サラリーマンを辞めて40代で独立しましたが、今から振り返ると「独立前にこんなことを考えておけばよかったな」、「独立直後にこんなことをすればよかったな」と思うことが多数あります。
この記事では、そうした経験を踏まえて、サラリーマンが起業をするときに予め知っておいた方がよいことを書いていきます。
- 起業に興味があるので、起業のリアルを知りたい
- 起業準備をしているので、準備で足りないところを明確にしたい
こんな人におすすめです。
起業をすると降りかかる膨大な業務
起業をすると膨大な業務が待っています。
1人で起業する場合は、以下のとおり膨大なことを全て自分でこなさなければなりません。
起業が大変な理由
市場調査
資金調達
顧客獲得
サービス開発
協力会社の開拓
契約とりまとめ
人的リソース確保
ウェブページ制作
その他雑務これらを1人でやる必要あるから
ただ、一部でも経験と人脈があればラクになるので、独立を目指す人は今から逆算して経験・人脈を築くことをおすすめします
— セーシン (@n_spirit2004) September 6, 2019
起業をすると、事業の根幹であるサービス開発・顧客獲得をしながら、資金集めをして、バックオフィス業務を全部取り仕切る必要があるので大変なのです。
私は、幸いいくつかの業務に類似することをサラリーマン時代にやっていたのでよかったですが、経験がないまま起業をするとより苦労することになると思います。
起業前に考えるべき3つのこと
慣れない業務が多くなる独立・起業なので、慣れないことを乗り越えてでも起業をしたいと思いがないと苦しくなるかもしれません。
もし、独立・起業をする前の段階なら、次のことを考えておきましょう。
- 起業をしてまでやりたいことはあるか?
- 起業できる能力はあるか?
- 今の組織ではできないことか?
この3点については、サラリーマンを辞めて起業をする前に考えるべき3つのことに詳細を書きました。
記事の後半では、独立して会社の代表になってみてわかった次の3つのことも書いているので、あわせてご覧ください。
- 社長になると誰のせいにもできない
- 責任をとる覚悟が必要になる
- 時は金なりが身に染みる
また、サラリーマンには以下のメリットがあることを再認識しておきましょう。
- 毎月決まった日に給料が支払われる
- 税金や保険に関してあまり考えなくてすむ
- 住宅ローンや賃貸契約の審査が比較的簡単に通る
詳しくは、サラリーマンのメリット・やりがいを見い出す方法をご覧ください。
起業で失敗しないために大事な4つのこと
起業後に困難に遭遇する覚悟ができているとしても、起業をするならできる限り失敗しないようにしたいものです。
私の経験から起業に失敗しないために大事なことは以下の4つだと感じています。
自分が提供できる価値を棚卸しする
1つめは、自分が提供できる価値の棚卸しです。
ここで勘違いしてはいけないのは、提供できる価値とは、やれる仕事のことではありません。
たとえば、同じAという仕事であっても、ある顧客に対しては全く価値のないことかもしれませんし、別の顧客に対しては非常に価値の高いことかもしれません。
サラリーマンをしているときは、仕事=価値だと思っていたかも知れませんが、独立した後はこの考え方をやめて、相手の視点で価値を決める必要があります。
なぜなら、仕事の報酬は基本的に価値に比例するからで、独立後はいかに短い時間で高い価値を生み出すかが重要になるからです。
独立に失敗しないためには、自分の仕事を高い価値だと感じてもらえるような努力が大事です。
自分の価値を棚卸しするために最も手っ取り早いのは、副業をやってみることです。
サラリーマンの人は、自分をマーケットに出してみることで、始めてわかることも多いと思います。
顧客を早期に獲得する
2つめは、顧客を早期に獲得することです。
ビジネスは顧客が途切れない限り潰れることはありません。
また、早めに顧客を獲得して実績ができると、他の顧客を獲得することが容易になっていきます。
