経営戦略論

3C分析とは?目的とやり方【発展形の5C・6Cも解説】

3C分析とは?やり方を解説

事業環境を分析するためには、そこに参加している関与者を漏れなく分析する必要がありますが、そうした関与者を適切に考えられる経営戦略フレームワークとして3C分析があります。

この記事では、その3C分析について解説していきます。

3C分析とは

3C分析とは、元マッキンゼーの戦略コンサルタント大前研一氏が著書「ストラテジック・マインド」の中で発表したフレームワークで、企業の事業環境分析や企画立案において定番とされている手法です。

3C分析では事業を取り巻く環境を以下3つの観点から分析していきます。

  • 市場、顧客(Customer)
  • 自社(Corporation)
  • 競合(Competitor)

3C分析の提唱者である大前氏は、自身の著書で3Cについて以下のように書いています。

およそいかなる経営戦略の立案にあたっても、三者の主たるプレイヤーを考慮に入れなければならない。すなわち、当の企業=自社(Corporation)、顧客(Customer)、競合相手(Competitor)の三者である。

この戦略的3Cは、それぞれ自らの利害と目的を持つ、生きた存在である。三者を一括して、われわれは、”戦略的三角関係”と呼ぶことにしよう。

ストラテジック・マインドより引用

この3つを文字通り三角関係で表したのが下図です。

自社と競合は市場に対して製品やサービスを通じてValueを提供し、自社と競合はコストで争っているという構図です。

3Cを考える際の戦略立案単位

大前氏は、3C分析をする上で考えるべきことは、戦略立案単位だとしています。

大手企業の場合、複数の事業を持っていることがほとんどですが、3Cを考える際には、それを適切なレベルに適用することが大事だとしています。

つまり、大きすぎても、小さすぎてもダメだということです。

大前氏の言葉を借りると次のようになります。

良い事業単位戦略というものは、顧客ニーズと競合のあらゆる主要機能側面に対応するものでなければならないことを意味している。

ストラテジック・マインドより引用

3C分析の目的

3C分析は、市場と競合の分析から導かれる事業のKSF(重要成功要因)に対して、自社の分析からKSFとのギャップを見つけてアクションを導き出すことを目的として使われます。

大前氏も著書で以下のように書いています。

この戦略的三角関係の中でも戦略立案者の仕事は、成功の鍵(KFS)という点で、競合相手を上回るという手を考え出す、ということ以外にない。また、その戦略は、市場としてはっきり定義された顧客のニーズと自社の力を正しく釣り合わせられるものでなくてはならない。

ストラテジックマインドより引用

※ここで書かれているKFS(Key Factor for Success)を本サイトではKSF(Key Success Factor)と書いています。

3C分析のやり方

3C分析においては、市場を軸にする戦略、自社を軸にする戦略、競合を軸にする戦略があります。

市場を軸にする戦略

市場を軸にする戦略では、顧客を適切にセグメンテーションをすることが大切になってきます。

なぜなら、1つの企業があらゆる顧客層に等しくアプローチをすることは極めて困難だからです。

そのため、自社にとってアプローチをしやすい顧客と、アプローチをしにくい顧客を分ける必要があるのです。

その上で、市場・顧客に対しては、次のようなことを検討していきます。

セグメンテーションは、大きく分けて2つの軸があるとしています。

目的関数によるセグメンテーション

顧客が製品やサービスを購買、利用する目的によってセグメンテーションをすることです。

同じ製品やサービスであっても、顧客が購買する目的が異なることはよくあります。

たとえば、車を購入する人は、移動手段として利用したい人、運転を楽しみたい人、友達に自慢をしたい人などさまざまです。

こうした目的に合わせてセグメンテーションをするのが目的関数によるセグメンテーションです。

自社のカバレッジによるセグメンテーション

自社が顧客にアプローチする手段によって、セグメンテーションをすることです。

地域別や流通チャネル別などで分解できます。

カバレッジの手段を明らかにすることで、自社がかけられるコスト、つまりどこまでのカバレッジを確保するかを議論できるようになります。

このようにセグメンテーションをすることで、特定セグメントの顧客ニーズを徹底的に分析しながら、その顧客にどのようにアプローチをすることで、競合との差別化を考えていきます。

なお、セグメンテーションは一度決めたら、固定されるものではありません。

顧客の購買目的が変化をしたり、顧客にいる場所が変わったりすれば、当然セグメンテーションは再定義される必要があります。

自社を軸にする戦略

自社を軸にする戦略で考えるべきなのは、顧客ニーズを満たすためには、バリューチェーンの中で、どこの機能がキーとなるのか、それは競合に比べてどの程度勝っているのか?ということです。

たとえば、製造業なら、以下のようにバリューチェーンを描き、定性的な強み・弱みと、定量的な(主にはコスト構造に起因する)強みと弱みを洗い出しいきます。

その中から、自社が競合よりも相対的に優位である機能、つまりKSFを強めることで、顧客への提供価値を差別化を図っていきます。

自社のバリューチェーンの中で検討すべき項目

  • 自社のどの機能が顧客への提供価値に大きく寄与しているか?
  • 自社はどの機能に強みを持っているか?
  • 自社はどの機能に弱みを持っているか?
  • 顧客への提供価値を最大化するためのKSFは何か?

