Ns spirit 投資学・経営学研究室

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【3分でわかる】減価償却費とは 定額法、定率法について解説

減価償却費とは
巨額の設備を購入した際に、一度に費用として計上するとその期の業績が大幅に悪くなる一方で、その後はその固定資産に対する費用がかからないので(メンテナンスなどは除きます)、利益が大きく出てしまいます。しかし、巨額の設備などは、一般的に何年にもわたって会社の売上に貢献するものです。

したがって、一度に費用化すると会社の実態と会計上の売上・費用の関係が異なってしまいます。そのため、使用が長期にわたるような固定資産は、一度に費用化せずに、価値の減少分を毎年少しづつ費用化して、毎期の費用を平準化します。こうすることで売上とそれを生み出すために使われた費用の対応が明確にすることができます。(ちなみに、売上と費用の対応を明確にすることは、企業会計原則の費用収益対応の原則で定められています。)

このような処理を減価償却といい、この処理によって生まれた費用を減価償却費といいます。

減価償却費のイメージ図


減価償却には毎年一定額を費用化する定額法と毎年一定率を費用化する定率法があります。

日本の企業では一般的に有形固定資産では定率法が使われる場合が多く、無形固定資産では全て定額法が使われています。

減価償却費は会計上は費用になりますが、実際にはキャッシュアウトしていないものなので、(減価償却費を加味した)営業利益からキャッシュフローを求める場合は、減価償却費を足してやる必要があります。


定額法
定額法は計算が簡単であるという長所がある一方、設備の収益力が衰えて、修繕費が増加する後年に費用負担が多くなるという欠点があります。定額法における減価償却費の計算方法は次のとおりです。

 定額法 = (取得原価-残存価格) × (1/耐用年数)
 (残存価格は取得原価の10%が一般的)

取得価格500万円の設備の耐用年数が5年で残存価格が10%だとすると、毎年の減価償却費は次のようになります。

 減価償却費(1~5年目) = (500万 - 50万円) × (1/5) = 90万円


定率法
定率法は設備の収益力が高いときに、費用を多く計上できるという長所がある反面、設備導入当初の費用負担が大きくなるという欠点があります。定率法における原価償却費の計算方法は次のようになります。

 定率法 = (取得原価-減価償却費の累計) × 償却率
 (償却率は、耐用年数経過後に残存価格が10%になるように設定するのが一般的)

上と同じように、取得価格500万円の設備の毎年の減価償却費は次のようになります。(耐用年数が5年で残存価格が10%になるように償却率は0.369に設定)

 減価償却費(1年目) = (500 - 0) × 0.369 = 184.5万円
 減価償却費(2年目) = (500 - 184.5) × 0.369 = 116.42万円
 減価償却費(3年目) = (500 - 300.92) × 0.369 = 73.46万円
 減価償却費(4年目) = (500 - 374.38) × 0.369 = 46.35万円
 減価償却費(5年目) = (500 - 420.73) × 0.369 = 29.25万円


定額法と定率法の減価償却イメージ
定率法の場合、定額法に比べ期近の減価償却費は大きくなります。年数を経るにしたがって、定率法の償却費は小さくなっていき、ある時期までいくと定額法を下回ります。ただし、どちらの償却方法でも、減価償却の総額は同じになります。

減価償却費 定額法と定率法


定率法 耐用年数と償却率

耐用年数(年) 定率法の償却率 耐用年数(年) 定率法の償却率
    26 0.085
2 0.684 27 0.082
3 0.536 28 0.079
4 0.438 29 0.076
5 0.369 30 0.074
6 0.319 31 0.072
7 0.280 32 0.069
8 0.250 33 0.067
9 0.226 34 0.066
10 0.206 35 0.064
11 0.189 36 0.062
12 0.175 37 0.060
13 0.162 38 0.059
14 0.152 39 0.057
15 0.142 40 0.056
16 0.134 41 0.055
17 0.127 42 0.053
18 0.120 43 0.052
19 0.114 44 0.051
20 0.109 45 0.050
21 0.104 46 0.049
22 0.099 47 0.048
23 0.095 48 0.047
24 0.092 49 0.046
25 0.088 50 0.045



財務会計と税務会計による償却の違い
財務会計と税務会計では、設備の減価償却に対する考え方が異なります。例えば、財務会計上では、固定資産の減価償却は定率法でも定額法でもOKですが、税務会計上では、定額法のみとなります。このほかにも耐用年数の考え方などが異なります。

この他にも財務会計と税務会計では、考え方の異なる部分がいくつかあるため、財務会計上で算出される利益と、税務会計上で算出される課税所得が異なってきます。