Ns spirit 投資学・経営学研究室

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【5分でわかる】売上債権(売掛金、受取手形)とは 買入債務(買掛金、支払手形)とは

ここでは、1.売上債権、2.買入債務、3.売上債権回転率、4.買入債務回転率について紹介します。

 

1.売上債権とは
売上債権とは、得意先との間で生じた営業上の未収入金(売掛金)や手形債権(受取手形)のことです。

 

売掛金とは
一般的に会社間で、製品やサービスをやりとりするとき、現金を使うことは滅多にありません。通常は納品書や受領書を元にやりとりをして、実際の現金の動きは何ヶ月か遅れた一定の期日に発生します。例えば、商品の売上があった場合、すぐに現金として回収しないで、売掛金として後日決済します。これは、会社間の信用で取引している状態になります。

 

売掛金の貸し倒れは会社に多大な損害をもたらします。利益率が5%の会社が、100万円分の売上金を回収できなかった場合、その回収できない売上をカバーするのに必要な売上は100万円/5%=2000万円になります。


受取手形とは
受取手形は売掛金に比べ法的強制力が強くなります。受取手形には、約束手形と為替手形があります。手形は、売掛金による取引では心配な場合に、手形という証券として相手に振り出します。

 

約束手形は当事者が2人いる場合に用いられますが、為替手形は当事者が3人いる場合に用いられます。為替手形は、例えばA社がB社に対して売掛金が10万円あって、同じ期日にA社がC社に対して買掛金が10万円ある場合、B社からC社へ10万円を払う場合に用いられます。この場合、A社はB社に承認をもらって、C社に為替手形を振り出すことになります。


売上債権の増加要因 
売上債権の増加要因としては、主に次の4つがあります。
・現金取引の割合が減少している。
・債権回収が遅延している。
・手形サイトが長期化している。
・粉飾決算(売上の架空計上)をしている。

(売掛金や手形など、代金を請求してから入金されるまでの期間をサイトと呼びます。)
一般的にサイトが長くなる要因には、次の2つが挙げられます。
・企業が顧客に対する交渉力が弱いこと
・商品を積極的に売り込みたいので、わざと回収条件を緩くするような
 営業施策をとった場合があります。

 

2.買入債務とは
買入債務とは、バランスシートの流動負債の項目に記されるもので、買掛金や支払手形のことをいいます。買入債務は将来支払う予定の資金ですが、リアルタイムでは未払いなので、バランスシートの上では負債ですが、実際はキャッシュアウトしていないものになります。

 

ただし、買入債務が支払えないということ、特に手形を不渡りにするということは、倒産に至る可能性が高いということなので、買入債務があまりに大量だと注意が必要になります。

 

買入債務は、売上債権とは逆のものであると考えればよいでしょう。なお、買入債務は、仕入債務と呼ぶこともあります。

 

3.売上債権回転率とは

売上債権回転率とは、売上債権の回収効率を表す指標のことです。

 

売上債権回転率 = 売上高/売上債権

 

売上債権の回収効率がよいほど、売上債権回転率は上がります。

 

また、同じような指標で、売上債権回転月数というものがあります。

 

売上債権回転月数 = 売上債権×12/売上高

 

これによって、売上債権が何ヶ月分の売上高に相当するかをみます。こちらは少ない方が効率がよいということになります。また、月数ではなく日数でみる場合もあります。

その場合は、次の式となります。

 

売上債権回転日数 = 売上債権×365/売上高

 

売上債権の回転効率が悪いということは、資金繰りが悪いということを示します。店頭での現金販売を基本とする小売業や、飲食業の場合、売上債権回転率は非常に高くなります。


売上債権回転率が悪化する原因 
売上債権回転率悪化には次のような原因が考えられます。
1.取引先の経営状態悪化により売上債権ができなくなっている。
2.手形の決済を遅らせるため、発行済みの手形を新規の手形と差し替えている。
   (手形のジャンプ)
3.取引先の力が強く、支払いまでの期間が長くなる。


売上債権回転率の改善ポイント 
売上債権回転率の改善のポイントには次のようなものがあります。
1.支払い期日の把握、遅れに対する催促など売上債権の管理を強化する。
2.同じ取引先で売上債権の偏りがないよう、与信管理を強化する。
3.支払い期間の短縮など決済条件の変更をする。

ただし、売上債権の回収をゆっくりにすることは顧客にとってはメリットがあります。これを逆手にとって、あえて支払期日を遅めにして顧客拡大を図るというマーケティング戦略を採用する場合もあります。

 

4.買入債務回転率とは
買入債務回転率とは、買入債務の回収効率を表す指標のことです。

 

買入債務回転率 = 売上原価/買入債務

 

買入債務の回収効率がよいほど、買入債務回転率は上がります。

 

また、同じような指標で、買入債務回転月数というものがあります。

 

買入債務回転月数 = 買入債務×12/売上原価

 

これによって、買入債務が何ヶ月分の売上高に相当するかをみます。


買入債務回転率は、高い(回転月数が短い)ほどよいかというと、一概にそうは言えない場合があります。

 

買入債務回転率が高い場合は、値引きなどにつなげることができ、有利と考えられます。一方で、買入債務回転率が低い場合は、それだけキャッシュフローの面からは有利になります(買入債務回転率が低いということは、支払いが遅れていることも表します)。