕方には注意が必要だと思っています。
過度な経済的リスクを背負わない
事業運営の中で個人保証で大きな借金を抱えてしまうと、返済のために仕事を選んでいられない状況に陥ってしまいます。
これは次のキャリア選択をする際に、制約条件が増える要因にもなります。
そうした事態を防ぐためにも、資金調達をする際には、個人保証の必要のない方法で調達をしておくべきでしょう。
たとえば、融資に関していうと、日本政策金融公庫の創業融資制度など、個人保証不要でお金を借りられる制度もあります。
関連記事:【実体験】日本政策金融公庫の創業融資・審査プロセス・審査期間
こうした制度をフル活用することで、個人での経済的なリスクを最小限に留めることができます。
失敗時の敗戦処理から逃げない
起業に失敗すると、会社を畳んだり、場合によっては従業員を解雇したりするなど、多くの精神的・肉体的な負荷がかかります。
そうした状況で、逃げずに最後まで責任を持って処理する姿勢が大事です。
私は、企業勤めのときに敗戦処理的な仕事をしたことが何度かありますが、そうした状況で「逃げる」というレッテルを貼られた人は、その後よい仕事が回るチャンスは少なくなります。
なので、起業に失敗したときに逃げずに処理する覚悟は持っておく必要があります。
まとめ
以上、起業に失敗しても、起業を通じて事業会社が欲しがるスキルを身につけておけば、再起は十分可能という話でした。
- 起業失敗後の再起を容易にするには、自分の職務経歴書が魅力的になる起業経験がおすすめである。
- たとえば、起業によって得られるスキルが、他の会社でも活用できるなら、失敗後も十分に潰しが効く。(一方で、飲食店経営などは潰しが効きにくい)
- 経済的なリスクヘッジを考えておくことで、キャリアの遠回りも防げる。たとえば、政策金融公庫の創業融資のような個人保証の必要ない融資を活用がおすすめ。
- 失敗時の敗戦処理から逃げないようにすることも大事。