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【5分でわかる】事業への資源配分を考えるためのポートフォリオ・マネジメント

 

複数の事業の中で、どこに資源投下をするべきなのかを考えることをポートフォリオ・マネジメントといいますが、そのポートフォリオ・マネジメントには、様々な切り口があります。

 

ここでは、最も有名なPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)をはじめ、GEのビジネススクリーン、バリューポートフォリオについて解説していきます。

 

 

PPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)

PPMとは、コンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループが考案した事業ポートフォリオを考えるフレームワークで、プロダクト・ポートフォリオ・マネジメントの略です。

PPMでは2つの軸を取り、縦軸に市場成長率、横軸に相対マーケットシェアを取って、マトリックスを作り、事業を4つの象限に分類します(下図参照)。

PPM プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント




PPMは、規模の経済性が働く事業における事業戦略の方向性を考える上で有効なフレームワークです。(逆に規模の経済性が働からない事業においては、使いにくいフレームワークとも言えます)

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PPMは、縦軸がプロダクトライフサイクル(PLC)、横時が経験曲線効果(累積生産量の増加が、製品あたりのコストを下げるという理論)という2つの理論が前提になっている理論です。

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花形事業

「花形事業」では、大きな利益が得られる一方で、多額な設備投資を必要とするため、大きなキャッシュフローは望めません。ここに位置する場合、現在のシェアを維持しながら、成長のための投資を行い、「金のなる木」に育てる必要があります。新製品や「問題児」は、まず花形事業にすることを目的とする必要があります。

 

金のなる木

「金のなる木」では、市場成長率が期待できないため、投資を必要最小限に抑えて、キャッシュを回収し、他の事業を「花形事業」に育てるための資金源とする必要があります。収益が多いうえに投資を抑えられるため、企業の主な余剰資金源になります。

 

問題児

「問題児」では、「金のなる木」の余剰資金を早いうちに集中投資をして、シェア拡大により「花形事業」にするか、「負け犬」になるのを回避するために、早期撤退するかの判断が必要になります。

 

負け犬

「負け犬」では、早期撤退か売却などの判断が必要になります。しかし、実際には以下のような撤退障壁のためになかなか撤退できない場合があります。

・多額の投資に対する償却ができていない場合
・労働組合など社内、あるいは顧客、仕入先、流通業者など社外からの反対がある場合
・撤退コストが非常に大きい場合
・名声や経営者のプライドを保全が優先された場合

 

PPMの使い方

PPMを使う場合、一般的に各象限にそれぞれの事業規模を表す円を買いて、自社の事業の全体観を表します。この際、次の2点に注意が必要です。

横軸のシェアの定義を明確にする
シェアには、売上ベースのものと、数量のベースのものがあります。また、全体の市場におけるシェアなのか、セグメント別のシェアなのか、チャネル別のシェアなのかでも数値が異なります。また、この場合のシェアは、相対シェアのことで、相対シェアは次のように定義されます。
 ・トップ企業の場合、2位企業に対する倍率
 ・2位以下の企業の場合、トップに対する倍率

象限の区切りを明確にする
象限の区切りを数字で明確にしておく必要があります。(下の例では、縦軸の中央を10%、横軸の中央を1倍にしています。)

 


PPMの例(円の面積は、売上の規模を表す 横軸は対数目盛り)

PPMの例


 

PPMと4つの戦略

■拡大戦略
主に問題児で利用する戦略です。

■維持戦略
主に金のなる木、花形産業で利用する戦略です。

■収穫戦略
金のなる木、問題児、負け犬で利用する戦略です。

■撤退戦略
問題児や負け犬で利用する戦略です。

 

先発企業と後発企業のPPM上の推移の違い

事業は時を経るに従いPPM上を動いていきますが、先発企業と後発企業ではその代表的な動きが異なります。それを示したのが下の例になります。

先発企業のPPM

 

後発企業のPPM

 

GEのビジネススクリーン

GEのビジネススクリーンとは、GE(ゼネラル・エレクトリック)とマッキンゼーが開発した9つのセルを使って企業ポートフォリオの評価を行うためのフレームワークです。

GEのビジネスクリーンでは、PPMのように単に市場成長率とシェアで分類するのではなく、様々な要素を重み付けをしながら複合的に勘案した「長期的な業界の魅力度」と、「競争ポジション(事業の強度)」を軸にとっています。

GEのビジネススクリーン

 

長期的な魅力度を測る指標

長期的な魅力度を測る指標としては、

  • 市場規模と成長率
  • 競争度合い
  • マクロ環境(社会、政治、技術、経済)の影響
  • 参入障壁と撤退障壁
  • 必要な技術と資本
  • 機会や脅威の出現

などがあります。

 

競争ポジションを測る指標

競争ポジションを測る指標としては、

  • 相対的なシェア、コスト・ポジション
  • 技術力
  • 競合他社を上回る製品・サービス
  • 経営能力
  • コア・コンピタンス

などがあります。

 

バリューポートフォリオ

バリューポートフォリオとは、「ROIの高さ」や「事業価値創造への貢献」など株主の視点と、「会社のビジョンとの整合性」などを会社の資源をどの事業に集中させるべきかといった経営者の視点を軸にしたフレームワークです。バリューポートフォリオは、PPMと同様にコンサルティング会社のボストン・コンサルティング・グループが考案した


PPMがキャッシュの需要(市場成長率)と創出力(相対シェア)を軸にしてキャッシュフローの制約をどうマネージメントするかというフレームワーク、GEのビジネススクリーンがPPMの発展系のフレームワークであるのに対し、バリューポートフォリオは、事業の再構築を検討するためのフレームワークです。


バリューポートフォリオでは、各事業をビジョン整合性とROIの高低によりプロットして、その事業に投下した資本の大きさを円の面積で表します。4つの象限は、それぞれ本命事業、課題事業、機会事業、見切り事業に分類されます。

 

バリューポートフォリオ

 

課題事業

ビジョンとの整合がとれているのに、収益性が低い事業です。経営者がこの事業での収益化(=利益率の向上)を図らなければ、株主から撤退圧力がかかる事業です。

 

本命事業

ビジョンとの整合性も高く、収益性の高い事業です。この事業は会社の設立趣旨そのものという事業になるので、より拡大させることが期待される事業です。

 

見切り事業

ビジョンとの整合性が低く、収益性も低いので、早々に撤退すべき事業です。

 

機会事業

収益性が高いにも関わらず、ビジョンとの整合性が低い事業です。早期に経営ビジョンとの整合をとる必要があります。さもなければ、従業員のモチベーション低下や、ブランド価値の毀損につながる可能性があります。場合によっては、本命事業に資源投下するための売却対象となるかもしれません。

 

まとめ

複数事業を持っている会社では、これらのポートフォリオを活用することで、自社事業のどこに資源を集中させるべきかを示唆を得ることができます。自社の事業をこのポートフォリオに当てはめてみて、セオリーどおりに資源を投下できるのか?考えてみてはいかがでしょうか。

 


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