先日、私を発起人として株式会社の設立をしました。
社会人になってから長らく雇われる側の身で仕事をしてきた私にとって、会社設立というのは初めてのことばかり。
しかし、一回通してやってみると、ひとつひとつのことは比較的簡単にできることばかりでした。
そこで、これから独立・起業して会社設立を考える人のために、どのような手順で会社設立をしてきたのか、この記事で解説していきたいと思います。
株式会社設立ステップ1:全体スケジュールを描く
まず会社設立に必要なことをスケジュール表(工程図)にしてみましょう。
この中でリードタイムがかかるものほど先にお願いしておく必要があります。私の場合は、社印作成とオフィスの段取りに時間がかかりました。
以下は工程図の例です。実績をベースに修正したので、これから会社設立する人の参考にして頂けるとかと思います。
各工程での作業は、以下に記載していきます。
株式会社設立ステップ2:会社の名前を決める
まず会社を立ち上げるにあたっては、会社の名前を決めましょう。会社名を決めないことには、定款も社印も作ることができません。
会社の名前は、後から変更できるとは言うものの、できる限り長く使いたいものなので、創業者の思いを込めた愛着のある名前にしましょう。
私は、関与者数名でアイデアを出し合って、最終的に投票して決めるという形にしました。
株式会社設立ステップ3:本店所在地を決める
次に本店の所在地を決めましょう。自宅に登記できる場合は自宅でも構いませんが、一般的にはオフィスを本店とします。
しかし、起業したての会社が固定費の大きい事務所を構えるのは経済的ではなく、最近ではバーチャルオフィスがよく使われます。バーチャルオフィスなら、本店用住所を貸出してくれるので、会社の本店として登記することができます。
たとえば、Karigoならさまざまなプランの中から、自分に合った最適なオフィスプランを選択できます。最安価のホワイトプランなら月額3,150円~で住所貸し、荷物受取代行、共有FAXまでしてくれるので、最低限の本店機能を持つことができます。
その他にも電話転送プランや電話代行プランなどもあるので、ニーズに合わせて手軽にバーチャルオフィスを立ち上げることができます。
起業や独立などに最適なオフィス形態です。地方拠点としてもご利用になる事が出来ます。パソコンやスマートフォン1つで出来るビジネスも増える中、バーチャルオフィスは、挑戦する人にとってスタンダードなサービスです。
当社では2006年よりバーチャルオフィスサービスを開始し、これまでのノウハウと洗練されたシステムにより、起業や独立などの挑戦を支援致します。
Karigoのページより引用
この他にも、同じようにバーチャルオフィスを提供してくれる会社として、アセット・デザインなどがあります。
株式会社設立ステップ4:社印を作る
会社名が決まったら、社印を作りましょう。
社印には大きく2つあって、会社登記の際に必要となる丸印と、会社の公式書類に押すための角印です。
私は楽天市場内のハンコヤストアに依頼をして作成してもらいました。
株式会社設立ステップ5:会社用のドメインをとる
会社の名前が決まったら、ホームページやメールアドレスに使うドメインを取得しましょう。
ドメインを取得するなら、お名前.comがおすすめです。登録からドメイン取得まで、わずか5分程度で完了します。
おすすめのドメインは.comドメインか、日本国内の会社組織専用の.co.jpドメインがよいでしょう。会社名称が単純だと.comが取れないこともあるので、その場合は.co.jpドメインを取得しましょう。
.comドメインなら約760円/年、.co.jpドメインなら約3,800円/年で使えます。
株式会社設立ステップ6:メールサービスに申し込む
既存のメールサービスを使うのがよいでしょう。
おすすめはOffice365です。
Office365なら、メールの使用だけでなく、クラウド上でエクセルやワード、パワーポイントを使える法人プランなら月額約1,300円で契約可能です。
契約後に、独自ドメインを設定をすれば、約1日後にはOffice365上で独自ドメインの運用が可能になります。
株式会社設立ステップ7:ロゴデザインと名刺を作成する
会社のロゴデザインと名刺も必要となります。
ロゴデザインや名刺デザインと聞くと面倒なように感じますが、今ならクラウド上の仕事マッチングサイトを使えば簡単に作成してもらうことができます。
私はランサーズを使ってデザイナーを一人一人確認して、過去作品の実績から自分のイメージに合うロゴデザイナーを探して仕事を依頼しました。
相場はロゴデザインが2~3万円、名刺デザインが1~2万円程度です。それぞれ1週間程度でデザインを完成してくれます。
メールアドレスさえあればすぐに登録可能、支払いもクレジットカードで簡単なので、手軽にロゴと名刺の作成を依頼することができます。
ランサーズと並ぶ、仕事マッチングサイトであるクラウドワークス
やココナラにも多くのロゴデザイナーがいます。会員登録(無料)して比較検討してもよいでしょう。
会社を立ち上げた後もクラウドサービスで仕事を依頼することがありますので、この機会に登録しておくのがよいでしょう。
株式会社設立ステップ8:名刺の印刷を依頼する
