Ns spirit 投資学・経営学研究室

投資・経営の基礎を網羅した「投資学・経営学研究室」のブログ版です。ビジネスパーソンに必須となる基礎知識・基礎スキル、仕事やキャリアに関する情報を中心に発信していきます。

【3分でわかる】企業価値とは 株主価値とは 算出方法

企業価値とは
企業価値とは、文字通り企業の値打ちのことです。企業価値は、企業が資産を使って生み出すキャッシュフローの総和を現在価値に直したもの(事業価値)に、現金・預金や有価証券などの金融資産を足すことで求められます。企業価値は、言い換えると保有資産の時価ということがいえます。企業価値を算出することで、株主価値がわかります。

株主価値とは、株主資本の時価に相当するもので、株主価値を発行株式数で割ると理論株価を求めることができます。

企業価値と株主価値には下図のような関係があります。

企業価値 株主価値

通常、バランスシートで表記されるのは、左側の簿価の状態です。しかし、簿価のままでは、正確な企業の価値が測れないので、右のように資産を時価換算(図中のA’)して考えます。

企業価値と株主価値を数式で表すと次のようになります。

 企業価値
  = 事業価値(営業資産+含み益+営業権) - 営業負債

企業価値は通常DCF法やEV/EBITDA倍率で算定できます。

 

 

【5分でわかる】DCF法とは 投資価値判断で最もよく使われる手法

【3分でわかる】EV/EBITDA倍率とは プロが使う株式投資尺度


 株主価値
  = 企業価値 - ネットデット(※)

※ネットデット=有利子負債-金融資産(現金・有価証券・遊休不動産など)

少数株主持分が計上されている場合は、少数株主持分も企業価値から差し引いて株主価値を計算します。少数株主持分とは、第三者が持っている連結対象の会社(子会社)の株のことで、資産や負債とは独立してバランスシートに記載されるものです

したがって、理論株価は次のようなります。

 理論株価 = 株主価値 / 発行株式数


DCF法を使った企業価値、株主価値算出の例
DCF法での企業価値算出例を紹介します。

ある会社の今年のフリーキャッシュフロー(FCF)が3000万円だとします。5年後まで10%の割合で成長して、その後は一定だとすると企業価値は次のようになります。(割引率を7%とします)

                                            (単位:万円)

  1年後 2年後 3年後 4年後 5年後 残存価値 現在価値
の累計
FCF 3300 3630 3993 4392 4831 69021 -
現在価値 3084 3170 3259 3351 3445 49212 65521


この会社の企業価値は、キャッシュフローの現在価値累計から65521万円になります。仮にこの会社の有利子負債が10000万円で、金融資産が3000万円、少数株主持分が0万円だとすると、この会社の株主価値は次のようになります。

 株主価値 = 65521万円 - 10000万円 + 3000万円 = 58521万円

もし、この会社の発行株式数が10万株の場合、理論株価は5852.1円になります。

 

参考記事

www.nsspirt-cashf2.com



もしこの会社が6年目以降、成長率3%で成長を続けるとすると、企業価値は次のようになります。

                                            (単位:万円)

  1年後 2年後 3年後 4年後 5年後 残存価値 現在価値
の累計
FCF 3300 3630 3993 4392 4831 124412 -
現在価値 3084 3170 3259 3351 3445 88704 105014


上の例と同じ条件で株主価値を計算すると次のようになります。

 株主価値 = 105014万円 - 10000万円 + 3000万円 = 98014万円

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。企業価値と株主価値を知ることは、株式投資のとき、株式公開のとき、そして買収価格を決定するときなど、様々な場面で必要になってきます。

 

詳細の計算自体は経理や投資の専門家がやることになるかもしれませんが、ビジネスパーソンとして基礎を大枠で把握しておくことは大事なことです。是非、ここに紹介した基礎はマスターして、専門家と会話ができるレベルにはしておきましょう。多くのビジネスシーンで役に立つはずです。

 

企業価値をもっと知りたい方は

企業価値評価[実践編]

企業価値評価[実践編]