人材管理・リーダーシップ

【人事の役割・仕事】人事システム5つの要素 採用 配置 評価 報酬 育成

人事システムは、企業が人を適切に動かすために組織構造と並んで重要なものです。人事システムには、一般的に以下の5つの要素を含まれています。

採用、配置、評価、報酬、育成

この記事では、人事システムの基本的な考え方と、上記5つの詳細について解説していきます。

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人事システム

人事システムは戦略に従う

人事システムも組織と同様に戦略に従って設計されるものです。例えば、IT強化が戦略上重要であれば、ITに強い人材を採用したり、育成したりする必要があります。また、営業が売上確保が最も重要なミッションだと位置づけられれば、営業の評価指標を売上にします。ここで利益にしてしまうと、営業は利益確保のために、売上拡大を渋る可能性がでてきます。

つまり、戦略なきところに制度は生まれないということになります。

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人事システムは組織構造を補完できる

以前の記事でも書いたように、完璧な組織構造というものはありません。そうすると、組織構造のデメリットを補えるのは、人事システムになります。

例えば、機能別組織のデメリットである、部門最適視点を緩和するために、自部門外の課題への貢献を評価する制度を作ったり、事業部制組織のデメリットである、事業部間の情報遮断を緩和するために、事業部間を定期的に何名かが異動する制度を作ったりすることが挙げられます。

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人事システムは、運用できる仕組みにする

人事システムを設計する際に重要なのは、そのシステムが運用できるかという視点です。組織構造やそれぞれのシステムのデメリットを打ち消すために、どれだけ複雑精緻なシステムを作っても、それが正しく運用されなければ全く意味がありません。そういう意味では、システムは必要最小限のものでなるべく単純なものがよいということになります。

また、何か問題起きたときも、それが組織やシステムそのものの問題ではなく、運用上の問題である可能性も考慮に入れておく必要があります。

人事システムには、5つの重要な要素があります。

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要素1:採用

人事システムの中で、採用は企業の事業計画遂行に必要とされる人員を確保する上で極めて重要な役割を果たします。

募集方法

採用における募集方法には以下のようなものがあります。

■新規学卒採用
学卒者の一括採用のことです。日本では4月を区切りとしてまとめて採用する形態が一般的です。新規学卒者には実務経験がないので、企業文化とのマッチング、学校で学んできたことから見出される将来性・可能性を考慮して採用が行われます。

■中途採用
通年採用とは、年間を通して人材採用の活動をすることです。通年採用の場合、経験者の中途採用が一般的になります。中途採用では、実務での経験を重視し即戦力を求めるケースが多くなっています。一方で実務経験2~3年程度の第二新卒と呼ばれる人材を求めるケースも増えています。これは、企業が第二新卒は若くて可能性がありながら、社会人としての基礎を一通り身につけているために教育にかかるコストが低いというメリットを感じているからです。

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企業文化との親和性

人材を採用する上では、能力や適正も重要ですが、それ以上に重要となるのが企業文化との親和性です。どんなに優秀でも、企業文化と合わなければ戦略として十分に力を発揮できないばかりか、ときには負の力を組織にもたらしてしまうこともあるためです。

末端の従業員が直に顧客接するサービス業では、企業文化とマッチしているかどうかは、能力以上に重要な要素と捉えられるケースもあります。例えば、リッツカールトンは、優秀な人材を逃してしまったという後悔をするよりも、文化に合わない人材を登用して後悔することのほうを避けるというポリシーがあるそうです。

特に、中途採用では即戦力としての能力を期待しがちですが、企業文化と合っている人材かどうかを見極めることが非常に重要になってきます。

要素2:配置

採用した人材は、適切な配置をすることが重要です。また、一旦配置したらその部署に固定するのではなく、会社が期待するキャリアパスと本人が期待するキャリアパスをすり合わせながら適切な配置転換を行うことも重要になってきます。

ジョブローテーション

ジョブローテーションとは、人材育成計画に基づいて、配置転換させて様々な職務を経験させることです。ジョブローテーションをすることで、次のようなメリットがあります。

  • 従業員が幅広い知識を身につけられる
  • 同じ職務についていることによるマンネリ化を解消する
  • 社内ネットワークを形成させ、仕事をより円滑に進められるようにする
  • 多くの職務経験から、適正を見出す

これらのローテーションは、会社側がある基準に基づいて定期的に実施するものと、上司を通じた自己申告制度や、従業員の意思で自由に応募できる社内公募制度など従業員が主体的に意思表明して異動するものがあります。

