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修羅場の連続「破天荒フェニックス」企業再生の現場を描写した物語・書評・要約

この記事では、おすすめのビジネス書の中からおすすめの一冊を紹介します。

臨場感あふれる企業再生物語を描いた「破天荒フェニックス オンデーズ再生物語」です。

物語の概要

この本は、30歳のベンチャー企業の社長「田中修治」が倒産寸前のメガネ屋「オンデーズ」を買収して、資金繰りを始めとした修羅場の連続を切り抜けながら、見事再生へと導いていく物語です。

一応フィクションとなっていますが、大部分が実話に基づいて描かれたもののようです。

買収当初から、当月の資金ショートが迫る状況の中、それを切り抜けるための方法を画策し当座のところは切り抜けるものの、毎月のように迫りくる資金ショートの危機。右腕となるCFOと知恵を絞って、銀行と対峙しながら難局を切り抜けていくところから物語がスタートしていきます。

買収後も、再生に息巻く社長の気持ちとは裏腹に、従業員から総スカン状態で、買収前から在籍していた従業員とは考え方が合わずに離散していきます。

このような苦しい展開に置かれながらも、社長は前向きに新規店を開店したり、雑貨屋の買収を図るなどしますが、うまくいかずにさらに苦しい状況に置かれる場面もあります。また、買収した会社では従業員の面従腹背の場面にも遭遇。

いよいよ運転資金が足りないというときに、支援を約束していた人に裏切られたり、金の亡者のような人物からの買収提案を受けることを悩んだり、人とのやりとりの描写もかなり生々しい部分が含まれています。

こうした絶体絶命の難局ばかりですが、前向きで最後まで諦めない姿勢が功を奏すのか、寸前のところでラッキーな出会いが訪れて、何とか会社を持ち直していきます。(何度もピンチを切り抜けるところから、タイトルである「フェニックス」の由来ともなっています)

次第にシンガポールから海外展開を果たし、その後台湾にも展開して海外事業を軌道に乗せていき、見事に倒産間際からの復活を遂げていきます。

本書での印象的なシーン

本書で印象に残ったシーンを3つ挙げます。

シーン1.買収の失敗

再生の途中で雑貨屋の買収に乗り出して、実際に買収を成功させます。オンデーズの事業とのシナジー効果も期待できる事業でしたが、買収後の経営を旧経営陣に任せたところ思わぬ裏切りにあい、最終的には事業を売却してしまう場面があります。

この局面からの著者の学びとして、以下が挙げられています。

・旧経営陣に好き放題させていた結果、事態を最悪の方向へと導いてしまった

・企業買収の裏には、決算書に表れない複雑な人間の欲や感情がある

・それらを全て綺麗に流し、自ら傷を負う覚悟と、問題を匠に処理できる経営能力が必要だった

シーン2.新製品の成功

オンデーズ買収直後に社員が自社品買いを強要されていたことを知った社長は、自社品買いの強要を一切禁止します。

ところが、とある新製品をリリースしたところ、その日のうちに社員が買い占めてしまうということが起きます。

これを知った社長が激怒するのですが、調べてみると、実は社員たちは、その新製品があまりにも魅力的だったため、思わず自腹を切ってでも手を伸ばしてしまったということでした。

社長はここで、

「ようやく社員が喜んでかけてみようと思ってくれる自社のメガネができた。これこそがメーカー」

と感じるのです。

シーン3.社長のリーダーシップ

社長指示に対して、実行部隊のやり方が気に入らないと社員間で揉め事が起きたときに、つべこべ言わずにやれというシーンがあります。

このシーンでは、社内がまとまらないときは、

・何でもよいから、指示したことに対する結果を出せ

という開き直りも大事だと描写されています。

本書からの学び

私が本書から学べたことは、以下の3点です。

学び1.諦めない気持ち

社長(主人公)はとにかく諦めません。あの手この手でうまくいく方法を模索します。これはサラリーマンとは異なり、会社を運営する人間の強烈な当事者意識からくるものでしょう。

例えサラリーマンであっても、日々の仕事で、この当事者意識を少しでも見習うことができたら、結果が大きく変わるのではないかと思わせてくれます。

学び2.任せられる人材の選定

物語は社長が中心に展開していきますが、CFOや商品部長などキーマンの存在が非常に大きいです。社長は彼らの個性を的確に把握して、得意分野で思う存分活躍してもらっています。

これはチャレンジする際に、サポートしてもらえる人材をどのように選んで、どのようにモチベーションを高めてもらうことが大事なのかを示唆してくれます。

学び3.腹のくくり

社長も万策つきて、もはやこれまでとなるシーンが何度かあります。これだけやってだめだったら、腹をくくってやるべきことを粛々とやるしかないと腹をくくります。

このやれるだけのことをやって、最悪●●だという感覚を持って仕事をすることは、全力で仕事をやるための裏腹となることなのでしょう。

まとめ

本書は、これから何かを新しくチャレンジしようとする人に、勇気を与えてくれる一冊です。新たなチャレンジする人は、ぜひ一読することをおすすめします。