マーケティング

リーンキャンバスとは 書き方・事例 新規事業立ち上げのフレームワーク

 

こんにちは、セーシン(@n_spirit2004)です。

スタートアップ企業や、新規事業においてビジネスモデルを考える際に活用できるフレームワークとしてリーンキャンバスというものがあります。

リーンキャンバスを活用することで、新規事業として考えるべきポイントを網羅的におさえることができます。

この記事では、リーンキャンバスについて解説していきます。

 

リーンキャンバスとは

リーンキャンバスとは、「実践リーン・スタートアップ」という本を書いたアッシュ・マウリャ氏によって提唱されたもので、新規事業を9つの視点から考えて、ビジネスモデルの完成度を確かめるために使われます。

リーンキャンバスの例

リーンキャンバス

 

リーンキャンバス・9つの項目

リーンキャンバスの9つの項目は、検討する順番が以下のように明確に決まっています。

それぞれの項目に書くべき内容を順に見ていきます。

 

課題

課題とは、想定する顧客が抱えている課題のことです。

課題の項目で考えるべきことは、以下のポイントです。

  • 狙っている事業領域や顧客が抱えている課題の中でも、特に重要となる課題を上位3つは何か
  • 現状の課題に対しては、顧客はどういう手段で解決を図っているか(顧客が現在持っている代替手段)
  • その代替手段は、コストや手間がかかるものであるか(コストや手間のかかるものほど課題は大きいと考えられ、新規の参入機会が大きくなる)
  • 代替手段がなく諦めてしまっているか(顧客が解決を諦めている課題にも、新規の参入機会がある)

顧客の課題を明らかにする代表的な方法は、顧客へのインタビューです。

課題を深堀りする段階では、顧客には解決策を提示せずに、現状の課題を丁寧に引き出していく必要があります。

 

顧客セグメント

上記で挙げた課題の解決策を必要としている顧客セグメントです。

顧客セグメントで検討すべきポイントは、以下のとおりです。

  • 特定した課題を持っている具体的な顧客セグメントはどれか
  • この商品を真っ先に使ってくれるアーリーアダプターはいるか
  • アーリーアダプターを代表するペルソナは明確か

顧客セグメントを具体化するときには、単に30代男性ということだけでなく、東京都在住、独身、年収700万円などより具体的な顧客セグメントを特定します。

また、ペルソナを考えることも有効です。

ペルソナとは、対象とする具体的な顧客像のことです。

ペルソナを考えるときには、顧客特性をさらに深堀りして、例えば「先日インタビューした●●さん」というくらいまで解像度を上げることが重要になってきます。

そうすることで、より具体的な解決提案につなげることができるからです。

 

独自の価値提案

独自の価値提案とは、これから提供する製品やサービスが顧客にもたらす価値です。

独自の価値提案で考えるべきポイントは、以下のとおりです。

  • 顧客目線で意味のある価値を抽出し、言語化できているか(顧客が欲しいのは最先端技術ではなく、顧客にとって意味のある価値であることに留意)
  • 他社にはないユニークな価値になっているか
  • そのサービスを一言で言うと●●ですと言えるか(このサービスは、「飲食業界のAmazonです」等)

この中では、まず価値を言語化することが大切です。

例えば、「高性能なCPUを搭載しています」というのは顧客にとって意味の少ない話ですが、「複雑な計算が、従来の1/5の時間でできます」と言われると、顧客にとって意味のある話なってきます。

価値を言語化する際には、FABEのフレームワークが有効なので、以下のページもあわせてご覧ください。

FABE分析とは【営業トークや顧客視点のプレゼンに役立つフレームワーク】 こんにちは、セーシン(@n_spirit2004)です。 営業やプレゼンテーションにおけるトークを考える上で、シンプルかつ...

 

ソリューション

独自の価値提案を実現するための具体的な解決策です。

例えば、以下のようなポイントを押さえておく必要があります。

  • 製品やサービスの特徴は何か
  • その製品やサービスは、顧客にとって従来よりも優れた価値を提供できているか
  • その製品やサービスには、従来にはなかったデメリットがないか

1度で完璧なソリューションが見つかることは稀なので、プロトタイプを作ってユーザーに試してもらうというプロセスが必須になってきます。

まずは、顧客セグメントのところで特定したアーリーアダプターを対象にして、実際に使ってもらって具体的な感想や改善すべき点を引き出していく必要があるでしょう。

また、カスタマージャーニーマップを用いて、購買前から購買後の顧客体験をよりよいものにできるソリューションを検討する方法もあります。

【5分でわかる】カスタマージャーニーマップとは 作り方・事例 こんにちは、セーシン(@n_spirit2004)です。 「この商品は絶対売れるはず!」 そう意気込んで作った商品を...

 

チャネル

ターゲットとする顧客にアプローチするための方法です。

チャネルを考える際には、以下のような論点があります。

  • どうやって製品やサービスを認知させるか(対面営業、広告、口コミ、検索エンジン等)
  • どうやって製品やサービスを届けるか(物流業者の活用、代理店、営業パートナー等)

チャネルは、製品・サービスの特徴に合わせて最も効果的に狙う顧客セグメントに到達できる方法を見つける必要があります。

 

収益の流れ

提案する価値、ソリューションをどのように換金するかの流れを示すものです。

収益の流れを考える際には、以下のような論点があります。

  • 価値に対していくらの値付けにするか(価格戦略を考える)
  • どうやって代金を回収するか(売り切りか、サブスクリプションか、広告モデルかなど)

 

コスト構造

ここまで検討してきたチャネルでソリューションを提案するためにかかるコストです。

  • 製品・サービスの原価
  • 該当するチャネルで製品を広めるための費用
  • 運営にかかる人件費等
  • 変動費と固定費
  • ユニットエコノミクスは成立しそうか