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人事異動の種類

人事異動には、次のような種類があります。

■垂直異動
垂直異動には、現在の役職よりも上位の役職に進むもの(昇格)と、下位の役職になるもの(降格)があります。

■水平異動
水平異動には、同一勤務場所における配置転換と、勤務場所を変わる勤務地転換があります。

■出向
出向とは、関連する企業間での異動のことをいいます。出向元企業との雇用関係を維持しながら異動する在籍型出向と、出向元企業との雇用関係を打ち切って出向先企業で勤務する移籍型出向があります。

在籍型出向の場合、労働基準法における使用者としての責任は、出向元企業と出向先企業、出向する労働者間の取り決めによって定められた責任に応じて、出向元、出向先の双方が負うことになります。一方で、移籍型出向の場合、全ての責任を出向先が負うことになります。

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要素3:評価

従業員を適切に評価し、評価に見合った処遇をすることは、従業員のモチベーションを維持・向上させるために極めて重要な要素となります。

人事評価

人事評価の基準としては、以下の4つがあります。

能力評価
知識、技術など仕事を遂行していく上で重要な能力での評価です。

情意評価
仕事への取り組み姿勢ややる気などでの評価です。若手社員や一般職の社員に対して適用されることが多い評価です。

業績評価
成果の質と量による評価です。MBO(目標管理制度)によって運用されるケースが多く、目標に対する実績によって評価が決定されます。

コンピテンシー評価
会社が期待する行動特性による評価です。行動特性は、その企業で高い業績を継続的に残せる人材の特性を分析・抽出したコンピテンシーディクショナリーに基づいて決定されます。つまり、長期的な業績につながる行動による評価と言い換えることができます。

従業員がこの中のどれかひとつだけで評価されることは少なく、一般的にはいくつかの要素を多面的に見て評価されます。ただし、管理職や専門的なスキルをもった従業員の場合、業績のみで評価をされる場合もあります。

また、月例給は多面的な要素で考え、賞与は業績重視で評価するなど、連動する報酬によって評価の方法を変えたり、上記のいくつかの要素を重み付けして評価をしたりするケースもあります。

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査定の際の問題点

査定における問題点として次のようなものがあります。

ハロー効果
ハロー効果とは、査定される従業員に極めて優れた点や劣った点がある場合に、その項目だけでなく、他の項目の査定にも影響がでることです。

平均化
平均化とは、査定の結果が平均に集中してしまうことです。例えば、5段階評価で2~4しかつけずに評価に差ができにくくなることが挙げられます。

寛大化
寛大化とは、実際よりも高めに評価をしてしまうことです。例えば、5段階評価で3以上しかつけないなどが挙げられます。査定する者が同情してしまったり、劣った評価をつける自信がなかったりする場合に起こります。

対比誤差
対比誤差とは、評価者自身との相対比較によって起こることです。自分が苦手な部分を「あいつはあんなに難しいことをこなしている」と高く評価したり、自分が得意な部分を「こんなに簡単なこともできない」と悪く評価してしまったりすることが挙げられます。

期末効果
期末効果とは、評価の対象期間の中で、評価をする時期の直近の業績をイメージして評価をすることです。例えば、評価期間が1年で3月末に評価する場合に、評価が1月~3月に挙げた実績に左右されてしまうなどが挙げられます。

評価を適正に行う取り組み

評価の客観性をできる限り高める取り組みとして、以下のようなものがあります。

多面評価
上司だけでなく、同僚、部下、他部門による評価を取り入れることです。360度評価などとして取り入れている企業もあります。多面評価にすることで、上司には気に入られているが、部下からの受けがあまりよくないといった人材を適正に評価することができるようになります。

ただし、部下や他部門とはある面では利害が相反することがあるので、多面評価と言えども必ずしも客観性が高まるわけではないことには注意が必要です。例えば、全体最適のための行動をとった結果、ある部門に対して大変受けが悪くなり、悪い評価を与えられてしまうケースが考えられます。

