ロジカルシンキング

【交渉のプロセス】BATNA・ZOPAとは【WIN-WINに導くステップ】

 

こんにちは、セーシン(@n_spirit2004)です。

「交渉が苦手で、いつもうまく進められない」

こんな悩みをお持ちの方も多いと思いますが、交渉はビジネスパーソンにとって仕事上の難関のひとつといえるのではないでしょうか。

交渉は相手があることなので、思い通りに進められないという印象を持っているかもしれません。

しかし、交渉にもフレームワークがあります。

フレームワークを習得することで、交渉をスムーズに進める助けになることでしょう。

この記事では、交渉をする際のプロセス・フレームワーク、重要概念である「BATNAとZOPA」を中心に解説していきます。

 

交渉の目的はWIN-WINを作ること

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交渉と聞くと、相手よりも優位に立つことを考えてしまいがちですが、交渉が本来目的とするところは、WIN-WINの状況を作ることです。

なぜなら、一方的に相手に譲歩を迫るような交渉は、相手との関係性を悪くする要因にもなり、継続的にビジネスをする上での障害にもなり得るからです。

交渉によって得られる結果は、交渉の成果の大小、相手の関係の良し悪しという2つの軸を使って以下の図のように整理できます。

交渉のフレームワーク

先ほど、書いた相手を完全に打ち負かしてしまう状況は、Win-Loseの状況になります。

一方で、相手の言いなりになる完全譲歩という状況も継続的な関係を保つことが難しいシチュエーションと言えます。

その他にも、結論を先延ばしにしたり、お互いが妥協して交渉を終える状況も避けるべき状況ではあります。

妥協というのは一見良いように見えますが、お互いにとってより大きな価値を生み出せるWin-Winシチュエーションを逃しているという観点から考えると、Lose-Loseの位置づけに近い結果と言えるからです。

あくまでも、交渉で狙うべき姿は、このマトリックスの右上に位置するWin-WInのシチュエーションであることを忘れないようにする必要があります。

 

交渉のプロセスー5つのステップ

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ステップ1.状況を把握する

交渉の準備段階では、以下の5つのポイントを明確にしておきます。

交渉を優位に進めるためには、これらの点については相手側の考えていることも事前に把握するように努めることが重要です。

交渉者の数

2者であれば構造はシンプルですが、3者以上が絡んでくると一気に複雑さが増します。

交渉者の意思決定権

実際に交渉をする相手が意思決定権者であれば話はスムーズですが、交渉者と意思決定権者が異なる場合、意思決定権者の考え・立場に加え、交渉者の考え・立場まで考慮しなくてはなりません。

論点の数

論点の数が少ないと構造はシンプルですが、最適解を見出しにくい特徴があります。

逆に論点の数が多いと構造は複雑になりますが、複数の要素の組み合わせて最適解を見出しやすい特徴があります。

ビジネスにおける交渉は、最終的に契約書の形に落とし込まれることが多いので、予め契約書の案を作成しておくと、交渉における論点を明確にすることができます。

交渉者の力関係

これは単純に立場や権力の違いだけでなく、持っている情報量なども含んだ力関係です。

最大限譲歩できるポイント

価格やその他条件で、最大限どこまでなら譲歩できるかということです。

予め決めておくことで、その場の成行で相手の言いなりになることを防ぐことができます。

譲歩できるポイントを探るためには、後ほど説明するBATNAとZOPAも大事になってきます。

 

ステップ2.交渉相手の視点で交渉を考える

状況を把握できたら、相手の視点で交渉を考えてみます。

交渉相手の感情や行動規範

交渉をする相手が、交渉そのものや交渉者に対して、どのような感情を抱いているかを分析しておきます。

さらに、交渉相手の行動規範(ルールを重んじる、慎重に行動する、新しいことを積極的に受け入れる等)を明確にします。

交渉相手が譲歩できそうなポイント

こちら側が譲歩できそうなポイントと同様に、交渉の相手側が譲歩できそうなポイントも予め想定しておきます。(後ほどBATNAとZOPAで詳細を解説します)

 

ステップ3.対立を両立できるアイデアを考える

交渉の中で、お互いが対立を起こすケースも考えられます。

その場合は、安易な妥協策を考えるのではなく、その対立を両立してお互いがWIN-WINにできないのか?、という視点を持つようにします。

対立を両立に変える方法として、TOCクラウドが有効です。

TOCクラウドとは【対立を両立に変える思考法】活用事例と合わせて紹介 こんにちは、セーシン(@n_spirit2004)です。 世の中には、Aか?Bか?という議論をよく見ます。 ネット上...