理想的なコスト構造は、1商品単位・1サービス単位のユニットエコノミクスを明確にし、成立していることです。

しかし、ビジネスの検討初期段階で詳細のコストを明らかにすることはできないので、検討初期はラフな数字を一旦を置いておき、検討が進むにつれてより精緻なものにしていくのが一般的です。

 

主要指標

事業を成功に導くために重点的に管理すべきKPIを設定します。

新規事業の当面の目標は、売上を上げることではありますが、売上をKPIにするのではなく、その事業の売上に最も寄与すべき指標をKPIにすべきでしょう。

例えば、ウェブサイトを通じて製品を販売するビジネスの場合、売上を以下のように分解したとします。

売上 = 販売個数 ✕ 販売単価

= サイト訪問数 ✕ 成約率 ✕ 販売単価

= サイト広告表示回数 ✕ 広告クリック率 ✕ 成約率 ✕ 販売単価

例えば、このときに広告表示回数と成約率が、非常に重要な指標となるのであれば、その2つを事業のKPIとしていきます。

 

圧倒的な優位性

競合が簡単に真似できない優位性のことです。

圧倒的な優位性を構築するためのポイントとして、以下のようなものがあります。

新規事業を考えるときに、この圧倒的な優位性を盛り込んでおくと、競合はすぐに真似できずに事業の優位性を長期間に渡って保つことができます。

 

リーンキャンバスで大事なのは、課題と顧客セグメント

9つの視点の中で、最も大事なのは課題と顧客セグメントだと言われています。

なぜなら、課題がなかったり、その課題を持つ顧客セグメントが存在しなかったりする状態では、そもそもビジネスとして成立しないからです。

失敗するスタートアップや新規事業でも、技術開発だけが先行して、解決して欲しい課題や顧客が不在のままという状態が往々にして起こっています。

このようなことを防ぐために、リーンキャンバスでは一番最初に考えることが課題で、二番目に考えることが顧客セグメントになっています。

実際に、リーンキャンバスを提唱しているアッシュ・マウリャ氏は、ソリューションにフォーカスしがちな起業家について、リーンキャンバスを踏まえて次のように書いています。

あなたの製品は「製品」ではありません。あなたの「ビジネスモデル」が製品です。ソリューションの面積は、リーンキャンバス全体の1/9しかありません。これは意図的にそうしています。起業家たちはソリューションに時間を使いすぎていて、ビジネスモデルの他の部分に時間を費やしていないということです。

Running Lean ―実践リーンスタートアップより引用

 

リーンキャンバスのメリット

事業検討初期からリーンキャンバスを作ることで、次のようなメリットがあります。

  • 検討初期の事業仮説を言語化できる
  • 検討初期に仮設が明確な箇所と、仮説が曖昧な箇所を特定できる
  • 検討を重ねていくごとに、内容をアップデートして、完成度・関連性を高められる

実際にリーンキャンバスを作ってみるとわかりますが、うまく言語化できないところは、往々にして仮説が曖昧なままであることが多いです。

また、一旦作ってみると、相互の関連性に矛盾を生じているところも見えてくるので、重点的に検証すべき仮説も見えてくるようになります。

 

リーンキャンバスとビジネスモデルキャンバスとの違い

リーンキャンバスに似たフレームワークとして、ビジネスモデルキャンバスがあります。

ビジネスモデルキャンバス

ビジネスモデルキャンバス

リーンキャンバスと同じように9つの要素によって、ビジネスモデルを説明するためのものです。

ビジネスモデルキャンバスは、すでに顧客の課題とセグメントが明確になっていて、企業が用意した解決策が課題解決につながることがわかっている状態で使われるものです。

つまり、製品やサービスがある程度マーケットに受け入れられる状態なので、スタートアップ企業の初期段階では重要度の低いキーパートナー、キーアクティビティ、キーリソースといったものが組み込まれています。

リーンキャンバスは、こうしたビジネスモデルキャンパスを新規事業の立ち上げに特化して使えるように修正が加えた形になっているのが特徴です。

そのため、以下の点がビジネスモデルキャンバスとの大きな違いになっています。

ビジネスモデルキャンバスの場合 リーンキャンバスの場合
キーパートナー 課題
キーアクティビティ ソリューション
キーリソース 主要指標
顧客との関係 圧倒的な優位性

 

リーンキャンバスの例

リーンキャンバスの事例は、以下の記事で、有名企業を使ってわかりやすくまとめられています。

5 Lean Canvas Examples of Multi-Billion Startups

この記事では、グーグル、フェイスブック、YOUTUBE、アマゾン、Air B&Bの5つの大成功企業のリーンキャンバスが解説されています。

例えば、初期のグーグルだと以下のようになっています。

Google-lean-canvas

5 Lean Canvas Examples of Multi-Billion Startupsから引用

 

まとめ

以上がリーンキャンバスの解説でした。

  • リーンキャンバスとは、新規事業を立ち上げるときの事業仮説とその後の検証までをフォローするためのフレームワークである。
  • リーンキャンバスには、9つの視点があり、検討する順は次の通り。「課題」、「顧客セグメント」、「独自の価値提案」、「ソリューション」、「チャネル」、「収益の流れ」、「コスト構造」、「主要指標」、「圧倒的な優位性」。
  • リーンキャンバスを使うことで、事業仮説を言語化するとともに、検討初期の曖昧な部分を明らかにできる。

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リーンキャンバスを解説した書籍はこちらです

 

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セーシン
40代でサラリーマンを辞めて独立、現在は国内外からコンサルや顧問などの業務を受託するフリーランスです。20代から書き溜めた学び(ビジネスの基礎知識や経験談)をこのブログにまとめています。 ツイッターアカウントはこちら
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