評価者訓練
上述の例で挙げたような問題点を是正するために、評価者自体を訓練する取り組みがあります。

要素4:報酬

報酬は、従業員のモチベーションに大きく関わる部分であるだけでなく、企業の経費にも大きなインパクトを与えます。そのため、報酬制度の設計には細心の注意が必要です。

報酬総額の決め方

報酬額を決めるには、企業の経営状態から総額の目安を決める必要があります。報酬総額を決めるには、主に次の2つの基準があります。

■売上高人件費率

人件費 = 売上高 × 売上高人件費率

■労働分配率

人件費 = 付加価値総額 × 労働分配率

いずれの基準を用いるとしても、過去の数値や同業他社の動向によって目安を決めておくことが重要です。

賃金の種類

■年功給
年齢や勤続年数を基準に定める方法です。

■職能給
職務遂行能力に基づいて決められる方法です。

■職務給
職務ごとの難易度や重要度によって決定される方法です。

■成果給
成果(実績)によって定められる方法です。

多くの企業がこの中のどれかひとつだけではなく、組み合わせにより賃金を定めています。例えば、日本の企業の場合、年功給と職能給の組み合わせによって決められるケースが多く見られます。

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支給形態

■月給制
給与を月額で決める形態です。日本の企業で最もよく用いられている形態です。

■年俸制
評価に基づいて1年単位で賃金を決定する制度です。

■時間給制
1時間あたりで給与を決める形態で、パートタイマーやアルバイトに多く適用される形態です。

その他の賃金

キャッシュでの支給以外の報酬として、複利厚生なども報酬形態のひとつとして位置づけることもできます。また、従業員に毎月一定額で自社の株式を購入してもらう従業員持株制度や、株価が上昇したときに予め決めた安い株価で株式を取得できるストックオプションも報酬制度のひとつです。

ただし、ストックオプションには、株価上昇が業績上昇によりもたらされることを考えると、従業員に対して業績向上のためのインセンティブが働く一方で、業績向上・株価上昇優先となることによるモラルの低下や既存株主に対する株式の希薄化というデメリットに注意する必要があります。(創業間もないベンチャー企業の場合、ストックオプションは従業員を動機づけるのに有効な制度です。)

報酬は高ければよいわけではない

報酬は、人材のモチベーションに大きく関わるものではありますが、単純に報酬が高ければモチベーションが上がるかと言うとそうではありません。マズローの欲求5段階説(※)から考えると報酬は安全欲求、社会欲求、尊厳欲求に広く属する性格のものです。

つまり、安全欲求を満たせる最低限の報酬を確保できているとすると、報酬の上昇は社会欲求や尊厳欲求を満たしながら上昇させる必要があるわけです。

例えば、月給30万円の人に、4月から給与を一律1万円UPという施策を打っても、おそらくモチベーションの向上はわずかだと考えられます。(逆に1万円DOWNはモチベーションを大きく下げるおそれがあることに注意が必要です)

したがって、ある人材の報酬を上げるときは、報酬が上がる理由や期待値を合わせて伝えてあげるのがよいでしょう。

(※)マズローの欲求5段階説

マズローの欲求5段階説とは 人間がもつ欲求の段階と効果的な褒め方人間の欲求を正しく理解することは、組織マネジメントをする上でとても大事な要素となります。 そのときに、人間の欲求を漠然と考えるので...

要素5:育成

事業戦略を遂行するにあたっては、予定どおりの業績を残すことが重要であることはもちろんですが、企業が継続的に事業を運営するのであれば、戦略遂行に伴って人材を育成し、次世代の戦略推進者を作り上げることも重要となっています。

育成の方法

OJT(On the Job Training)
OJTとは、具体的な仕事を通じて知識やスキルを習得させることをいいます。日本の企業ではOJTが育成のメインとなっています。OJTを実施することで、具体的な業務スキル以外に企業文化など戦略を遂行する上で重要でありながら、言語では伝えにくいものを伝えることができます。一方で、指導者の能力バラツキによって、育成効果にバラツキが生じる場合あります。

参考記事

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Off-JT(Off the Job Training)
Off-JTとは、仕事以外で企業が行うトレーニングのことで、研修などが該当します。Off-JTには、管理職や中堅、新人などの階層別のトレーニングや、マーケティング・営業・技術などの職能別のトレーニングなどがあります。

Off-JTは、専門知識を集中的に習得できるメリットがある一方で、通常の業務に即応用できなかったり、個人の能力によって柔軟にメニューを組みにくいなどのデメリットがあります。

自己啓発
自己啓発とは、事業所外で従業員が自らの意思で知識やスキルを身につける活動のことですが、従業員の負担の一部を会社が援助する場合があります。例えば、社外セミナーの受講料の一部または全部を会社が負担する金銭的援助や、勤務時間内の参加を出勤扱いとする時間的援助などがあります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。組織の7Sでも言及されているように、人事システムというのは戦略を協力にサポートするものですが、その設計は細部まで詳細に考えておく必要があります。なぜなら、人事システムの直接的影響を受けるのは生身の人間である従業員だからです。

組織の7Sの参考記事

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