競合を軸にする戦略

競合を軸にする戦略は、自社と競合の相対比較をじっくり行って、どうすれば競合と差別化できるかを考えることで作られていきます。

そのため、自社での分析と同様に競合のバリューチェーンも分析し、相対的な有利不利をより明確にしていく必要があります。

競合バリューチェーンの中で検討すべき項目

  • 競合のどの機能が顧客への提供価値に大きく寄与しているか?
  • 競合はどの機能に強みを持っているか?
  • 競合はどの機能に弱みを持っているか?
  • 顧客への提供価値を最大化するためのKSFは何か?

この競合のバリューチェーンを検討するときには、価格、販売量、コストの少なくとも1つに関与した内容である必要があります。

たとえば、購買能力に差がある場合、それは往々にしてコストに関係してきますし、流通網の広さに差がある場合、それは往々にして販売量に関係してきます。

前者のような購買能力の差は、類似品のコストテーブルを比較することで分析できますし、後者の販売網による差異については、以下のような漏れ分析を使って分析できます。

漏れ分析

3Cを派生的に使う事例

3Cは、ここまで解説してきたように、市場、自社、競合に立脚して戦略を立案していくためのフレームワークですが、近年ではさまざまな検討事項に応用されています。

たとえば、当サイトの別記事にも掲載した、以下のピラミッドストラクチャーがあります。

これは、X事業に参入すべきか?という命題に対して、参入すべきという結論を出すために3Cという枠組みで分析をしたものです。

ピラミッドストラクチャーの例

この事例のように事業課題を考える際に、3Cを使うことで、事業課題(この場合はX事業に参入するかどうか)に対して、意味のある結論を導き出すことができます。

3C分析の発展形

3C分析は、1984年に発表されてから、現代に至るまでにアレンジされた発展形がいくつもあります。

選択、集中、差別化を加えた3C+3S

3Cの分析には同時に3Sというアクションも加わってくるという意味合いで、3C+3S分析という考え方をする場合もあります。

  • Customer:選択
  • Competitor:差別化
  • Corporation:集中

流通と協業者も加えた5C

3C分析は市場、競合、自社というフレームワークでの分析ですが、昨今のビジネス環境においては、この3者の分析だけでは不十分だと言われています。

そこで、フレームワークとして登場したのが、5Cです。追加2つ、または3つのCは人によってさまざまな解釈がありますが、代表的なものとして以下のようものがあります。

市場+競合+自社 +流通(Channel)+協業者(Collaborator)

流通(Channel)
文字通り、流通チャネルのことで、流通チャネルの構造、ニーズ、規模や成長性といった部分の分析になります。

協業者(Collaborator)
ビジネスをする上での重要パートナーや、IT企業でいくと自社のサービスを補完する勢力のことです。前者の例としては、トヨタ自動車に対する戦略サプライヤーであるAISIN精機があり、後者の例としては、Appleに対するアプリケーションサプライヤーがあげられます。

背景または統制者まで加えた6C

さらに5Cから発展して、背景(または統制者)まで加えた6Cという枠組みも登場しました。

市場+競合+自社 +流通(Channel)+協業者(Collaborator)+背景(Context)

または

市場+競合+自社 +流通(Channel)+協業者(Collaborator)+統制者(Controller)

背景(Context)(=統制者(Controller))
ビジネスをする上での規制や、景気の状態、消費者のマクロな状況、人口動態や技術革新の度合いなどを示します。以下のようなPEST分析がその代表例ともいえます。

まとめ

以上が3C分析と3C分析の発展形の解説でした。

3C分析については、デジマケの教科書の3C分析とは?マーケティング戦略のための目的ややり方をわかりやすく解説でも解説されていますので、あわせてご覧ください。

  • 3C分析とは、企業の事業環境分析や企画立案に使われるフレームワークで、市場、顧客(Customer)、自社(Corporation)、競合(Competitor)、からなる三角関係を分析することである。
  • 3C分析の目的は、事業のKSF(重要成功要因)を導き出すことである。
  • 市場に軸を置いた戦略では、適切なセグメンテーションをして、どの顧客にアプローチするか決めることが重要である。
  • 自社に軸を置いた戦略では、顧客に価値を提供するための重要機能をバリューチェーンの中から特定することが重要である。
  • 競合に軸を置いた戦略では、自社との相対的に機能の優劣を比較し、コスト、販売量、価格に対して、どのような影響度を持っているのかを明らかにすることが重要である。
  • 近年では、事業課題を論理的に考えるための枠組みとして3Cが使われるケースも多い。
  • 時代の変化に伴って、3Cだけでは論じられない課題に対して、5C(3C+流通+協業者)、6C(3C+流通+協業者+背景)など発展形が見られるようになった。

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