人材マネジメント

1on1ミーティングの効果【実際にやって感じたこと】

組織・人材マネジメントの悩みの中で、

「部下がなかなか育たない」

という悩みを持つ管理職は少なくありません。

私が、解決策の1つとして実践してみたのが、1on1(ワン・オン・ワン)ミーティングです。

この記事では、1on1ミーティングのやり方と、部下に現れた変化について書いていきます。

中間管理職の悩みは部下の育成・マネジメント

会社で働く多くの中間管理職の悩みとして挙げられるのが、部下の育成とマネジメントです。

実際に、あるアンケート結果は、以下のようになっています。

チームマネジメントで最も苦労しているポイントとして、およそ8割が「部下の育成」を挙げています。ついで「チームの管理」となり、チームを管理するうえで、その構成メンバーの育成は重要な鍵となっていることが分かります。

マネージャー100人に聞きました! チームマネジメントで苦労していること | 大塚商会から引用

このように部下の育成・チーム管理に苦労する中間管理職の人たちは、自分の部下に対して日々多くの時間を使っていることでしょう。

そして、部下と円滑な関係を築くことができれば、会社方針を無理して聞いてもらえるでしょうし、部下の提案が通らない状況も多少は我慢してもらえるのではないでしょうか。

その円滑な関係を築くための一つの手段が1on1(ワン・オン・ワン)ミーティングです。

部下育成に効果的な1on1ミーティングとは

部下と1対1で話をする機会のことです。

集合会議ではなく、1対1で会話をすることで、部下との相互理解をより深めることができます。頻度や時間はケースバイケースですが、週1回~月1回の頻度で、時間は30分~60分というのが一般的なようです。

詳細は後ほど説明しますが、私の場合は1on1ミーティングを実施することで、部下にも大きな変化が見られました。

1on1ミーティングのやり方7つのポイント

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1on1ミーティングをする上で気をつけるべき7つのポイントをあげていきます。

ポイント1.インフォーマルな雰囲気を出す

フォーマルな面談のような形になると、部下も思っていることを率直に話しができないかもしれません。そのために、なるべくインフォーマルな雰囲気を出すことに努めましょう。会議室がインフォーマルな場として適していないのであれば、近くのカフェでお茶やランチなどしながら話をするというアイデアもあります。

ポイント2.日々の業務進捗以外の話題にする

日々の業務に話題がフォーカスしてしまうと、単なる業務進捗確認になってしまいます。1on1ミーティングで大事なことは、日々の業務管理の中では話をしない、より部下のことを深く知る機会にすることが大事です。

ポイント3.部下にトピックを設定させる

上司からミーティングのトピックを設定してしまうと、それは単に上司の知りたいことの確認になってしまいます。

大事なことは、部下に自由に話をさせて、その内容を上司が傾聴することです。しかし、ときにはトピックの設定が難しいこともあるので、その場合は以下のようなトピック例から、部下に事前に考えてもらうという手もあります。

・部下のキャリア・成長目標

・チームの改善方法

・対人関係

・個人的な問題

また、もし上司が部下の困りごとについて、何か仮説を持っている場合や、どうしても聞きたいことがあるなら、それを事前に頭に入れて、会話の中で部下の口から引き出すようにしてもよいでしょう。

いずれにしても、部下が主体的にトピックを設定しているという雰囲気を作ることが大事です。

ポイント4.質問をする

上司から一方的にアドバイスをするような雰囲気を作ってしまうと、部下からは何も話さなくなってしまいます。部下が話したことを一旦受け止めて「たとえば、どんな事例があった?」とか、「もっと詳しく聞かせてくれませんか?」とか、「他にはどんな困りごとがありましたか?」のように、部下の話したことをより深めたり、広めたりするような質問を投げかけましょう。

ポイント5.期待を伝える

ミーティング中は、部下が話すことが基本ですが、トピックの自然の流れの中で上司からの期待を伝えるようにしましょう。

たとえば、部下が話しをしながら、「今後は事前に●●を確認してから、仕事をするべきかもしれませんね」などと、自分の改善点を口にしたときなどは、「そうだね、私もそうして欲しいと思っている」などと、相槌をうちながら、期待を伝えるのがよいでしょう。

ポイント6.ミーティングの内容は基本的に口外しない

ミーティングで知り得た情報は基本的に口外しないようにしましょう。もし、口外したときに、そのことを部下が知ってしまうと、部下との信頼関係を損なう結果となります。

どうしてもマネジメント上の必要性から自分の上司などに伝えてないといけない内容があるなら、自分の上司に情報として伝えることを部下に事前に話をして了解をもらっておくのがよいでしょう。

ポイント7.メモをとって送付する

部下はさまざまなトピックについて話をするでしょうが、往々にして部下から語られることは理路整然としておらず、飛躍があったり、矛盾があったりするものです。

しかし、そうした飛躍や矛盾をミーティング中に指摘しまうのはよくないので、彼らがそれを自発的に気づくようにしていく必要があります。

そのときの手段のひとつが、部下が話をしたことをメモにして送付してあげることです。部下はそれを客観的見直して、自分の話したことの中に飛躍や矛盾を発見したら、それを自発的に改善するようになるでしょう。

1on1ミーティングにより部下に現れた3つの変化(経験談)

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私自身もマネージャーとして1on1ミーティングを何人もの部下に半年から1年程度かけてやってきた経験がありますが、往々にして部下にはよい兆候が見られます。

代表的なものとしては、以下のような変化がありました。

変化1:部下が自分のやるべきことを明確できた

自分の克服すべき課題が不明確だった部下が、視界が晴れたように取り組むべき課題をクリアにできるようになりました。

これによって部下の生産性は大いに向上して、一見すると無駄な残業が多かった部下が、効率的に仕事を終わらせて帰るようになりましたし、効率的に仕事をするために、どうすべきかという相談も増えるようになりました。

変化2:部下が上司の期待がわかってくれるようになった

1on1ミーティングを続けていると、部下も上司の期待値が見えてくるようになり、次第に何も言わなくても部下が期待どおりに動いてくれるようになりました。

これはチームの生産性向上に大いに役立ちました。上司である私が、逐一部下に指示をしなくても大まかな目標を与えれば、そこに至るまでの道順を自分で順序立てて考えるようになったからです。

変化3.部下が上司の無理を聞いてくれるようになる

1on1ミーティングで信頼関係が出来上がってくると、いざというときに上司の無理を聞いてくれるようになります。

いつもいつも無理させるわけにはいきませんが、どうしてもという時に、一時的に無理をお願いすることもあります。そのときに、普段から信頼関係を築いておけると、無理をお願いしやすくなります。

まとめ

1on1ミーティングは部下の話を聞いて、部下に自発的な変化を促し、最終的にはチームの生産性向上につなげられるツールです。

余談ですが、トヨタ生産方式の大野耐一氏が、「知識を伝えるのは1対100でも1対1000でもできるが、意識を変えるのは1対1でしかできない」と言っていたそうです。この話は、まさに1on1の重要性を示していると思います。

部下の育成で悩んでいる中間管理職の方には、私の経験からも、ぜひおすすめしたいコミュニケーション手法です。

ヤフーでやられている1on1ミーティングを紹介した以下の本も参考になります。

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