デザインしてもらった名刺は、ラクスルに依頼をすれば印刷してもらうことができます。納期を料金に応じて1営業日から7営業日まで選ぶことができます。
名刺発注をした上で、デザイナーに作ってもらったデータを入稿すればOKです。
株式会社設立ステップ9:会社定款のための情報を整理する
会社登記にあたっては、会社定款が必要になります。
私の場合、会社定款の起案は行政書士の方にお願いをしましたが、基本的な情報は行政書士の方にお知らせする必要があります。
主には以下のような情報です。
会社名前・所在地
会社の名前と所在地は定款の最初に出てくるものです。
会社の目的
会社の目的とは、会社がどのような事業をするかというものです。
●●の製造・販売とか、●●の輸出、ソフトウェア開発、経営コンサルティングといったものが会社の目的になります。
ウェブ上に会社定款をオープンにしている会社もあるので、そういう会社の定款を参考にして作るのがよいでしょう。たとえば、以下のようなものがあります。
この他にも、立ち上げる会社と似たような事業をしている会社の定款に記載されている目的を確認してみてもよいでしょう。
発起人の出資金額と株式数
発起人の出資金額と株式数を決めます。
一人の場合は、その人だけの名前だけでよいですが、複数の人で共同出資する場合は、全員の名前を記載する必要があります。
発行株式数上限と譲渡機関の決定
発行株式数の上限を決めます。
上限はいくらでもよいのですが、今後の資本政策を鑑みて設定するのがよいでしょう。
譲渡機関は、通常株主総会、取締役会、または代表取締役から選ぶことになります。
取締役会の設置有無と取締役・監査役の人数
取締役会の設置有無を決めます。
取締役会を設置する場合は、取締役を3名以上設置する必要があります。また、監査役の設置も必要になります。
取締役会を設置しない場合は、取締役は最低1名(代表取締役だけ)でよく、監査役の設置も必要ありません。
資金調達ができて、後から会社が大きくなった時点で取締役会を設置するということであれば、当面は取締役会を設置せずに、後から定款を変えることも可能です。
事業年度の決定
事業年度の決定をします。
特に決まりはないので、どこかの任意の1年間を事業年度として設定できます。
上場企業でよくあるのは、4月~翌年3月か、当年1月~12月という事業年度です。しかし、多くの会社が12月締め、3月締めにすると、税理士の仕事がそこに集中してしまうので、あえてずらすという方法もあります。
たとえば、1月締めとか7月締めのように中途半端な時期にしておくと、事業年度末に税理士とのアポイントをとりやすくなるというメリットがあります。
また、会社設立の際に資本金が1,000万円未満の場合は、設立から1期目と2期目の消費税の納税義務を免除してもらうことができます。
この免除期間をできる限り長くするために、会社設立から最も期間が長くなるように事業年度を設定するという案もあります。
たとえば、2019年2月に会社設立するなら、事業年度を2月始まりで1月終わりにするというような具合です。
株式会社設立ステップ10:登記に必要なものを準備する
登記のためには、定款以外に以下のものが必要となります。
- 社印(上記解説のとおり)
- 発起人の実印と印鑑証明書
- 発起人が資本金を持っている事を証明する本人名義の口座記録、
最後の口座記録が少し厄介です。
資本金を持っていることを証明するために、自分の口座にその資本金額を振り込んで、通帳の振込記録が記載された部分をコピーして提出する必要があります。
私は自分の銀行口座から、別の銀行口座に振り込むことで通帳に記録をつけて、それを提出しました。発起人が数人いる場合は、全員分が必要となります。
株式会社設立ステップ11:銀行口座を開設する
謄本が出来上がったら、銀行口座の開設です。
銀行口座の開設には、以下のものが必要になります。(金融機関によって異なりますので、開設申し込み前に確認が必要です)
- 登記事項証明書(登記簿謄本)
- 代表取締役の印鑑証明書
- 会社実印
- 銀行印
口座開設には通常は申請から1-2週間かかると言われています。
私は、大手3行(三井住友、三菱UFJ、みずほ)を中心に検討し、そこからみずほ銀行に決めました。
決め手となったのは、以下の項目です。
- 口座開設までのプロセスが最も簡易(銀行に出向くのは1回だけ)
- 最後に銀行に出向いた時点で口座開設完了
- ネットバンキング使用料が半年無料(大手3行の中で唯一)
銀行の知名度やリアルな店舗がないことを気にしないのであれば、ジャパンネット銀行もおすすめです。
- ネット上で審査から口座開設まで完了できる
- ネット銀行ならではの振込手数料の安さ
まとめ
私はこれらのことを知っている人に聞きながら進めてきましたが、段取り・順番の要領がよくなかったので、会社設立を決めてから実際の設立まで3週間近くかかりました。
もし、会社設立意思が決まっているなら、リードタイムの長いバーチャルオフィスの契約・印鑑の作成を早めに着手しておくことをおすすめします。
また、ドメインは早いもの勝ちです。金額の大きなものではないので、会社名が決まり次第すぐに取得しておくのがよいでしょう。