Ns spirit 投資学・経営学研究室

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【3分でわかる】運転資本とは 運転資金とは CCCとは

運転資本(運転資金)とは

運転資本(運転資金)とは、企業が日々のビジネスを運営していくのに必要な資金のことです。企業は運転資本を何らかの形で調達しなければ、現金が回らなくなってしまいます。運転資本は現金および現金等価物を除いた流動資産から有利子負債を除いた流動負債を引いたものとなります。

 

運転資本 = 流動資産(現金除く) - 流動負債(有利子負債除く)

 

しかし、流動資産、流動負債の中でも実質ビジネスでの売上増減に連動して動く項目は、売上債権、棚卸資産、買入債務となります。したがって、特に運転資本の増減だけを議論するような場合は、運転資本を次のように表します。

 

運転資本 = 売上債権 + 棚卸資産 - 買入債務


運転資本は貸借対照表の項目から算出されます。運転資本の増減は企業の利益には直接関係のないものですが、キャッシュフローに影響を与えます。俗に言われる「勘定合って、銭足らず」とは、一般的に損益計算書(勘定)では利益が出ているのに、運転資本(銭)の増加が大きくてキャッシュが回らなくなっている状態を言います。


運転資本のプラス大きいビジネスの場合、売上高の拡大がキャッシュ不足を招くことがあります。なぜなら、売上債権や棚卸資産の拡大の方が、買入債務の拡大よりも早くなるからです。

 

逆に運転資本のマイナスが大きいビジネスは、売上高が拡大するときはキャッシュに余裕が出てきます。買入債務の拡大が売上債権や棚卸資産の拡大より早いからです。ただし、運転資本がマイナスになるようなビジネスの場合、売上高が減少し始めると、一気にキャッシュ不足となり破綻する可能性が高くなります。

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CCCとは

CCCとはキャッシュ・コンバージョン・サイクル(Cash Conversion Cycle)のことで、キャッシュの支払いから販売によるキャッシュの受け取りまでの差額日数のことを示します。運転資金が金額ベースで計算されるのに対して、CCCは運転資金としてキャッシュを寝かしている期間を表すことになります。

  

CCCは次のように計算されます。

 

CCC = 棚卸資産保有日数+売上債権回収日数-仕入債務回収日数

 

通常、会社は販売したものに対して、売掛金や受取手形という形で売上をたてて、後日キャッシュとして回収します。一方で、購入したものに対しては買掛金や支払手形という形で決済をして、決済して手元に残った商品は在庫という形になります。つまり、キャッシュ支払からキャッシュ回数までの期間を日数で表すことになります。

 

CCCはキャッシュフロー計算書上、営業活動によるキャッシュフローに分類されますが、キャッシュフロー計算書から直接的に確認することが難しく、個別に計算の必要があります。一方で、投資または財務キャッシュフローに大きく影響を与えるファクターになるため、多くの会社がこのCCCを気にしてマネジメントしています。

 

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経営効率指標としてのCCC

CCCにより、会社の経営効率を測ることができ、会社の健康状態を測ることもできます。CCCが短いということは、会社の中に滞留しているキャッシュが少ないことを意味しており、売上拡大局面での運転資金が少なくて済む、すなわち資金ショートのリスクが小さいことも示します。

 

CCCは、投資家にとっても有用な指標で、投資家は類似競合他社のCCCと比較することで、その会社の経営の健全度と投資余力を測ることが可能になります。CCCはROEやROAなど別の指標との組み合わせて、経営効率指標として使われます。

 

CCCは、すべての会社に重要な指標ではありますが、特に多くの在庫を持って商売をするような小売業で重要になります。一方で、ソフトウェア制作会社や保険会社、英会話教室のような教育事業などでは、あまり重要な指標にはなりません。

 

AMAZONのようなネット販売事業者も同様です。

 

AMAZONの場合、ウォルマートやコストコとは異なり、CCCはマイナスで推移しています。フォーブスの調査によると、AMAZONの2012年のCCCは、在庫保有期間が28.9日、売上債権が10.6日に対して、仕入債務が54日で、トータルでCCCはマイナス14日になっています。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか。運転資金は、ビジネスの成長場面で不可欠なもので、いくら成長していて、利益が出ていても、運転資金がショートしてしまうと、会社は破綻してしまいます。(黒字倒産という現象です)。

 

製造業のように、現金商売でなくはなく売掛金での商売で、在庫を持ちながら商売をする業種の場合、運転資金には常に目を配っておく必要があります。特に小さな規模でビジネスをされている方は、自社のビジネスに必要な運転資金の規模を正しく把握しておくことをおすすめします。

 

参考ページ

www.nsspirt-cashf2.com