キャッシュフロークワドラントとは、収入を獲得する方法を4つのタイプ「従業員」「自営業」「ビジネスオーナー」「投資家」に分けて論じる考え方です。
お金持ちになるための原理原則を記した大ベストセラー「金持ち父さん貧乏父さん」の著書であるロバート・キヨサキによって考案された考え方です。
「金持ち父さん貧乏父さん」で最も重要なコンセプトは、「負債ではなく資産にお金を使えば、お金は増えていく」というものです。
その後ロバート・キヨサキは「キャッシュフロー・クワドラント」を発刊し、上記の考え方に基づいて収入を獲得する方法を4つのタイプに分類しました。
クワドラントとは、4象限とか4分円という意味なので、文字通りキャッシュフロー・クワドラントではお金の獲得方法に応じて4つの区分に分けているのです。
この記事では、ロバート・キヨサキが提言した2つのコンセプトを紹介、私なりの解釈を加えながら解説していきます。
コンセプト1:負債ではなく資産にお金を使う
ロバート・キヨサキは、負債=お金を消費するもの、資産=お金を生み出すものと定義しています。
会計で使う貸借対照表では、長期にわたって効果を発揮するものを資産として計上し、減価償却をしながら毎年少しずつ費用化する処理をします。
しかし、ロバート・キヨサキの定義では、会計上は資産となるものでも負債と位置づけているものがあるのです。
会計ルール上の資産は、キヨサキ氏の考える負債の場合もある
たとえば、車や持ち家は会計上は資産となりますが、ロバート・キヨサキの定義ではこれらは負債となります。
なぜなら、車も持ち家も、お金を生み出すのではなくお金を消費するものだからです。
車は購入後も、保険代、駐車場代、ガソリン代、メンテナンス代などさまざまな費用を必要とします。
持ち家も、修繕費や固定資産税などを必要とします。
このようにお金を生み出すことがないものは、たとえ会計上は資産であっても、負債と位置づけるべきだとしているのです。
給与をもらって負債にお金を使うとラットレースになる
多くの人は従業員として給与をもらいながら負債にお金を使い、負債が生み出す費用のためにまた働くというサイクルを繰り返しています。
キヨサキ氏は、これを「ラットレース」と呼んでいます。
ラットレースを走っている、つまり稼いだお金を負債に使い続ける限りは、永久にお金持ちになることはありません。
お金持ちになろうとするなら、このラットレースを抜け出すことべきだと主張しています。
コンセプト2:キャッシュフロー・クワドラントを考える
キャッシュフロー・クワドラントとは、職業を大きく以下の4つのタイプに分けるための概念です。
- 従業員
- 自営業
- ビジネスオーナー
- 投資家
キヨサキ氏は、もし金持ちになりたいのであれば、ビジネスオーナーか投資家になれと言っています。
なぜなら、ビジネスや投資というのは、お金を生むもの(=資産)にお金を使い続ける人達だからです。
簡単にいうと稼いだお金を資産という未来のお金に変換しているので、必然的に金持ちになれるというわけです。
さらに資産から獲得したお金をさらに資産を買うために使えば、お金は減るどころか増えていく一方です。
しかも、その金額は労働時間とはまったく比例しません。
一方で、従業員や自営業の人は、自分の労働時間を提供してお金を生み出している人達です。
自分の労働時間をお金に変えている限りは、金持ちになろうとしても限界があります。
それだと、いつまで経ってもラットレースから抜け出せません。
ラットレースから抜け出す方法
ラットレースから抜け出すために最も現実的な方法は、EやSのクワドラントで時間を使って生み出したお金を少しずつ資産にまわしていくことです。
たとえば、サラリーマン(E)として稼いだお金を少しずつビジネスや投資に投入していくのが一つの考え方です。
例としては、以下のようなものがあります。
- 不動産に投資する(I)
- 株式投資などの金融商品に投資する(I)
- 自分のビジネスを起業する(B)