さらに、顧客からキャッシュが入ると、その実績をベースに資金調達することも容易になっていきます。
私の場合は、諸事情があって顧客獲得の目処が立たないまま起業に踏み切ってしまったので、最初の3ヶ月は日々キャッシュの心配をするはめになりました。
これは精神的にもよくないので、顧客を早期に獲得することは大事です。(可能であれば、独立前に顧客を獲得しておくことが望ましいです)。
自分ができる作業を棚卸しする
先ほど起業をしたときにやるべきことを書きましたが、その中で自分ができる作業は何なのか?を棚卸ししておきましょう。
たとえば、私の場合、先ほどあげた起業でやるべきことを1つずつ見ていくと、以下のような状況でした。
- 市場調査:前職でユーザー調査を経験した
- 資金調達:直接的な経験はなく一番苦労している
- 顧客獲得:苦労しているが、前職の人脈でコンサルの仕事を獲得できた
- サービス開発:前職の経験、知識、人脈をフルに活用できている
- 協力会社の開拓:同上
- 契約とりまとめ:前職で海外事業者との契約を取りまとめた経験が活きている
- 人的リソース確保:前職の人脈をフルに活用できている
- ウェブページ制作:本業では経験なかったが、副業でホームページ制作をやっていた経験が活きている
- その他雑務:大企業の管理職で雑務を要領よくこなした経験や、タスクを分けて人に仕事をふる経験が活きている
私は、資金調達、顧客獲得という起業をして事業運営していく上での根幹となる部分で苦労しているものの、他の部分はサラリーマン時代の経験値がそこそこあるので、大きな時間を取られずに済んでいます。
このように自分が起業後に、どの業務なら比較的簡単にカバーできそうか、どの業務は苦労しそうかを予め考えておくことで、日々の業務負荷がどの程度になるか予測を立てることもできます。(実際には、予測を超えて忙しくなるものですが)
多少の貯蓄をしておく
4つめは、貯蓄です。
独立してうまくいくかどうかはタイミングによる部分も大きいです。
また、試行錯誤の回数によって成功確率も変わってきます。
そうやってタイミングを掴んだり、試行錯誤の回数を増やすにはどうしても時間が必要になってくるので、手元に蓄えがあるほど有利になります。(蓄えがあると気の緩みが出て、蓄えが無くなると必死になるので、あまり変わらないという考えもありますが)
私の経験上、理想は無給でも1年間生活ができるくらいのキャッシュを持っておくことです。
1年あれば簡単なサービスを作って初期の顧客獲得するには十分な期間ですし、それで売上が十分獲得できなくても、資金調達によってキャッシュを獲得することもできるからです。
起業をすると必要になること
顧客獲得の目処が立っているという前提としたときに、起業をしたらやるべきことは大きく4つです。
目指す姿を考えておく
独立後の目指す姿として、個人事業主または小規模の会社として事業をやっていくか、大きく成長を目指すかは決めておく必要があります。
それによって、製品やサービスに対する考え方や、資金調達の方向性が大きく変わってくるからです。
個人事業主か、その延長でビジネスをやるなら、まずはフリーランスのような形で仕事を始めてもよいでしょう。
もっと詳しく>>独立してフリーランスになるために【考えるべきこと・準備すべきこと】
大きく発展させることを考える場合は、キャッシュフロークラドラントにおけるビジネスオーナーとして資本主義の原理を大いに生かすことができます。(その分、リスクも大きくなります)
これはこれで夢の話ではあります。
もっと詳しく>>【起業が儲かる理由】ビジネスオーナーは資本主義の原則を生かせるから
事業計画を作る
起業をしたらやるべきことは、事業計画を作ることです。
事業計画の策定ステップは以下の10個です。
- ターゲット顧客と課題の特定
- 顧客に提供する価値の決定
- 製品やサービスの具体化
- ビジネスモデルの策定
- 市場規模の算定
- 市場規模に対する獲得シェアの算定
