Ns spirit 投資学・経営学研究室

投資・経営の基礎を網羅した「投資学・経営学研究室」のブログ版です。ビジネスパーソンに必須となる基礎知識・基礎スキル、仕事やキャリアに関する情報を中心に発信していきます。

【3分でわかる】Make or Buy 内製・外製の意思決定 その判断基準・ポイント

メーカーと一言で言ってもその設計・製造には様々なケースがあり、設計から製造まで一貫して自社でもつケース、設計だけ自社で製造は外部に委託するケース、設計まで含めて外部に委託するケースなど、会社や事業によってさまざまな選択がなされます。

 

この内製か外製かの判断基準には、自社の技術に競争力があるのか、投資をどれだけできるのか、長期的な視野でオリジナリティを出したり、ブランドを構築したりするのにどちらが有利かなど、様々な視点があります。もちろん、コストも重要な判断材料となってきます。

 

内外製の判断で比較すべきコスト
内外製を判断する際に比較するコストには注意が必要で、比較しなければならないコストは以下の2つです。

 

・内製した場合の変動費
・外製した場合の購入費

 

ここでよくありがちな判断ミスが、「内製した場合の製造原価」と比較してしまうことです。製造原価には変動費と固定費があります(変動費・固定費の詳細は以下ページを参照ください)。

www.nsspirt-cashf2.com

 

売上に比例する変動費に対して、固定費は売上によらず一定です。つまり、この会社が社内で物を製造しても、社外から物を購入しても一定にかかる費用ということになります。したがって、もし固定費の入った製造原価と、純粋な変動費である購入費用を比較すると、Apple to Apple(同じもの・条件同士)の比較にはならないわけです。

 

例えば、ある会社X社の内製と外注のコスト構成が以下のような場合、製造原価が高いという理由で外製してしまうと、内製をやめても固定費3,000円が残るので、実質は外製の方が不利だということになります。

 

内製品原価

=10,000円=変動費7,000円+固定費3,000円

 

外製品購入費

= 8,000円

(実際には+3,000円の固定費が上乗せされて合計11,000円と見なせる)

 

 

外注から内製に切り替える場合
設計まで委託していると外注業者からの購入コストには製造原価だけでなく、設計費用を中心とした販管費と利益まで含まれていることにもなります。そうした外注業者から内製に切り替える場合は、考える要素がさらに複雑化になります。簡単に言うと比較対象は以下のようになります。

 

・内製した場合の変動費+追加費用+機会損失
・外注した場合の購入費

 

例えば、内製で作ると製造原価の変動費が20,000円であるのに対して、外製品の購入費は25,000円だとします。ここで20,000円の方が安いから内製だとなってはならないわけです。外製品は様々な設計リソースを割いていて、もし内製に切り替えるとX社は設計リソース(人員、マシン、ソフト等)を確保するお金が必要になります。

 

もしその追加費用を1台あたり6,000円となると、

 

変動費20,000円+追加費用6,000円

=合計26,000円>外製品購入費25,000円

 

で外注の方が有利になるのです。

 

さらに、この設計リソース(人・物)が、簡単に外から採用・調達できるものであればよいですが、実際はX社の内部リソースを割り当てて対応するケースがほとんどで、そうなるとX社がそのリソースを使って他にやれるはずだった仕事を犠牲にして内製に取り組む必要が出てきます。

 

その機会費用の算出は実務上計算が難しいのですが、仮にそれを3,000円とか計算ができると、上記の計算は20,000円+6,000円+3,000円=29,000円>25,000円となってしまい、内製に踏み切るべきではないという結論が導かれます。

 

内製した場合の原価

=変動費20,000円+追加費用6,000円+機会費用3,000円 =29,000円

 

外製した場合の購入費

=25,000円

 

www.nsspirt-cashf2.com

 

まとめ
製造業においては、商品を作るにあたって、内製するか、外製するかという判断を迫れるケースは多く、新商品開発においては、初期段階(ステージゲートでいうと、Gate2前)に方針決定されます。

www.nsspirt-cashf2.com

 

そのときに注意しないといけないのが、上述したように、内製、外製の変動費を比べることです。基本的に、追加費用が無ければ、内製の方が有利になりますが、その際に追加費用が本当に発生しないのか、発生するとしたら、それはどの程度なのかを把握することが重要になってきます。

 

購買戦略をもっと知るには

最強の調達戦略―成熟市場の企業収益力を向上させる経営手法

最強の調達戦略―成熟市場の企業収益力を向上させる経営手法