最初に目指すべきなのはビジネスオーナー
では、右側に移るのがよいとして、最初にビジネスオーナー(B)、投資家(I)のどちらを目指すべきかです。
すでに数億円、数十億円という巨額のお金を持っているのであれば、投資家(I)になるのが最も簡単でしょう。
巨額のお金があれば、一般の投資家では投資できないような利回りの大きな案件に投資する機会も増えます。
たとえば、数十社のベンチャー企業に投資をして、そのうちの1社だけでもIPO(株式公開)や、M&A(他社に企業買収される)を達成できれば、大きなプラスになる。
このような投資のやり方も可能になります。
しかし、多くの人がそんな大金を持っていないでしょうから、最初にやるべきことは投資家になるために必要な種銭を作り出すことです。
サラリーマンがコツコツをお金を貯めて投資家になるのもよいですが、ビジネスオーナーとしてまとまったお金を手に入れる方が近道ではないでしょうか。
目指すべきビジネスオーナーのタイプ
ビジネスオーナーには、さまざまな種類がいますが、最初に考えるべきことは元手ゼロで大きく稼げるポテンシャルのあるビジネスでしょう。
たとえば、ネットビジネスです。
ネットビジネスだと、1人で年商1億円を超えて稼ぐ凄い人達もいます。
もう1つは、他人のお金を使ってビジネスをやるのもありです。
たとえば、投資家(I)からお金を出してもらえるようなビジネスのオーナーになれば、自分だけでお金を出さずにビジネスを大きくするチャンスが生まれます。
逆に手を出すと困難が待ち受けているのが、在庫を抱えるビジネスです。
物販事業や飲食店の経営などが典型例です。
在庫のために先にキャッシュを用意する必要があることに加えて、抱えた在庫を売る苦労も伴います。
これだと、ビジネスオーナー(B)のつもりでビジネスをやっていたのに、気がついたら自営業(S)のようになっているかもしれません。
ですので最初に考えるべきことは、元手ゼロでも大きく儲かるビジネスか、他人のお金を使って始められるビジネスになるでしょう。
特に他人のお金を上手に利用することで、少ない元手から大きな創業者利益を生み出すことも可能になります。
もっと詳しく>>ビジネスオーナーが儲かる理由
お金以上に大事なのは時間
お金をキヨサキ氏の定義する負債に使い続ける人達はラットレースを抜け出せないわけですが、お金だけでなく時間も負債より資産に使うという意識が大切でしょう。
たとえば、オンラインゲームをするのに時間を使っているとラットレースから抜け出すのは難しいです。
課金をしてまでやっているのであれば、なおさらです。
これは負債に時間を使っている状況だからです。(もちろん、オンラインゲームで稼ぐつもりであれば、負債ではなく資産になります)
一方で、お金を稼げるビジネスを立ち上げるために時間を使うのは、ラットレースを抜け出すという価値あることに使っている時間になります。
ほかには、友人・知人に会う時間も、単に愚痴の言い合いで終われば負債になるかもしれませんが、将来の自分の糧になる話であれば資産に使ったといえるでしょう。
投資家からお金をもらえるようなビジネスアイデアを磨くことに時間を使うのも、資産に使っている時間といえます。
いずれにしても、ラットレースを抜け出すためには、お金を資産に使う意識だけでなく、時間も資産に投下している意識を持つことが大事なのだと思います。
まとめ
以上、キャッシュフロー・クワドラントについて解説しました。
- 負債(お金を奪うもの)ではなく、資産(お金を生み出すもの)にお金を使うことで金持ちになれる。
- キャッシュフロークワドラントの中では、ビジネスオーナーか投資家になるべきだが、元手がないならビジネスオーナーを狙っていくべき。
- ビジネスオーナーになるときに注意すべきことは、自営業のようにならないこと。元手ゼロで大きく儲かるビジネスか、人のお金を使って儲けるビジネスを考えるのがよい。
- 時間も同じように負債ではなく、資産に使うことが大事。