- 売上の算定
- 売上を上げるためにかかる原価・販管費(人員計画、開発費、旅費等)の算定
- 必要投資の算定
- P/Lとキャッシュフロー計算書の算定
もっと詳しく>>新規事業を立ち上げるための【事業計画の作り方】
また、事業を魅力的見せるためのプレゼン資料も必要です。
計画ができたら、計画した製品やサービスを実際に作ってみて、顧客にぶつけながら修正し磨いていきます。
会社を設立する
独立後は、個人事業主として活動することもできます。
たとえば、独立コンサルとして活動したり、フリーランスとして受託をメインに仕事をするだけなら個人事業主として届け出を出しておけば、特に大きな支障はありません。
しかし、お金を調達したり、ある程度大きな会社と取引をしようと思うと、会社を設立しておくのがよいでしょう。
もっと詳しく>>【経験からのまとめ】株式会社の作り方 設立のための11のステップ
資金を調達する
もし、売上がすぐに立つ見込みがなく、自己資金だけで事業運営するのが難しいのであれば、当面の運転資金を外部から調達する必要があります。
調達手段としては以下の2つがあります。
出資
出資とは、株式(または新株予約権)を発行して会社に投資をしてもらうことです。
一般的には、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から出資を受けます。
ベンチャーキャピタルから出資を受けるには、ある程度売上の見込みが立てられる必要がありますが、創業初期だと難易度は高いです。
エンジェル投資家は、事業内容や人に共鳴してもらえば、出資をしてくれるかもしれません。
一般的には300万円とか500万円くらいが多いです。
ただし、いずれから出資を受けるにしても、事業が大きく成長していく狙いがあることが前提になります。
融資
融資とは、借入金のことです。
融資を申し込む先は、一般的に民間の金融機関と、政府系金融機関の2つです。
民間の金融機関は、確実に返せる計画がないとお金を貸してくれないので、売上が上げて、それが安定することを説明できないと苦しいです。
一方で、日本政策金融公庫のような政府系金融機関には、創業支援用の融資制度があるので、そうした制度を使えば初期の運転資金を他の手段よりもハードル低く調達することができます。
もっと詳しく>>【実体験】日本政策金融公庫の創業融資・審査プロセス・審査期間
起業に失敗した後の対処
どれだけ準備をして、行動をしても起業が失敗する可能性をゼロにはできません。
また、実際に独立をすると、毎日のように失敗した後のことが頭をよぎるものです。
しかし、結論から言うと、市場に価値として認められる仕事の仕方をして、かつ莫大な債務を抱えていなければ起業に失敗してもいくらでも再起できます。
もっと詳しく>>【起業に失敗してもその後の再起は可能】経験をキャリアに生かした事例を交えて解説
まとめ
以上、実際に起業してみてわかったことをベースにした、独立・起業でやるべきことのまとめでした。
- 起業をする前に、起業をしてまでやりたいことはあるか?起業できる能力はあるか?今の組織ではできないことか?自分に問う必要がある。
- 起業後には広範囲に渡る仕事が必要になる。慣れないうちは忙殺される可能性が高い。
- 起業で失敗しないためには、自分が提供できる価値を棚卸しする、顧客を早期に獲得する、自分ができる作業を棚卸しする、多少の貯蓄をしておくの4つが重要。
- 起業後は事業計画とプレゼン資料を作り、計画の中で考えた製品やサービスを実際の顧客にぶつけながら磨いていく。
- 起業失敗の可能性をゼロにすることはできないが、市場に価値として認められる仕事の仕方をして、かつ莫大な債務を抱えていなければ失敗しても再起できる。
いきなり起業をするのは大変と思う方は、まずは副業から考えてみましょう。
副業を通じて、顧客を獲得したり、自分でお金を稼いだりする感覚を身につけると、起業してからも大いに役立ちますよ。
もっと詳しく>>在宅でもできる副業とは?