財務諸表の見方

業種・業態別に見る財務諸表の特徴

このブログでは、財務会計の基礎財務分析の手法を紹介してきてますが、その特徴は業種や業態によって千差万別です。

この記事では、そうした業種・業態別に見た一般的な財務内容の特徴を紹介します。

小売業

小売業は、現金商売が基本なので、流動資産の中の売上債権(売掛金や受取手形)が少なく、棚卸資産も比較的短期間で回転します。

それに比べて、買入債務は大きくなるので、流動比率が小さくなる傾向があります。会社によっては、流動比率が50%程度しかないところもあります。

通常、流動比率が小さいと安全性の低い会社と見られますが、小売業に関しては流動比率が低くても資金繰りに問題ないと考えられます。

また、売上高に対する利益、すなわち利益率が低いのも小売業の特徴です。利益率が1%台の会社もたくさんあります。

さらに小売業は、製造業と比べると、一般的に自己資本比率が低く、財務レバレッジを効かせているという特徴があります。

製造業

製造業は、小売業に比べ商品の流動性が高くありません。したがって、小売業なみの流動比率(50~100%)だと、あまりよい状態とはいえません。

その一方で売上高営業利益率は小売業より高い傾向があり、高付加価値商品を多数製造しているメーカーだと10%を超えているところもあります。

ROEは全般的に小売業と同程度ですが、自己資本比率が小売業に比べ高いという傾向があります。

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不動産業

不動産業は、流動性の資産や負債が少なく、固定資産や固定負債が多いのが特徴です。不動産業は、不動産そのものが商品になるので、固定資産が多いのは当然のことといえます。そして、不動産は取得額が大きく、流動資産や短期借入金では賄えないので、固定負債が大きくなります。

医薬品業

医薬品業は、基本的に付加価値の高い商品なので、大きな粗利(売上総利益)を得ることができます。また、研究開発費が大きくなる傾向があります。

総合商社

総合商社などの卸売り業は、大きな設備投資を必要としませんが、低いマージンで商材を流すので、収益力、特に粗利益率が他の業種に比べて低い傾向にあります。また、売上債権、棚卸資産、買入債務が多額になる傾向があります。

ソフトウェア系

ソフトウェアを作っている会社は、一度製品が出来上がると、コピーを安価で大量に作成できることから、売上原価が非常に低くなります。結果として利益率が大きくなります。

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