 

ステップ4.事前にシミュレーションをする

ステップ1から3で考えたことをベースに、実際の交渉をシミュレーションします。

シミュレーション上は、想定どおりに交渉を完了できるケースと、想定外のことが起きるケースの両方を考えておきます。

交渉の際には、「Yes or No」のスタンスだとなかなか折り合いがつかないので、条件をパッケージ化して交渉を進めることで話がうまくいきやすくなります。

例えば、価格だけの話にフォーカスせずに、支払条件やデリバリー条件などをパッケージにしてトータルで話をするという方法があります。

こうしたことも、事前にシミュレーションをしておくことで、交渉の最中に慌てずに済むようになります。

 

ステップ5.実際に交渉をする

ステップ3までの準備ができたら、実際に交渉に臨みます。

以下は、交渉を進める手順の一例です。

  1. ステップ2や3で考えていたことが正しいのか確認をする。
  2. 正しければ、事前に想定した妥結ポイントになるように進めて、正しくなければ、相手の要望を再度確認し、自分たちの要望との間で対立を起こしている部分を明確にする。
  3. 相手の要望と、自分たちの要望が対立をしている場合は、両立できる方法を議論する。
  4. クロージングをする。(決めたことのおさらい、議事録や契約書に記載する内容の確認など)

 

BATNAとZOPA

WIN-WINシチュエーションを実現するために、おさえておきたい概念がBATNAとZOPAです。

交渉の前に、自分と交渉相手のBATNAと、ZOPAを押さえておくことで、WIN-WINのシチュエーションを実現する助けになるのです。

 

BATNAとは

BATNAとは、交渉が決裂したときの対処案の中で最もよい案という意味です。

Best Alternative to a Negotiated Agreementの頭文字をとってBATNA(バトナ)と呼びます。

例えば、買い手のAさんと売り手のBさんが、原付バイクの売買交渉をしているとしましょう。

買い手のAさんは今回の交渉の前に、別の人(Cさん)から同じ原付バイクを8万円で売ると持ちかけられています。

一方、売り手のBさんは今回の交渉の前に、別の人(Dさん)から同じ原付バイクを6万円で買うと持ちかけられています。

このとき、お互いのBATNAは、次のようになります。

買い手のAさん:Cさんから8万円で買う

売り手のBさん:Dさんに8万円で売る

今回は単純化するために値段だけに言及していますが、実際には値段以外にもBATNAとして考える対象はあります。

  • 年式
  • 走行距離
  • 受け渡しの場所
  • 相手との人間関係

 

ZOPAとは

ZOPAとは、合意可能領域という意味です。Zone of Possible Agreementの頭文字をとってZOPA(ゾーパ)と呼びます。

先ほどの原付きバイクの売買の事例で考えてみます。

AさんにとってのBATNAは8万円で、BさんにとってのBATNAは6万円でした。

つまり、この売買交渉においては、6万円~8万円の間にZOPAが存在することになります。

これは、6万円~8万円の価格であれば、両者がWIN-WINになる交渉です。

交渉では、このBATNAとZOPAを事前に探ることが大事になってくるのです。

逆にZOPAが存在しない交渉はお互いに譲歩できるポイントがないため、交渉するだけ時間の無駄ということになります。

 

BATNAを探る方法

BATNAが大事であることは理解できても、相手のBATNAを事前に知ることは難しいでしょう。

そこで、次のような方法でBATNAを推定する必要があります。

  • 世間の相場から推測する:先ほどのバイクの売買だと、中古の原付バイクがいくらくらいで市場で取引されているかを調べる方法があります。
  • 常識に判断する:中古の原付バイクが20万円も30万円もするということは考えづらいと思います。世間一般の常識の範囲でBATNAを考えてみるのも1つの方法です。
  • アンカリングを使う:これは交渉の中で、BATNAと想定される金額から外れた金額を言って、相手の様子を伺う方法です。例えば、買い手のAさんなら、「5万円ならどうですか?」と言って、反応を見てみるのです。もし、売り手のBさんがあり得ないという反応をしたなら、BATNAがもっと上の金額であることがわかります。

ただし、こちらにBATNAがない状態で交渉するときは、交渉相手の仕掛けてくるアンカリングには要注意です。

例えば、AさんがBATNAを持たずに交渉に臨んでいるとします。

ここでBさんから、3ヶ月後には原付バイクの需要が増えることが予想されて、9万円くらいの値付けになるという情報を提供されたらどうなるでしょうか。

その時点で、Aさんの中には9万円という仮想BATNAが出来上がります。

こうすると、BさんのBATNAとの間にZOPAが生まれますが、これをそのまま鵜呑みにするのは危険かもしれません。

交渉前には、可能な限り情報を集めておいて、交渉相手の本当のBATNAはいくらなのか?交渉相手が言っていることは本当なのか?を判断できるような準備をしておきましょう。

 

まとめ

以上、交渉のプロセスと、WIN-WINを作るためのBATNAとZOPAでした。

  • 交渉で狙うべきは妥協ではなく、WIN-WINシチュエーション。
  • 交渉のステップは、状況把握、交渉相手の視点分析、対立の解消案の立案、交渉のシミュレーション、実際の交渉の5つ。
  • WIN-WINを作るために重要なのがBATNAとZOPA。BATNAとは、交渉が決裂したときの最適な代替案、ZOPAとは、お互いのBATNAの間に存在する妥結可能領域のこと。
  • BATNAを探るには、世間の相場から判断する、常識から考える、アンカリングを使うなどが有効である。
  • 交渉相手がアンカリングを使ってきたときには要注意。本当に正しい情報かを判断できる知識を事前に持ち合わせておくと交渉で不利にならない。

 

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セーシン
40代でサラリーマンを辞めて独立、現在は国内外からコンサルや顧問などの業務を受託するフリーランスです。20代から書き溜めた学び(ビジネスの基礎知識や経験談)をこのブログにまとめています。 ツイッターアカウントはこちら
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